ヤングの干渉実験

ヤングの干渉実験

サンダ さんの書込 (2006/05/22(Mon) 23:26)

どうもお邪魔します高三理系のサンダと申します. どうしても納得できない事があるので質問させていただきます.

ヤングの干渉実験のちょっとした応用問題で

スリットS1 S2の間がd スクリーンBまでの距離がL スリットの垂直ニ等分線とスクリーンの交点Oから干渉縞までの距離を xとします

スリットS2の前に厚さt 屈折率nの透明板をおきます このときのxをx'として

B上の干渉縞の位置は透明板を置く前に比べどちらへどれだけ移動したか

という問題で(n-1)tL/dだけ移動する事までは導けました (x'=x+(n-1)tL/dという形で) が,どちらに移動するのかというのは解答を見ると 「干渉縞全体が0から見てS2側に(n-1)tL/d移動する」と書いてあります

私はx'もOからの距離なのだから干渉縞がOから上下に(n-1)tL/d離れると思うのですが…

どう解釈すれば上記の式が上記のような答えになるのでしょうか? (出典:啓林館高校物理?)

Re: ヤングの干渉実験

Joh さんのレス (2006/05/23(Tue) 01:40)

>上下に(n-1)tL/d離れると思うのですが…

上下っていうのは,どういう向きのことですか?

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/23(Tue) 07:50)

>上下っていうのは,どういう向きのことですか?

こうあった干渉縞がlllllll ↑ O こうなるという考えです llll llll ↑ 上O 下

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/23(Tue) 07:56)

慣れないことしたのでヘンな事になりました; 上下というのは干渉縞に直角にスクリーンに沿っての方向で逆の向き という意味です.(別に上下でも左右でも パス設定してなかったので修正できませんでした.すいません

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/23(Tue) 09:58)

光学距離という考え方を使うと,S2の位置がサンダさんの意味の”下” に来ることになります. そうすると,中心位置が「ただ単に,下にずれるだけ」と理解できる んじゃないかな?

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/23(Tue) 12:55)

「ずれる」というのはなんとなく解かったのですが (xにも正負があるということでいいですか?) 「下に」というのが解かりません.

+(n-1)tL/dの向きはxの正の向きと同じだと式から解かるのですが それだとxの正を上として考えているので上にずれる事になるのです.

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/23(Tue) 15:24)

どっちに「ずれる」かというのは,光が透明板を通るということと, 距離差が波長の整数倍で強め合うということを考えると,分かるん じゃないかな.

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/23(Tue) 19:01)

透明板を通ると光路差が増してその差を埋め合わす分透明板のある側(下)へずれる ということでしょうか?

しかしそう考えるとまた式の意味がよく解からなくなってしまいます. 式の正負は考えない方がいいんですか?

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/23(Tue) 19:36)

xとx'は,どっちが大きいと思いますか. もう一度式を確認するといいんじゃないかな.

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/23(Tue) 20:53)

x'=x+(n-1)tL/d でnは光路差が伸びるので正でして,だから(n-1)tL/dも正ですよね?

つまり正を足してるのだからx'の方が大きくて ということは上にずれるのではないでしょうか?

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/23(Tue) 22:11)

>透明板を通ると光路差が増してその差を埋め合わす分透明板のある側(下)へずれる >ということでしょうか?

これは合ってますよ. ということは,「下にずれる」ことは間違い無さそうですよね. 式の作成過程を確認するといいんじゃないかな.

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/24(Wed) 12:50)

何度も何度もわざわざすいませんホント

x=OPとして S2P-S1P=dx/L-?かつS2P+(nt-t)-S1P=dx'/L-?で?を?に代入して

dx/L+(nt-t)=dx'/L となってd/Lで割って

x+(n-1)tL/d=x'

という風に考えております.先生にもきいたところ「これで合っている」とのこと.

ちょっと気になっているのは(nt-t)の符号なんですが(逆なら納得できるので S2Pの道のり上のことだしS2Pに足して問題ないと思うのですが.

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/24(Wed) 13:39)

?の式の導き方は分かりますか. 突然右辺に出てくるわけではありませんよ. ?の式も同様に考えてみましょう. 両方とも一個目の明線までの距離だと考えて,x,x' をもう一度計算すると今度こそ分かるんじゃないかな.

ヒント

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/24(Wed) 14:09)

老婆心ながら・・・ ヒントの数学はちょっと高級なので,高校生だったら a2-b2=(a+b)(a-b)使って計算した方が分かりやすいかな. で重要なのは,xの値はどのように書けるかということ.

⊃これも参考に

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/24(Wed) 14:59)

参考の計算についてなんですが(ヤングの干渉実験2:行路差の計算

S1PからS2Pを引いてるはずなの式の計算が S2PからS1Pを引いてる式になっているんですが

さらにそもそもS1PからS2Pを引いても絶対値記号がないと行路差にはならないと思うので…

で?に関してはS1P-S2P以外は一緒ですよね? で?もS2P-S1Pがそのままでてて,そこに(nt-t)が加わって S2P+(nt-t)-S1P=dx/L+(nt-t)=dx'/dとなって・・・・?かわらないですね・・

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/24(Wed) 17:15)

xとx'の値は計算できましたか. xとx'はλ(波長)を含む式になりますが,計算しましたか. xとx'を確認すれば理解できるんだけどな. 参考の計算は,ここをもう一度見てくれないかな.

