ご無沙汰してます.以前こちらで大変お世話になったやかんです. ここのところ仕事にかまけて独学がちょっと滞ってました・・. また超基本的な事から教えていただけますでしょうか? grad(勾配)と,div(発散)はそれでもなんとか,わかったのですが, rot(回転)が何度読んでもやっぱりよくわかりません.微小四角形(x,x+Δx,y,y+Δy)をぐるっと一回線積分するのだと思うのですが,そこの計算と意味がどうも・・.また基本的なことで恐縮ですがお教えいただけますでしょうか?
僕もrotを最近理解しました.でも今資料を持っていなくて, また次回でいいでしょうか.多分水曜日になります.
管理人さん,有難うございます.本当に助かります. それでは楽しみにしております.
まず,rot A の向きと大きさについてです.z 成分のみ考えると
(rot A)_z = (∂A_y/∂x - ∂A_x/∂y)
ベクトル積を思い出すとわかりますが ∂A_y/∂x の向きは x 軸から y 軸へひねったときですから z のプラス方向,∂A_x/∂y は y 軸から x 軸へひねったときですから z のマイナス方向です(だから ∂A_x/∂y には負号がついています).
大きさについては, A_x とか A_y とかの大きさを距離で割っているのでなにかの密度のようなものと考えられます.物理でいうとベクトル A と rot A の関係は,速度と角速度の関係です.
微小四角形 (x,x+Δx,y,y+Δy) をぐるっと一周ですが,
<pre>y+Δy ━━━━→─── │ 3 │ │ │ │ ↑ │4 2┃ ↑ ┃ ┃ ┃ ┃ 1 ┃ y ━━→───── x x+Δx</pre>
のような四角形が左回転すると考えると,ベクトルAが回転させる効果は
辺1: A_x(x, y, z)Δx 辺2: A_y(x+Δx, y, z)Δy 辺3:-A_x(x, y+Δy, z)Δx 辺4:-A_x(x, y, z)Δy
となります.マイナスがついている辺は右回転に作用するからです.これらの辺の効果をすべて足すと
{A_y(x+Δx, y, z)-A_y(x, y, z)}Δy - {A_x(x, y+Δx, z)-A_y(x, y, z)}Δx
偏微分を考えるとこれは
∂A_y/∂x・ΔxΔy - ∂A_x/∂y・ΔyΔz
= (∂A_y/∂x - ∂A_x/∂y)ΔyΔz
と書けて,rot A の z 成分と面積を掛けたものになっています.つまり
(微小面積を回転させる効果) = (rot A の大きさ) × (囲まれた微小面積)
となるので,rot A の大きさは面積密度ということになります.さらにこのような微小面積を足し合わせていくと,隣りの面積の辺の成分は互いに打ち消し合い結局ぜんぶ消えて,最後には全体の面積の外周だけ残ります.これは面積分です.これからストークスの定理につながります.rot A のイメージはつぎのサイトが参考になると思います.
さっそくお教えいただきありがとうございます.嬉しくって,急いでハードコピー して読みました.ご説明が,今まで読んだどの本より,すっごくしっくり来て納得できました.本当にありがとうございます. いくつか細かいところでお聞きしてもよろしいですか?
>ベクトル積を思い出すとわかりますが ∂A_y/∂x の向きは x 軸から y 軸へひ>ねったときですから z のプラス方向,∂A_x/∂y は y 軸から x 軸へひねった>ときですから z のマイナス方向です(だから ∂A_x/∂y には負号がついていま>す). ベクトル積と同様に,zのプラス方向が右ネジ進行方向ということで一致しているのは,たまたまrotの定義上の事でしょうか?それとも,ナブラとのベクトル積であらわされる事をみても,そうする必然性が強いのでしょうか?(つまらない事だったらすみません・・)
>∂A_y/∂x・ΔxΔy - ∂A_x/∂y・ΔyΔz の一行目の右はじもΔxΔyでしょうか?
ご紹介いただいたリンクの中で(リンク先の内容も,rotが本当にイメージしやすいですね.) v=ωxrはえーっと,スカラーのv=rωじゃなくって・・,すいません, 基本がわかってなくって.どうしてvがωとrの外積の方向になるんでしたっけ? お教えいただけますか?
rotは(そもそもベクトル解析自体もですが)本当に電磁気っぽいですが,(もちろんべクトルは物理から数学に来たと言いますが,)特に外積やrotは右手,左手の法則(電,磁,力)なんかから必要に迫られて生まれたと考えられますでしょうか. (あたりまえだったらすみません・・.)
分かりにくくなってしまったかな,と思ったんですが「すっごくしっくり来て納得できました」といってもらえてよかったです.
> ナブラとのベクトル積であらわされる事をみても, > そうする必然性が強いのでしょうか?
ですね.必然です.
>> ∂A_y/∂x・ΔxΔy - ∂A_x/∂y・ΔyΔz > の一行目の右はじもΔxΔyでしょうか? すいません,タイプミスでした.ΔxΔyです.
> どうしてvがωとrの外積の方向になるんでしたっけ?
ああう,どうしてなんだといわれると,どうしてなんでしょう. 角運動量ベクトル ω は r にも v にも直交するように決められています. でもどうしてだったか忘れてしまいました.はじめから理解してなかったのかも.
たしかに電磁気ではベクトル解析がメインの数式ですね. いつ生まれたのかはちょっと知らないですが, ベクトル解析で物理法則がきれいな形になるのは確かです. 自然法則と数学が一致するのは考えてみると不思議ですよね.
私のつたない質問にもお答えいただき本当に有難うございました. 前回していただいたご説明のおかげで,ちょっとコンプレックスだったrotも 怖くなくなり,また先に進めそうです.ところで話は飛びますが,rotを3行3列の 行列式であらわせると本に書いてあり,定義からもちろんそうなのでしょうけど, ニュアンス的にどうしてそうなのでしょうか.行列式ってそもそも回転をあらわしてるんでしょうか?それとも別の理由で生まれたけど,似た性質を表記に利用しているだけでしょうか?(ご質問まとめてするなんて言ったのに,ポツリポツリですみません)
> 行列式であらわせる たしか覚え方だけだったと思います. 深く考えたことないので分からないですけど. うーん,どうなんだろう.
すいません・・.つい調子に乗って脱線した事をお聞きしてしまいました. 管理人さんのwhat's newや,数学は物理のための手段,記述方法だというお考えも 本当に同感です.よく数学屋,物理屋という言葉がありますが,数学屋より物理屋にあこがれている私としては最後の(行列の)ご質問はきっと必要なかったと思います.さんざん教えていただきながら,困らせてしまいすいません・・. それから,サイン,コサインの話,本当にいいですね.私も高校の時, cosθ=x/rをやっと覚えた時に,教科書の次のページに,さもあたりまえの様にx=rcosθと出ていて面食らった記憶があります.あたりまえっちゃ,あたりまえですが,まだ三角関数に人見知りしている時期に,ちょっと冷たいなと思いました(お見合いで初対面,着物姿しか見ていないのに,次にテニスウエアで来て,先日はどうも,と言われたようなものです).このページをお読みの皆様も同じような 経験がおありでしょうか(そんなバカ私だけかも).続々と新しいご投稿があり, いつまでもお邪魔するのも恐縮なので,失礼いたします.管理人さん,本当に今回も有難うございました.また,近いうちにお聞きしてしまうかと思いますがその時はまたよろしくお願いします.(rot本当に感謝しております!)