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リー微分のイメージ(ベクトルによるベクトルのリー微分)

この記事では,ベクトルによるベクトルのリー微分を説明します.

\mathcal{L}_X Y = [X,Y] \tag{1}

と書かれても,よく分からず途方に暮れた人は多いのではないでしょうか? リー微分は分かってしまえば簡単です.

二つの流れを用意する

二次元平面上の二つの流れを用意します. まず, 微分幾何学における流れの具体例 で取り扱った放物線状のベクトル場 Y = \partial_x + x \partial_y と, X = \partial_x と言う, x 軸の正の方向に単位量だけ流れている流れを用意します.

ここで,

\mathcal{L}_X Y &= [X,Y] \\&= \dfrac{\partial}{\partial x} \left( \dfrac{\partial}{\partial x} + x \dfrac{\partial}{\partial y} \right)- \left( \dfrac{\partial}{\partial x} + x \dfrac{\partial}{\partial y} \right) \left( \dfrac{\partial}{\partial x} \right) \\&= \left( \dfrac{\partial^2}{\partial x^2} + \dfrac{\partial}{\partial y} + x \dfrac{\partial^2}{\partial x \partial y} \right)-\left( \dfrac{\partial^2}{\partial x^2} + x \dfrac{\partial^2}{\partial x \partial y} \right) \\&= \dfrac{\partial}{\partial y} \tag{2}

となりました.これは,何を表しているかと言うと, X の流れに単位量だけ乗った後 Y の流れに単位量だけ乗った結果から, Y の流れに単位量だけ乗った後 X の流れに単位量だけ乗った結果を引いたベクトルを表しています.

図を見れば明らかでしょう.

chromel-whatMeansLieDerivative-01.png

これは,参考文献にもある通りです. XYYX も二階の微分を含むのでベクトルではないのですが, XY-YX はうまく相殺して一階の微分となっていることに注意して下さい.実はこの記事はリー微分の全てではなくて,多様体上のリー微分になると,基底である \partial_x,\partial_y 等の変換も扱わねばならないようです.僕が理解した時には追って報告しようと思います.今日はここまで,お疲れさまでした.