単振り子の直交座標の微分方程式

単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんの書込 (2006/06/22(Thu) 19:34)

はじめまして,大学生なんですが,単振り子の微分方程式をたてるときって,普通は自然座標系か二次元極座標系を使いますよね?そこで,質問なんですけど,単振り子を直交座標成分にわけて,微分方程式を解くことって可能なのでしょうか?可能ならば,どうやれば,速度v(dx/dt)や変位xを求めることができますか?

単振り子の式

mA↑=mg↑+T↑(張力)

これを直交座標成分に分解すると,

x成分

m(Ax)=Tsinα

y成分

m(Ay)=mg-Tcosα

ここから微分方程式を使えば速度Vのx,y成分を求めることができるらしいのですが,微分方程式の解き方がわかりません.どのようにといたらいいでしょうか?

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

toorisugari no Hiro さんのレス (2006/06/22(Thu) 20:39)

不可能ではないですが相当ややこしいかな? まず,完全な微分方程式を得なければいけません.(これだけでも結構勉強になるような..)

そのためには, T が未定なのでこれを決定しなければいけませんが,それには,拘束条件「糸の長さは変わらない」を考慮しなければいけません.

軸座標系なら自然に導入できますが,直角座標系なら

x^2+y^2=R^2 \quad (R=\mbox{const.})

を使って T を消去しなければいけません.なお,この式をそのまま使うより, t で複数回微分して考えた方がよいと思います.(高校なら遠心力も含めた釣り合いで考えるのでしょうが,ここはがんばって計算してください.)

とりあえず,こうして x,y の完全な微分方程式が得られますが,それを解くのは...かなり無理かと...(軸座標系に戻すしかないような)

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんのレス (2006/06/22(Thu) 21:52)

早速のレスありがとうございます.

せめて張力Tが変位(x)や速度(v)の関数で表せたらとけるんですが...

const.って何ですか?すみません,無知なもので...まだ数学では微分方程式はおそわってないですね...物理の授業でさわりをやっただけです.なのに教授は,「単振り子の直交座標の微分方程式をたてて,それぞれの成分についてのvを求めるように」といってきました汗

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

toorisugari no Hiro さんのレス (2006/06/22(Thu) 22:09)

> せめて張力Tが変位(x)や速度(v)の関数で表せたら

できますよ.上の考えをよく理解してください.

> const.って何ですか?

constantの略.(後は辞書を見てください.)

> 微分方程式はおそわってないですね

微分を知っていれば方程式を出すまではいけます.がんばってください.

m\frac{d^2x}{dt^2} &= ~~~~~~~ - T\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\\m\frac{d^2y}{dt^2} &= -mg   - T\frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\\x^2+y^2 &= R^2 \quad(R:~\mbox{constant})

これから2階微分の項を消去すればいいのです.

> それぞれの成分についてのvを求めるように

これは無理っぽいような...角運動量の方程式を求めるならまだしも...

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

mNeji さんのレス (2006/06/22(Thu) 22:34)

水泳の腕や脚の計算をしようと準備中です.これに近い話が幾つか派生するのでちょっと気になっていますが...

この手の糸の問題は;

+糸が伸び縮みしない +糸が撓みもしない

というのがとても重要です.まるで質量のない剛体リンクと同じです.

ですから「toorisugari no Hiro」さんが提示されたように,xy座標系で考えると「T」と前面対決という不毛の戦いに巻き込まれると思います.

やはり極座標の土俵の基,

+回転角度の接線成分の運動方程式を解いて, +必要なら,動径方向の運動方程式より,「T」を計算する

のが筋では? 連立微分方程式を数値積分で解くのは,それこそ多関節リンクのような場合ではないでしょうか?

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

mNeji さんのレス (2006/06/22(Thu) 22:41)

追伸

やや生意気にいえば,Tが決まるから運動が決まるわけではない.運動が解けるから,Tが決まるのだとおもいます.

確かに,高校生のころ,幾つもの仮説がでてから「振り子の動き」が出されたので,とても抵抗を感じたような記憶が,ほんのりと思い出しました(笑).

