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位置演算子の固有関数の運動量表示

こんにちは,クロメルです. S1Sz0の状態に関する考察 に続き, 今度は位置演算子 \hat{q} と運動量演算子 \hat{p} の固有状態の変換を書きます.

基本事項

これからしたいことは,位置演算子 \hat{q} の固有関数 |q^\prime \rangle を 運動量演算子 \hat{p} の固有関数 |p^\prime \rangle で表す [*] ことです.

[*]: ディラックの書き方に習い,プライム ^\prime は,特定の実数を表すことにします. A の演算子は,ハット \hat{A} をつけて表します.

位置演算子 \hat{q} の固有関数は,

\hat{q}| q^\prime \rangle = q^\prime |q^\prime \rangle \tag{1}

を満たし, q 表示をすると,

\langle q | q^\prime \rangle = \delta(q-q^\prime) \tag{2}

となります.

また,運動量演算子 \hat{p} の固有関数は,

\hat{p}| p^\prime \rangle = p^\prime |p^\prime \rangle \tag{3}

を満たし, q 表示をすると,

\langle q | p^\prime \rangle = e^{ip^\prime q/\hbar} \tag{4}

また,恒等演算子,

\hat{1} = \int |q \rangle \langle q | dq \tag{5}

を使います.

ここまでに挙げた基本的な事項は,参考文献に挙げた「量子力学」ディラック著などを参照してください.

本題

さて,いよいよ展開してみましょう.

\langle p | q^\prime \rangle &= \langle p | \hat{1} | q^\prime \rangle \\&= \int\langle p | q  \rangle \langle q | q^\prime \rangle dq \\&= \int e^{-ip q/\hbar} \delta(q-q^\prime) \\&= e^{-ip q^\prime/\hbar} \tag{6}

これは,位置 q=q^\prime に局在する粒子は, 運動量 p が定まらないと言うハイゼンベルクの不確定性原理 を表しています. 実空間と運動量空間は,フーリエ変換で結ばれています.

今日はここまで.