この記事では,相対論的量子力学(西島和彦著)に出てくるクラインゴルドン方程式についてグリーン関数を導きます.
この本に於いて,グリーン関数はいきなり出てきます.グリーン関数の知識は常識の様なので,その辺の事情を確認の意味で辿ってみれば,何かの役に立つと思い,ここに書きます.
クラインゴルドン方程式とは以下の様な式です.
ここで はダランベルシアンと言い,ラプラシアンと時間の二階微分から成ります.
この本同様にグリーン関数(遅延グリーン関数) を先に示しておくと,
ここでフーリエ変換を書いておきます.ここで と はフーリエ変換で互いに移り変わります.
となります.
クラインゴルドン方程式のグリーン関数が満たす式を書くと,
ここでデルタ関数は, とすると,
となります.式(5)に式(4)を代入して,p積分の中身を比較すると,
より,積分の中身を比較して,
となり,なんとか が求まりました.最後に式(4)に求まった を代入して,
ここで, となり, での積分に於いて, が特異点となってしまいます.これを避けるために,分母に無限小の因子 を引きます.ようやく,
という形になったわけです.これが遅延グリーン関数 です.余談ですが,ここで分母に引くのではなく足すと,先進グリーン関数 となります.
今日はここまで.お疲れ様でした.