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/23(Fri) 00:41)

toorisugari no Hiro さんの書かれた最初の方程式にdx/dt,2番目の式にdy/dt を掛けて足し合わせてから x^2+y^2=R^2 を利用すると,T が消去されて,それを積分すると次のエネルギーの積分が得られます. \frac{1}{2}m\left[\left(\frac{dx}{dt}\right) ^2+\left(\frac{dy}{dt}\right) ^2\right] +mgy=E (これはエネルギーの保存を表す式なので,運動方程式を用いなくても書くことができるでしょう.) 一方, x^2+y^2=R^2 より \frac{dx}{dt}=-\frac{y}{x}\left(\frac{dy}{dt}\right) となり,従って \left(\frac{dx}{dt}\right)^2=\frac{y^2}{R^2-y^2}\left(\frac{dy}{dt}\right)^2 が得られます. この関係を用いるとエネルギーの積分は \frac{mR^2}{2(R^2-y^2)}\left(\frac{dy}{dt}\right)^2+mgy=E となるので,これから速度のy成分 \frac{dy}{dt}y だけの式で表すことができます. その結果,変数分離型の微分方程式が得られ,積分して解くことができますが,積分の実際の計算は相当面倒なものになりそうです.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

なんとなく さんのレス (2006/06/23(Fri) 01:20)

こんにちは.

yamaさんのやりかた(第一積分)で,(x,y)方向の速度は求まりましたが,これ,単振り子ですよね.ということは,すでにエネルギー積分の式にも片鱗が現れていますが,位置(x,y)そのものは,けっきょくは楕円積分となり,解析解はそこどまりのはずですね. 初等教育問題としては,少し不適切な気もします.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

toorisugari no Hiro さんのレス (2006/06/23(Fri) 09:58)

> これから速度のy成分 frac{dy}{dt} を y だけの式で表すことができます.

おお,すごい.

前言の > これは無理っぽいような... は撤回させていただきます.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

トンガリ さんのレス (2006/06/23(Fri) 10:38)

x=sin ωtを微分してx’=ω cos ωtさらに微分して x’’=−ω^2 sin ωt =−ω^2 x・・・・・? は高校で習ったが,微分方程式の解き方を習ってないのが,このテーマの特徴である.

y軸を鉛直下向きに置いたx-y直角座標系で,糸の長さR,糸とy軸の成す角をθとして, θ=0 から重りを水平方向に少しのAだけ変位させてから,そっと離した場合を考えると, 近似的に糸の張力 = 重りの重力 近似的に水平方向の復元力 = 糸の張力 sin θ = 重りの重力 x/R

よって,水平方向の運動方程式は 近似式mx’’=−mg x/R整理してx’’=−g/R x

ここでω^2=g/Rとおくと, 近似式x’’=−ω^2 x・・・・・・・・・・・・・・・・?

?と?の右辺を比較すると同じ式だ.あえて?を積分しなくても,解は ?の微分前の式だ. これを大学らしく表現すると, x=A sin (ωt+θ.)が?の一般解だ.半振幅A と 位相θ.を 任意定数と呼ぶが,初期条件A で離した時からの時間を tとすると,θ. が 90°と決まる.

重要なのは振動の周期であって,ω^2=g/Rから,周期の近似式2π√(R/g)を得た. 鉛直方向の運動方程式は,水平方向の解が求まった今は無用である.

ちなみに,振り子の振動とは違って,近似の必要のない最も単純な, バネ定数Kの先に質量mが付いた振動ではω^2=K/mから,周期2π√(m/K)を得る. 『 バネ秤は単振動.その復元力は変位に比例するわな! 』と憶えておくこと.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/24(Sat) 09:24)

微分方程式を用いると難しくなってしまいましたが,「速度成分をそれぞれの座標の関数として表す」ということに限れば,微分方程式を用いなくても,高校物理の範囲で解答できます.

