特定の向きを向いた剛体が,オイラー角と呼ばれる三つの回転を行った後の状態は, ある一つの軸まわりの回転で,同じ向きを向けることができます. その回転軸と回転の大きさを求めてみよう.というのが,今回の記事 です. ベクトルの回転 , 続ベクトルの回転 , 続々ベクトルの回転 の続編です.
オイラー角は,次の三つの行列の積で表されます. この三回の回転で,どんな向きでも向くことができます. 詳しくは, 剛体のオイラー角でのハミルトニアン の慣性主軸の所をご覧ください. また,式 の二番目の等号が分からない方は 複雑な回転を基本的な回転で表す方法 も見ておくといいでしょう.
これと,今までこのシリーズで出てきた原点を通る軸周りの任意の大きさ の回転行列,
これらが等しいとするのです. ここで,式(1),(2)のトレース(対角和)を取ります. に注意すると,
よって,
となります.ただし,恒等式 を 用いました. を求める為に対称成分の差を取ります.
よって,
同様に, についても,
と求められます. , ですから,
ここで, を用いて,
と,計算できます.そして,三角関数の和積の公式と半角の公式 [*] を用いてやると,
[*] | 一応書いておきます. と , と , を用いました. |
となり,(ただし,複号同順で,式(9)の符号と一致させます.)それなりにきれいな形になりました.
以上,回転の公式の対応の検証でした. 今日は,ここまで.