エネルギーバンド

エネルギーバンド

たけ店 さんの書込 (2006/03/19(Sun) 18:17)

ありがとうございます!!がんばります!

ますます物理が好きになってしまいました.大学で物理学部に進学するわけではなかったんですが,物理を研究してみたいとも思うようにもなっちゃいました.

エネルギーバンドの質問なんですが,私なりの教科書の解釈が正しいのかわからないので,一通り,下の質問の「」のなかに間違いがないかだけ見てください.

「原子にはエネルギー準位ができている.エネルギー準位は,エネルギーが大きくなればなるほどエネルギーギャップの幅が小さくなる.この準位は原子によって決まっている.エネルギーバンドには入る電子の量が決まっている」 ここでひとつの質問なんですが,原子によって準位が決まっているなら,同じ原子がN個集まった結晶になっても同じ準位の集まりだから,バンドになるのではなく,準位がN個重なった状態になるのではないのでしょうか.

Re: エネルギーバンド

篠原 さんのレス (2006/03/19(Sun) 19:20)

なかなか難しい質問ですね・・・

とりあえず,「」の中に書いてあることに間違いは見つかりません.

>同じ原子がN個集まった結晶になっても同じ準位の集まりだから,バンドになるのではなく,準位がN個重なった状態になるのではないのでしょうか.

実際はそのようにはなりません. 同じ種類の原子2つの距離を近づけていったとき,もともと同じエネルギーだった2つの原子に属する準位は,2つに分裂することになります. 「なぜ2つに分裂するの?」と聞かれると,私の知識では詳しく説明できません. とりあえず,「原子間の相互作用のため」とだけ言っておきます. 同様に,同種の元素をN個(例えば,1モル,アボガドロ定数)だけ集めたときには,1本の準位はN本に分かれることになります. このN本に別れ,ほとんどエネルギーが連続的な値を取れるような準位を,バンドと呼んでいるわけです.

ここの部分,私も実は良く理解できていません. 私の文章に誤りがあるかもしれません. 興味があるのならば,私の説明だけを聞いて,「あぁ,そういうもんなんだ〜」とは思わずに,大学でご自分で詳しく勉強されることをお勧めします. もちろん,もっと詳しく質問しても結構です. 私は,私が答えられる範囲内で返答しますが,何分,しっかり勉強できていないもので,全部私の言葉をそのまま信用しないよう,お願いいたします.

Re: エネルギーバンド

たけ店 さんのレス (2006/03/20(Mon) 22:03)

教科書に,バンドがNこ重なる」とかいてあったんで,私はてっきり準位が重なるだけかと思ってしまいました.そうではなくて,N個に分かれるということだったんですね!それが結果として「重なる」わけだったのか!なるほど,バンドについての大まかなイメージをつかむことができました!ありがとうございます!

「」のなかは,教科書を解釈したというか自分なりの推測だったんで,間違いないといわれてよかったです.そうでないと質問がさらに出てきてしまいそうで・・.っというかほかにも質問があったんですが,「」の中が正しいので解決できたと思います.やはり基礎は大切ですね...

本当に物理は面白いです.趣味でこれからも続けるつもりです.また疑問が出てしまったら,意味のわからない質問ながらも,そのときは聞いてやってください.当然ながら自分で調べて推測をたてますから.実際,調べてるときにこのサイトとであったんで・・^^;すいません・・・.

本当にありがとうございます.これからもがんばります!

Re: エネルギーバンド

篠原 さんのレス (2006/03/20(Mon) 22:20)

お役に立ててよかったです.

物理は,理学部だけではなく,工学部でもたくさん使いますよ. また,生物関連の分野の方から物理の質問が来ることもあります. 趣味であれ,やっておくのに損は無いでしょうね. 面白いとお思いなら,なおさらです.

これからもがんばってください!