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/24(Wed) 17:49)

横から失礼します. まず,?の式が間違っています.正しくは S2P−S1P=dx'/L です. だったら?の式と比べると x=x' になるじゃないかと思うかもしれませんが,そうはなりません.?の式のP と?の式のP は異なる点を表しているからです. 区別するために?の式のPをP' で表すとS2P'−S1P'=dx'/Lとなります.

はじめから簡単に説明しましょう. スクリーン上の点P のO からの変位を x とします.距離でなくて変位を考えるのは,そのほうが一般的で,後の議論に都合が良いからです.P が S1 の側にあるとき,x は正の値をとるものとします. そうすると,点 P の位置に明線が出来る条件は,S2P−S1P=mλ です.ここで m は整数です.m=0 が中央の明線でこれはOに対応します.mの正の値がOよりもS1側の明線,mの負の値がOよりもS2側の明線に対応します. S2P−S1P=dx/L を用いると dx/L=mλ になります. 次に,S2の前に透明板を置いたときに点 P' の位置に明線が出来る条件は k を整数として,,(S2P'+nt)−(S1P'+t)=kλ です. S2P'−S1P'=dx'/L を用いると,dx'/L+(n−1)t=kλ になります, 同じ光路差によってできる明線の位置を比べないといけないので, m=k と置きます. ここまで書けば,あとは分かるでしょう.

一部修正しました.

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/24(Wed) 19:32)

なんかまた解からなくなってきた・・・ yamaさんが言うには xとx’ではPの位置自体が違うので代入して処理はできないと・・ (なぜか参考書だとやってますが

でxを変位と考えると(多分コレは途中で「ズレの原因」が分かった時のアレです

でいちさんがいうには xとx’をλを含む式で計算するとなると次数がからんでくるということで?

xについて次数が1ならば xd/L=λでx=Lλ/dと

でx'ですがmとkとの関係がわからないのでヘタに代入ができません.

なんかもうなにがなにやら・・・

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/25(Thu) 00:05)

さっきの書き込みの後整理してもういちど考えてみたところ どうやらできたらしいのです.

(解) S1側を正として (S2P'の行路は透明板を経て増す為,それを補う為P'はPよりS2に近いことがわかる)

して S2P-S1P=dx/Lでdx/L=mλで明線

S2P'-S1P'=dx'/Lでdx'/L+(nt-t)=kλで明線となり

m=k=0のとき中心の座標が分かる為

x=0, x'=-(n-1)tL/dとなりx'がxより(n-1)tL/d分S2側にあることが解かる終わり

となりました.

dx'/Lに(nt-t)が含まれていると勘違いしていたのがネックだったようですが これであってますでしょうか?

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/25(Thu) 00:39)

一応あっていますが,ちょっと不十分な点があります. 干渉縞の中心が(n-1)tL/d分S2側にずれることは言えていますが,これだけでは干渉縞の間隔が変化したりする可能性を否定できません. 干渉縞全体が一定方向に一定距離だけずれることを示さないといけません. そのためには m=k として(=0とは置かないで)x−x' を計算し,それが m と無関係な一定値になることを示せばいいでしょう.

Re: ヤングの干渉実験

サンダ さんのレス (2006/05/25(Thu) 07:47)

なるほど

いちさんyamaさん 3日間も根気強くご教授いただき本当にありがとうございました. これからもがんばらしていただきます.

(というかこれだとどうやらウチの学校の先生間違ってたのね)

Re: ヤングの干渉実験

いち さんのレス (2006/05/25(Thu) 10:08)

理解できたようで良かったですね. 一番最初の問題文を読む限りは,xの値は,m=1の時と考えるのが 普通ですが,まあ,m=0で同じようなものかな.

Re: ヤングの干渉実験

トンガリ さんのレス (2006/05/25(Thu) 18:46)

【総括】

幾何学的寸法だけを満たす近似式はS1P−S2P=dx/L・・・? (取り違えに注意) 透明板が無いときの,0番目の明線ができる条件はS1P−S2P=0

スリットS2の前の透明板で光路が伸びる分の(n-1)tLだけ S2Pが短かければ,スリットS2側に0番目の明線ができるはず. 透明板を置くことで,0番目の明線ができる条件はS1P−S2P=(n-1)t・・・?

?と?から(n-1)t=dx/Lで,式を整理してx=(n-1)tL/d・・・【結論】 干渉縞全体が0から見てS2側に【結論】だけ移動する.

?の教科書に,S1P>S2Pの図があって,スリットS2P側にP点が描かれているはず. 図を見れば移動方向に迷う可能性は全くない.短いほうに移動するのが当たり前.

具体的な実験装置では,d=0.5mm,L=50mmと想定する. 屈折率n=1.5で厚さt=0.1mmの透明板を想定する. スリットS2の前の透明板で光路が伸びる分の(n-1)tLは0.050mmと計算される.

