この記事は現在、プロジェクトメンバーによる査読中のものです。草稿段階ですので、内容・表現の正確さについて責任を負いかねます。 リンクを正しく張れていないところが存在しますのでご注意ください。 正式公開まで、いましばらくお待ちください。
複素関数列の収束

複素平面上のある領域 D 内に,複素関数の列を考えます.

f_{1}(z), \ f_{2}(z), \ f_{3}(z),...,f_{n}(z),...      \tag{1}

ここで各関数を f: z \longmapsto w という写像と考えれば, z 平面上の一点における関数列 \{ f_{n}(z)\} w 平面における点列と見ることが出来るので,関数列も基本的には今まで勉強してきた点列と同じように考えることが出来ます.

このとき,領域 D 内の至るところで,関数列 \{ f_{n}(z)\} (つまり w 平面内の点列)が収束するなら,これを領域 D関数列が収束する と定義します.また,収束するときには極限値が f_{n}(z) \rightarrow f(z) \ (n\rightarrow \infty) と決まりますが,これを 極限関数 と呼びます.

関数列の一様収束

関数列の収束は点列の収束と同様,ε-δ論法によって次のように定義されます.

\forall \varepsilon , \ \exists N \ s.t. \ n \ge N, |f_{n}(z)-f(z)| < \varepsilon      \tag{2}

ただし,ここで |f_{n}(z)-f(z)| < \varepsilon を満たす n は, N だけでなく,一般には D 内のどの点で f_{n}(z) を考えるかにも寄るという点に注意して下さい.

特に,領域 D 内のどの点においても, z には無関係に, \varepsilon だけで N が決まる場合,これを関数列が領域 D 内で 一様収束する と定義します.また,領域 D 内で一様収束ではない場合でも, D 内にとった任意の有界閉領域で一様収束となる場合,この関数列は 広義の一様収束する と定義します.この辺りの用語は,だいたい状況をイメージしやすいので,どれほど難しくないと思います.

関数列が一様収束する必要十分条件は,次のように表せます.

theorem

関数列 \{ f_{n}(z)|\} が領域 D 内で一様収束する必要十分条件は,任意の \varepsilon に対して,『 n \ge N,p>0 \ \Longrightarrow |f_{n+p}(z)-f_{n}(z)| < \varepsilon 』となる Nz と無関係に選べることです.

必要十分は明らかなので,十分条件だけ証明しておきます.どうも,授業の演習問題みたいで,この辺りの定理は面白味に欠けるかもしれません.(・_・)/

proof

f_{n}(z) の極限関数を f(z) とするとき, |f_{n+p}(z)-f_{n}(z)| \rightarrow |f(z)-f_{n}(z)| \ (p \rightarrow \infty) と出来るので, n \ge N に対し, |f(z)-f_{n}(z)| < \varepsilon が成り立ちます.■

関数列の和

前セクションで考えたような関数列 \{ f_{n}(z)\} から,級数を考えることも出来ます.

\sum \limits _{n=1}^{\infty} f_{n}(z) = f_{1}(z)+f_{2}(z) +...

もしくは,この部分和 S_{n} も考えることが出来ます.

S_{n}(z) = f_{1}(z)+f_{2}(z) +...+f_{n}(z)

このような関数項級数もしくは部分和も,領域 D 内の至るところで z によらず収束するならば,これを一様収束と定義することにします.前セクションで定義した一様収束のちょっとした拡大です.一般に関数項級数の一様収束を示すには,定数項級数によって上から押さえ込めることを示せば良いという定理があります.

theorem

領域 D 内の全ての点で,関数項級数 \sum \limits _{n=1}^{\infty} f_{n}(z) に対し,収束する定数項級数 \sum \limits _{n=1}^{\infty} M_{n} を使って |f_{n}(z) \le M_{n}| と評価できるとき, \sum \limits _{n=1}^{\infty} f_{n}(z)D で絶対一様収束します.

このように,級数を上から押さえる \sum \limits _{n=1}^{\infty} M_{n}優級数 と呼びます.この定理は,級数の収束を評価する場面でけっこう重宝します.

proof

f_{n}(z) の部分和を S_{n}=\sum \limits _{i=1}^{n} f_{n}(z) = f_{i}(z) とします.任意の n,p>0 に対し |S_{n+p}(z)-S_{n}(z)| \le |f_{n+1}|+...+|f_{n+p}(z)| \le M_{n+1} + ...+ M_{n+p} が成り立ち, \sum \limits _{n=1}^{\infty} M_{n} は収束するのですから,任意の \varepsilon に対して, M_{n+1} + ...+M_{n+p} < \varepsilon できる N \ge n を選ぶことが出来ます. M_{n} は定数ですから,この Nz の取り方に無関係で,これより \sum \limits _{n=1}^{\infty} f_{n}(z)D 内で一様絶対収束します.■