Re: エネルギーバンド

CB さんのレス (2006/03/21(Tue) 00:34)

疑問が解決して良かったですね. 高校理科は天下り的な展開が多くて,本質に迫ろうとすると途端に壁にぶつかりますよね.(私もそうでした.でも,たけ店さんのようにとことん解決しようとせずただ目前の問題を解くことに専念してしまいましたね)

今は,趣味としての物理と受験勉強をうまく両立させてください. 特に理系学部は入学後に受験勉強が少なからず役に立つと思います.がんばってください

P.S. バンドの話ですが,,, N個の原子があるからバンドが形成されるのですが,正確には原子が周期的に並んでいる(結晶性)ことに起因しています.

Re: エネルギーバンド

篠原 さんのレス (2006/03/21(Tue) 12:47)

CBさん,こんにちは. 半導体を勉強しているにもかかわらず,バンドを良く理解できていない篠原です.

というのは,かぎしっぽにおいてバンドに関する記事を書いているときに次のような指摘を受けました. 私は,大学では, 「パウリの排他律により,4つの量子数,エネルギーが全く同じ準位を作ることができないため,2つの原子を近づけたときは準位が2つに分裂する.」 というように教わりました. この説明を聞いたとき,私自身,「あぁ,なるほど,わかりやすい!」 と思いました. しかし,バンドに関する記事を書いて査読したときに,「その解釈は本当に正しいのか?」という指摘を受け,結局この解釈が正しいということを示せず,その部分を修正した記事を公開することになりました. 結局,今の私の中では,「1本の準位がN本に分かれてバンドが形成する.」という部分の物理的な説明というか,どのようなメカニズムで分裂するのか,といった部分が納得できていません.

このため,「良く理解できていません」と書きました. (ちょっと言い訳です.) 結局のところは,私の勉強不足なのですが,もう少ししっかり勉強しなきゃなぁ〜と思うところです. なんか,歯切れの悪い文章で申し訳ありません・・・.

Re: エネルギーバンド

CB さんのレス (2006/03/23(Thu) 18:25)

篠原さんこんにちは

学部時代からかなり時間がたって記憶も曖昧になり手元にも詳しい資料は無くなり・・・間違った記述があるかもしれませんが

1) >2つの原子を近づけたときは準位が2つに分裂する まず,真空中に2原子(H原子としましょう)が接近して分子を作るとき,準位は2つなります.ただこの場合1本が2つに分かれるというイメージでは在りません.2つの波動関数が重なると互いに干渉しあって新たな軌道が生まれるという感じです(結合軌道). 干渉には2パターンの可能性があります. まず同位相の波動関数が重なるとき元々の1S軌道より低い位置に準位が形成され電子にとってより安定したものとなりH分子を作ります.これを結合性軌道といいます. 逆位相の場合互いに打ち消し合いより高い位置に準位が形成され,分子は作られません.これを反結合性軌道といいます. 2原子が近づくとき常に結合性か反結合性かの軌道が形成されるわけです.このことをさして準位が2つに分かれると表現しているのだと思います.

これが原子がN個となると周りにあるご近所の原子で結合性軌道,反結合性軌道をつるわけですが微妙にそれぞれ2原子間の距離が異なってますよね.これがモル数オーダーあると十分連続的に準位が並んでると見なしてバンドが形成されてると考えるわけです.このとき電子は結合性軌道(低い準位帯)に収まってますが反結合性軌道は空席として存在はしてるわけです.これが伝導帯というわけです.

以上がかなりおおざっぱな,模型的な見方をしたバンド形成のメカニズムです. で,じゃそれを量子力学的に解析的に解くとどうなるかということですが

2) 結晶中を動く電子は周期的ポテンシャル中を運動しているはずです.そのポテンシャルのシュレーディンガー方程式の解が求めれば良いことになります. 周期をdとする周期ポテンシャル V(x)=V(x+d) を考えてこれを含むシュレーディンガー方程式を解くとおなじdを周期にとる関数となることをブロッホが導きました.これをブロッホの定理といいます.そしてそのような波動関数をブロッホ関数といいます. つまり周期的なポテンシャルを具体的に設定(長さ,周期,ポテンシャルエネルギー等)すればシュレーディンガー方程式を解くことが出来ると言うことです.