S1PとS2Pの大差を満たすxの値の厳密解は5.025mmであるが, 近似式?を使ってx=(n-1)tL/d=5mmと計算される. 厳密解に比べて0.5%縮む誤差であるので無視できる, 果たして広く回折して,明るく鮮明であろうか. 為にする問題だったら,今に雷が落ちるよ.

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/25(Thu) 23:22)

0番目の明線が (n-1)tL/d だけずれるからといって,直ちに,干渉縞全体が同じだけずれるとは結論できません.No.9564に書いた通りです.

Re: ヤングの干渉実験

トンガリ さんのレス (2006/05/26(Fri) 10:47)

yamaさんのご指摘どおり, 干渉縞の像がそっくりそのまま5.02525mm平行移動するわけではありません. 像が必ず歪みます.

具体的な実験装置では,d=0.5mm,L=50mmと想定する. 波長0.001mmの光を使う実験では,干渉縞の間隔=0.10000mmと計算される.

スリットS2の前に屈折率1.5で厚さ0.1mmの透明板を置いて, 光路が0.050mmが伸びたときの干渉縞の厳密解は下記の通りです.

S2P側2番目の明線x=5.22842mm 間隔=0.10162mm S2P側1番目の明線x=5.12680mm 間隔=0.10155mm 中央0番目の明線x=5.02525mm 間隔=0.10149mm S1P側1番目の明線x=4.92376mm 間隔=0.10143mm S2P側2番目の明線x=4.82233mm

干渉縞の間隔は透明板が無いときの実験より伸び,その伸び方も非線形です. 元々,この問題の質問には意味がなかったのです.だから概ねで良いのです.

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/26(Fri) 13:31)

干渉縞のずれを問題にすることが意味のないことだとは思いません. 厳密にはもちろん干渉縞は歪みますが,近似的には歪まずにそのままずれると見なしていいと思います.その場合,近似的にそうなることをきちんと示すことが必要です.

Re: ヤングの干渉実験

トンガリ さんのレス (2006/05/26(Fri) 16:30)

No.9564より争点をまとめると, yamaさん『これだけでは干渉縞の間隔が変化したりする可能性を否定できません.』 トンガリ『干渉縞の間隔は必然的に変化する.』 yamaさん『干渉縞全体が一定方向に一定距離だけずれることを示さないといけません.』 トンガリ『干渉縞全体が一定方向に一定距離だけずれることは必然的にありえない.』

トンガリが言う必然性を以下に説明する. 幾何学的寸法だけを満たす近似式はS1P−S2P=dx/L・・・? 透明板が無いときの,m番目の明線ができる条件はS1P−S2P=mλ(m=0,1,2・・・)・・・? 式?と?から,明線ができる位置の近似式x=(L/d)mλ(m=0,1,2・・・)・・・?

式?を観察してxはλの整数倍であると,誤認してはならない. 式?は近似式であるから,厳密にはxはλの整数倍にはならない.したがって, 干渉縞の間隔は厳密には等しくない.mが増加するにつれて間隔が広がる.

波長0.001mmの光を使う実験では,透明板を置こうと置くまいと, x=0mm付近での干渉縞の間隔は0.1000mm x=5mm付近での干渉縞の間隔は0.1015mm が厳密解で干渉縞の間隔はもともと歪んでいた.

透明板を置いたからといって特段なことを考える必要は全くない.

◎干渉縞パターン自体が変化する理由はない. 0番目の明線ができる位置が,x=0mm付近からx=5mm付近に移っただけである. 透明板が無いときの50番目の明線を,透明板を置いた時は0番目の明線と呼び換えるだけ.

◎鮮明に見える範囲が変化する理由もない. 実験者は透明板の有無による干渉縞パターンの変化を観測し得ない.何ら変化がない. 雷の『為にするテーマ』であった.

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/26(Fri) 17:51)

近似の話と厳密な話が混同されているようですが・・・・ 干渉縞全体がそのままずれるというのは当然近似の話です.

トンガリの言われる『干渉縞の間隔は必然的に変化する.』とか『干渉縞全体が一定方向に一定距離だけずれることは必然的にありえない.』というのは厳密な話としてはその通りです. しかし,これは近似的な話としての『干渉縞全体が一定方向に一定距離だけずれる.』ということと矛盾するわけではありません.トンガリさん自身も『干渉縞全体が0から見てS2側に【結論】だけ移動する.』書かれていますが,これは近似の話だと思います.

Re: ヤングの干渉実験

yama さんのレス (2006/05/26(Fri) 22:30)

>実験者は透明板の有無による干渉縞パターンの変化を観測し得ない.何ら変化がない.

確かに場合によってはそういうこともありえますね.理想的な単色光の場合は,位相が 2π の整数倍だけずれたとしても波としての物理的状態は全く同じなので,透明板による位相のずれが 2π のちょうど整数倍であれば,干渉縞は全く変化しないことになります. しかし,位相のずれが 2π のちょうど整数倍ではない場合,たとえば半波長板とか4分の1波長板とかを置いた場合は,明らかに干渉縞は変化します.