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続々々・ベクトルの回転

特定の向きを向いた剛体が,オイラー角と呼ばれる三つの回転を行った後の状態は, ある一つの軸まわりの回転で,同じ向きを向けることができます. その回転軸と回転の大きさを求めてみよう.というのが,今回の記事 です. ベクトルの回転続ベクトルの回転続々ベクトルの回転 の続編です.

オイラー角

オイラー角は,次の三つの行列の積で表されます. この三回の回転で,どんな向きでも向くことができます. 詳しくは, 剛体のオイラー角でのハミルトニアン の慣性主軸の所をご覧ください.

K &= R_{z^{\prime\prime}}(\psi) R_{y^\prime}(\theta) R_z(\phi) \\&= \begin{pmatrix}\cos \psi & \sin \psi & 0 \\-\sin \psi & \cos \psi & 0 \\0 & 0 & 1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\cos \theta & 0 & - \sin \theta \\0 & 1 & 0 \\\sin \theta & 0 & \cos \theta\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\cos \phi & \sin \phi & 0 \\-\sin \phi & \cos \phi & 0 \\0 & 0 & 1\end{pmatrix} \\&= \begin{pmatrix}\cos \theta \cos \phi \cos \psi - \sin \phi \sin \psi & \cos \theta \sin \phi \cos \psi + \cos \phi \sin \psi & - \sin \theta \cos \psi \\-\cos \theta \cos \phi \sin \psi - \sin \phi \cos \psi & -\cos \theta \sin \phi \sin \psi + \cos \phi \cos \psi & \sin \theta \sin \psi \\\sin \theta \cos \phi & \sin \theta \sin \phi & \cos \theta\end{pmatrix} \tag{1}

これと,今までこのシリーズで出てきた原点を通る軸周りの任意の大きさ \alpha の回転行列,

K &= \bm{n}\bm{n}+ \cos \alpha (I-\bm{n}\bm{n})+ \sin \alpha \begin{pmatrix}0 & -n & m \\n & 0 & -l \\-m & l & 0\end{pmatrix} \\&=\begin{pmatrix}l^2+\cos \alpha(m^2+n^2) & lm(1-\cos \alpha)-n \sin \alpha & ln(1-\cos \alpha) + m \sin \alpha \\lm(1-\cos \alpha) +n \sin \alpha & m^2 + \cos \alpha (n^2+l^2) & mn(1-\cos \alpha)-l \sin \alpha \\ln(1-\cos \alpha) - m \sin \alpha & mn(1-\cos \alpha)+l \sin \alpha & n^2 + \cos \alpha (l^2+m^2)\end{pmatrix} \tag{2}

これらが等しいとするのです. ここで,式(1),(2)のトレース(対角和)を取ります. l^2+m^2+n^2=1 に注意すると,

\mathrm{tr} K = 1 + 2 \cos \alpha =(1+ \cos \theta)(1+\cos(\phi+\psi) \ )-1 \tag{3}

よって,

\cos \alpha &= \frac{1}{2}(1+ \cos \theta)(1+\cos(\phi+\psi) \ )-1 \\&= 2 \cos^2(\frac{\theta}{2}) \cos^2\frac{\phi + \psi}{2} -1 \tag{4}

となります.ただし,恒等式 1+\cos x = 2 \cos^2 \frac{x}{2} を 用いました. l,m,n を求める為に対称成分の差を取ります.

K_{32}-K_{23} &= 2 l \sin \alpha \\&= \sin \theta (\sin \phi - \sin \psi) \tag{5}

よって,

l &= \frac{1}{2\sin \alpha}\sin \theta (\sin \phi - \sin \psi) \tag{6}

同様に, m,n についても,

m &= \frac{-1}{2\sin \alpha}\sin \theta (\cos \phi + \cos \psi) \tag{7} n &= \frac{-1}{2\sin \alpha}(1+\cos \theta)\sin (\phi + \psi) \tag{8}

と求められます. 0 \leq \theta \leq \pi-\pi \leq \phi,\psi \leq \pi ですから,

ここで, \sin \alpha = \sqrt{1 - \cos^2 \alpha} \geq 0 を用いて,

\sin \alpha &= \sqrt{1-\cos^2 \alpha} \\&= \sqrt{-4 \cos^4 \dfrac{\theta}{2} \cos^4 \dfrac{\phi+\psi}{2}+4 \cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2} } \\&= \begin{cases} 2 \cos \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\phi+\psi}{2}  \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}} \geq 0 \ \ \ \ \ \ \ (\mathrm{when} -\pi \leq  \phi+\psi \leq \pi ) \\ - 2 \cos \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\phi+\psi}{2}  \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}} \geq 0 \ \ \ \ \ \ \ (\mathrm{when}  -2\pi \leq \phi + \psi \leq -\pi \ ,\  \pi \leq \phi+\psi \leq 2\pi )  \end{cases}\tag{9}

と,計算できます.そして,三角関数の和積の公式と半角の公式 [*] を用いてやると,

[*]一応書いておきます. \sin A - \sin B = 2 \cos \dfrac{A+B}{2} \sin \dfrac{A-B}{2} と , \cos A + \cos B = 2 \cos \dfrac{A+B}{2} \cos \dfrac{A-B}{2} と , \sin \theta = 2 \sin \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\theta}{2} を用いました.
l &= \dfrac{2 \sin \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\theta}{2} \times 2 \sin \dfrac{\phi-\psi}{2}  \cos \dfrac{\phi+\psi}{2}}{\pm 4 \cos \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\phi+\psi}{2}  \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}}} \\&=\frac{\pm \sin \dfrac{\theta}{2} \sin \dfrac{\phi-\psi}{2} }{ \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}}} \tag{10} m &=\dfrac{\mp \sin \dfrac{\theta}{2} \cos \dfrac{\phi-\psi}{2} }{ \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}}} \tag{11} n &=\dfrac{\mp \cos \dfrac{\theta}{2} \sin \dfrac{\phi+\psi}{2} }{ \sqrt{1-\cos^2 \dfrac{\theta}{2} \cos^2 \dfrac{\phi+\psi}{2}}} \tag{12}

となり,(ただし,複号同順で,式(9)の符号と一致させます.)それなりにきれいな形になりました.

以上,回転の公式の対応の検証でした. 今日は,ここまで.