そこである幅(結晶格子)を持った有限井戸型ポテンシャルが結晶中に繰り返し存在している単純化したモデル(クローニッヒ・ペニーモデル)を考えてブロッホ関数を求めてみます. すると電子の取り得るエネルギーはある幅を持った帯で在ることが導かれます.これがバンド理論です.

1) 結合軌道については2原子間距離と結合性,反結合性軌道のエネルギー値のグラフが教科書に載ってると思うのでそれを見るとイメージが湧くと思います.科目としては無機化学とかになるのかな.分子軌道論とかその辺だと思います.

2) 量力の教科書的な流れではブロッホ関数の前に2電子(或いは多電子系)の摂動論や変分法による波動関数導出,自由電子論・電子統計などを経てバンド理論に行くと思います. クローニッヒペニーモデルあたりからかなり知識怪しいです.イメージは分かってるつもりですが,中身の計算などは勘弁です・・・

1)と2)はアプローチの仕方がかなり違うのであまりごっちゃに考えない方がいいと思います.分子軌道の話は化学系の方,バンド理論は物理系の方用って感じでしょうか

長文大作で申し訳ないです.もっと簡潔に説明出来れば良いんでしょうが. 図書館やWEBなどでキーワードを元に検索すると色々出てくると思います.その糸口になれば幸いです. (今の学生を取り巻く検索テクノロジーは凄いですね.うらやましい限りです)

Re: エネルギーバンド

Joh さんのレス (2006/03/23(Thu) 19:17)

CBさん,

門外漢なもので,勝手にみなさまの議論を拝読させて頂いておりましたが,CBさんの書き込みでかなり頭が整理されました.無料で掃除をして頂いたような,清清しい気分であります.ありがとうございます!

Re: エネルギーバンド

CB さんのレス (2006/03/25(Sat) 19:39)

Johさん

>無料で掃除をして頂いたような,清清しい気分であります.ありがとうございます! それはなによりです. にしても・・・量子力学は難しいっすね・・・・・

Re: エネルギーバンド

篠原 さんのレス (2006/03/25(Sat) 20:48)

CBさん,こんにちは.

しばらくお出かけしていました. 放置して申し訳ないです.

とっても詳しい説明ありがとうございます. 一通り,このあたりのことは知っていたのですが,CBさんの説明でそれらのことを再確認できました. ありがとうございます.

準位が分裂すると表現したのは,縮退がとけるとの意味です. 1)の視点からのアプローチで,真空中にある2つの水素原子の距離を近づけていったとき,縦軸に準位のエネルギー,横軸に原子間距離のグラフを書くことができ,もともとの1本の1s軌道は,結合性,反結合性の軌道に分かれますよね.「分裂する」という表現は,この意味で使いました.このとき,結合性の軌道でエネルギーが極小になる地点の原子間距離が実際の水素分子の原子間距離になりますよね. このとき,結合性,反結合性の軌道は,2つの水素原子の1s軌道の電子のスピンが同じ方向を向いているときは反結合性となり,逆向きを向いている場合は結合性の軌道となりますよね. このことから考えると,上で述べた「準位が分裂する」原因はパウリの排他率によるものとも考えることができますよね. しかし,2)の視点からのアプローチを考えた場合は,少し性質が違い,金属の自由電子論から出発して,周期ポテンシャルであるときは,すべてエネルギーが連続的な値を取れる中に,禁制帯が現れることを示すことができますよね. このときの結果は,原子の準位が,許容帯と禁制帯に分かれることを示していますが,もしこれを電子のようなフェルミ粒子ではなく,パウリの排他率が効かないボーズ粒子で同じような計算をした場合には,バンドは形成されず電子とは違う結果を導くのか?というのが,査読での指摘でした. 学校の先生によると,「ブロッホ関数を導く過程でフェルミ粒子であることを考慮してある」とはおっしゃっていたのですが,私が導出過程を見たところではそのような考慮はなされていないように思え,結局自分では「パウリの排他率によりバンドが形成される」ということを証明できずに,修正した記事を公開しました.

