初めまして.高専に通ってまして,今半導体の授業をとってます. その半導体で家で予習をしてて理解できないのでアドバイスして頂きたいのです.
不純物半導体のn型で,リンをドープさせた時に,リンイオンから電子を離すために,必要なエネルギーがありまよね.その値が水素原子のエネルギーの1/144倍小さく,軌道半径が12倍に大きくなる.軌道半径はおよそ16オングストロームになる.っと教科書にあるのですが,エネルギーが小さくなるのは簡単に伝導電子になれることを現してるのだと思ってるのですが,軌道半径が12倍になるとどうなるのか,どういうことを意味してるのか読めません・・・
お手数ですが,どうゆうことなのか教えてください. お願いいたします.
ななさん,はじめまして. 篠原です.
軌道半径に関してですが,水素原子においてはこれは「ボーア半径」と呼ばれていたものでしたよね? もし,すでに量子力学を学んでおられるのならば,すでにご存知かと思いますが,水素原子の周りを電子は粒子として円軌道を描いているわけではなく,電子雲としてまるで雲のように水素原子の周りに電子は存在します. このとき,ボーア半径がどのような意味を持っていたかというと,電子の波動関数のり広がりがどの程度のものなのか,ということでしたよね? つまり,かなり大雑把な言い方をすると,水素原子の周りの電子の雲は,およそ半径1オングストロームの範囲に分布しているということです.
半導体内のドナーにおいても状況はほぼ同じです. つまり,ドナーに捕らえられた電子が,どの程度の広がりを持って分布しているかを示す指標と思っていただけたらよいと思います.
どうもありがとうございます.
まだ量子力学はしてなくて雲という考え方がいまいちピンときません. 半導体内のドナーに捕らわれた電子の広がりというのが,軌道半径が12倍になったら電子とドナー間の力は小さくなって,伝導電子になりやすいということでしょうか?? 基礎的なことからこの考え方は違いますか?? 理解力が悪くてすみません... またこの点教えていただきたいです!! お願いいたします.
そうですか. 量子力学はまだしていませんか... なら今の段階では,「粒子として円軌道を描いている」と思っておいても良いとは思いますが,少しだけ説明しておきましょう.
水素原子の周りの(基底状態の)電子は,この図のような形で分布しています. つまり,この球の中の「どこか」に電子がいます. (どこにいるかは観測してみてのお楽しみ...観測しないとわかりません.) つまり,ある体積を考えた場合は,その体積の中に「どのくらいの確立で電子が存在するか」ということしか我々は言うことができません. この確立的に分布しているのを,「雲」に例えてるんですね. 例えば1gの水が水滴となって,雲のように,球状に浮かんでいるとしますと,ある体積(例えば右半分)の中に0.5gの水があるとするなら,その体積中に電子が存在する確立は0.5です. (かえって解りにくいかな・・・?わかりにくい場合は気にしないで下さい...)
ボーア半径はこの球の半径を示しているわけです. つまり,水素原子の場合は,この球はピンポン球くらいで, 半導体中のドナーの場合は,この球はバスケットボールくらいの大きさになるということです. (当然,本当はもっともっと小さいわけですが・・・)
まぁ,ここで詳しく量子力学を議論しても仕方ないので,(私も量子力学は良くわからないし・・・) もし気になるのであれば,量子力学を学んでからもう一度考えてみてください :)