エネルギーの保存の式 \frac{1}{2}mv^2+mgy=E を用いると,速さ vy だけの式で表すことができます. その式で y=-\sqrt{R^2-x^2} と置くと, vx だけの式で表すことができます. 速度成分は, v_x=\pm v\sin\theta=\mp v\cdot\frac{\sqrt{R^2-x^2}}{R}\quad ,\quad v_y=\mp v\cos\theta=\pm (\mp )v\cdot\frac{\sqrt{R^2-y^2}}{R} となります. ただし, v_x の式では vx だけの式で, v_y の式では vy だけの式で表されているものとします. (初めに書いた式に誤りがあったので修正しました.)

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんのレス (2006/06/24(Sat) 22:49)

皆さん,ありがとうございます!!

ところで,toorisugari no HiroがたてたY成分の式のmgって,どうしてマイナスになるんでしょうか?g↑の成分が(0,-g)だからですか?

あと,yamaさんが教えてくださった

>>toorisugari no Hiro さんの書かれた最初の方程式にdx/dt,2番目の式にdy/dt を掛けて足し合わせてから を利用すると,T が消去されて,それを積分すると次のエネルギーの積分が得られます.

のdx/dtとdy/dtをかけるというところで質問があるんですが,それは式の両辺にそのまんまかけたらいいんですか?

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/25(Sun) 00:10)

>ところで,toorisugari no HiroがたてたY成分の式のmgって,どうしてマイナスになるんでしょうか?g↑の成分が(0,-g)だからですか?

その通りです.つまり,上向きにy軸をとっているからです.なお,支点を原点にとっているので最下点の座標は(0,-R)になります.

>のdx/dtとdy/dtをかけるというところで質問があるんですが,それは式の両辺にそのまんまかけたらいいんですか?

その通りです. \frac{dx}{dt}\left(\frac{d^2x}{dt^2}\right)=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2\right)\quad , \quad x\frac{dx}{dt}+y\frac{dy}{dt}=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}(x^2+y^2)\right) のような関係が成り立つことに注意しましょう.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんのレス (2006/06/25(Sun) 09:53)

ありがとうございます.

実際に演算を行っているのですが,Tの消去の方法がわかりません.X^2+Y^2=R^2でどのように使えばTを消去することができるのでしょうか?

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/25(Sun) 10:32)

R^2 は定数なので,微分すれば0になります.

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんのレス (2006/06/25(Sun) 16:43)

>>R^2 は定数なので,微分すれば0になります.

それはわかるんですが,その式をどう使ってTを消せばいいのかがわかりません...

足し合わせてもTが残ってしまっています.Tを他の文字で表してたらいいんでしょうか?

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/25(Sun) 18:08)

T を含む項だけを計算すると次のようになります. \frac{T}{\sqrt{x^2+y^2}}\left(x\frac{dx}{dt}+y\frac{dy}{dt}\right)=\frac{T}{2R}\left(\frac{d}{dt}(x^2+y^2)\right)=\frac{T}{2R}\left(\frac{d}{dt}R^2\right)=\frac{T}{2R}\times 0=0

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

りきがー さんのレス (2006/06/25(Sun) 20:24)

やっとわかりました!!!

yamaさんのいってたエネルギー保存の式に変形することができました.ありがとうございます!!

Re: 単振り子の直交座標の微分方程式

yama さんのレス (2006/06/26(Mon) 00:00)

理解できたようで良かったですね. ただ計算したら T が消えたというだけでなく,その背後にある物理的な意味も理解しておいてほしいと思います. No.9975の計算は, T_xv_x+T_yv_y=0 であることを示したものです. これはベクトルの内積を用いると \bm{T}\cdot\bm{v}=0 ということですが,張力 \bm{T} と速度 \bm{v} が互いに垂直であることを考えると,この関係は当然のことですね. また, \bm{T}\cdot\bm{v} は張力 \bm{T} の仕事率ですが,「張力は運動方向に垂直にはたらくので仕事をしない」ということからも,この仕事率が0になることが分かるでしょう. このように,張力や垂直抗力が仕事をしない場合は,それらの力はエネルギー保存の式には現れないことが分かると思います.