結局のところ,1)のアプローチと,2)のアプローチをつなぐ,直感的イメージが私の中で作ることができず,モヤモヤしている部分が残っているというのが現状です.

CBさんがおっしゃっていることは,正しいことはわかるのですが,それが私の求めている答えとは少し違います. これは私自身が調べて勉強すべきことで,おそらく,自分自身で調べて勉強しないと,きちんと納得のいく答えを見つけることができないような気がします.

CBさんのおかげでとっても頭の中を整理できました! わざわざご丁寧にありがとうございます!!!

篠原@新幹線

Re: エネルギーバンド

CB さんのレス (2006/03/26(Sun) 00:31)

篠原さん,こんばんは

なるほどそういう事でしたか. こりゃ年寄のいらないお節介でしたね.お恥ずかしや・・・ お節介ついでに,誤解を恐れず書き込みしますね

>縮退がとける やはり私のもってる縮退という言葉のイメージと合致しないんです. 縮退っていうのは端から見たら同じエネルギー準位だけど,実は違う量子状態があるんだよ と言う意味で,結合軌道の話は2つの原子(違う起源を持つポテンシャル)があって始めて出てくる概念だと思っていたのですが(でも正直よくイメージがつかめて無いです.)

>パウリの排他率が効かないボーズ粒子で同じような計算・・ ブロッホ関数の導出ですか・・・・複雑"らしい"です(笑).学生時代には気にも留めてませんでした.

ただ,私の勝手なイメージですが,,, ボース粒子の場合,エネルギーの低い方からじゃかじゃか粒子が埋まっていって禁制も許容もないんじゃないかって つまり,同じ座席(状態)には座れないフェルミ粒子だから本当はもっと低い準位に収まるはずのものがその座席からどんどん追いやられてしまう.そんでもって禁制とか許容といったことが起こるのでは と思います.

>1)のアプローチと,2)のアプローチをつなぐ,直感的イメージが私の中で作ることができず・・ >自分自身で調べて勉強しないと・・・ ぜひ!! そして,そのイメージの一端でかまわないので訊かせてください

結合性軌道と反結合性軌道

nooon さんのレス (2006/03/26(Sun) 12:56)

たけ店さん,CBさん はじめまして, 私も直接疑問を解決できるだけの力量は無いのですが, CBさんの書き込みの内容で木になるところを発見したので 書き込みさせていただきます.

まず,結合性軌道と反結合性軌道のところなのですが, 水素原子を仮定していれば良いのですが 反結合性軌道が伝導帯,結合性軌道が価電子帯を形成すると 言う記述は誤解を生みそうだなとチョット思ってしまいました. Siなんかだと,内殻の軌道は結合性,反結合性ともに 占有されていますから.

それと,バンドの形成は,原子が周期的に並んでいることに起因していると ありますが,周期的なポテンシャルはバンド形成の必要条件ではありません. ブロッホの定理は周期的なポテンシャルを仮定していますが, 結晶でなくてもバンドは形成されます. 結晶は,物質の電子の状態を理解しやすいモデルの一つです.

それから,篠原さんの書き込みにありますが, スピンの向きが同じだと反結合性というわけではありません. 確かに,同じスピン量子数の電子が同じ軌道をとることはできませんが.

他のかたがたに指摘するばかりになってしまいましたが これからの混乱の種にならないようにと考え,書き込ませていただきました.

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

篠原 さんのレス (2006/03/26(Sun) 17:32)

CBさん,nooonさん,こんにちは

nooonさん,ご指摘ありがとうございます. ここの部分がおかしいとなると,このあたりから勉強しなおさなければ・・・(>_<)

nooonさん,KITTEL 固体物理学入門(上)をお持ちでしょうか? この本のP84に次のような図が載っています.

(著作権などの関係で,数日たったら削除します.)

この図から,スピンの平行,反平行より準位が分かれると考えていたのですが,この解釈は間違っていたのでしょうか? ちゃんと計算したことが無いのと,苦手な分野なので,かなり不安があるのですが・・・.

