この記事は, 任意の方向を向いたスピンのxyz方向固有状態での展開 という 記事の姉妹編です.
二電子のスピン波動関数のスピンのz成分 の
固有状態を
の固有状態で展開してみました.
波動関数を基底,
の順番にとります.
これらの線形結合により,z方向のスピン演算子, は,
対角化されます.
より,
ここで,例えば の行列表示は,作用するのは一番目の矢印だけであって,
二番目の矢印を無視して,演算子が一番目の矢印の向きを変える時,
を書き込みます.
以上より,だから,
ここで,
として,式 の
の部分を行列
で対角化すると,
よって, (三重項)
と (一重項)
に分かれます.古典的な描像を図にするならば,下図のようになります.
まずは,固有関数の展開に必要な の固有状態を準備します.
以下では簡単のため,
等と書くことにします.
固有値は,
です.(ただし,repeated rootは,重解を表す.)
固有ベクトルは, に対し,
また, に対し,
そして, に対し,
同様に, の固有関数を求めると,
よって, の固有状態を今求めた
の固有ベクトルで表現すると,
また, に関しても同様に,
となります.式 と式
に注目してみましょう.
となっていますね. これは,x軸とy軸の周りの回転が, 正と負の両方向の回転が重なっていることを表しています. 古典論では,考えられない状態ですね(^_^;)
それでは,今日はこの辺で.お疲れ様でした^^