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

nooon さんのレス (2006/03/26(Sun) 21:04)

篠原さん こんにちは

軌道の分裂の本当の起源に関しては 以前の査読のときからまだ明確な答えを 得ることができていません.(というか完全に棚上げしてました.申し訳ありません.

キッテルのISSP内の記述に関してですが, ここでは,軌道の分裂とそれに伴うエネルギーの利得に関しては触れていませんね. 同じ量子状態の電子間の交換相互作用のみでこの問題を整理しようとしているところに 無理があると感じられます. 結合性軌道に近い描像を与えられそうな記述はここでは, 共有結合結晶の最後から二番目の段落でしょうか. というか,ここの説明のみでは誰も納得できないのでは…

二つの水素が分子を形成し,二つの分子軌道を形成し,低いエネルギーの軌道が 結合性軌道,高い方が反結合性軌道.ここまでは篠原さんもわかっていただけていると思います. 一つの軌道にはスピン状態の異なる二つの電子が入ることができます. 結合性軌道に二つはいった状態が,水素分子です. しかしながら,パウリの原理により同じスピンの電子が一つの軌道に入ることはできないため, 平行スピンの場合には,2つ目の電子は反結合性軌道に入ることになり, エネルギーの利得は相殺され結合を形成しないことになります. これがヘリウムとなりますと,スピンの状態がどうなろうと, 結合性軌道,反結合性軌道ともにうまってしまうため,これもまた結合が形成されません. これが分子軌道の考え方に基づいた解釈です.

ともかく,”スピンを同じ状態に固定して”エネルギーの計算を行った結果として p.84の図の結果が導かれるのは計算方法が詳しく示されていませんが正しいのかなとも思います.

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

たけ店 さんのレス (2006/03/26(Sun) 21:43)

話をさえぎっているようで申し訳ありません.

自分の質問だけをしておいて,しばらくパソコンを放置しっぱなしでした. 本当に申し訳ありません.CBさん,篠原さん,nooonさん,本当に感謝しています!!でも,かなり本質的なことなので,暗闇を手探り状態みたいに,ちょっと前に進むのにかなりの時間を使ってしまいます.っというかひとつひとつ調べていっても全体の景色が見えないのでイメージできなくて,私にはもうお手上げです・・・.これが別れば面白いんでしょうが・・・.早く私も大学に行って,物理の勉強をしたいと思います.皆さんの話を聞いて,一緒に考えていくくらいに早くなりたいです!

意味のない文章ではありますが,今まで,お礼の一言もなかったことにお詫びをとおもって書きました.本当にすみません.また,ありがとうございます.

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

篠原 さんのレス (2006/03/26(Sun) 22:17)

nooonさん,たけ店さん,こんにちは.

>nooonさん

なるほど. 図12のグラフは2つの電子についての交換相互作用を示しただけで,準位を示したグラフではないのですね. そこに勘違いが含まれていたようです. ご指摘のとおり,一度交換相互作用から離れて考えるべきですね. 頭が固いもので,なかなか一つの考えから離れることができませんでした. 最初に大学の先生に教わった解釈であるということも影響しているのかもしれません (これも,ちょっと言い訳です・・・)

キッテルの最後のほうに,ヒントになりそうな記述も発見しました. まぁ,この問題ばかり考えていては他の事が先に進まないので,自分で気長に勉強していくことにします.

掲示板での議論,とっても良い刺激になりました. 勉強が足りないな・・・ もっと勉強しなくては!!

>たけ店さん

たけ店さんからの質問のはずなのに,途中で私の質問のような形になってしまい,申し訳ありません.

>早く私も大学に行って,物理の勉強をしたいと思います. ぜひ,そうしてください. 物理は面白いですよ〜 :) 難しくて,私もあちこち苦手な部分がたくさんありますが・・・ 今議論している,量子力学の分野も苦手な部分の一つです. 苦手ですが,問題を考えることについてはとっても楽しいです. この問題が解決できたら,もっと面白くなるんだろうなぁ〜 私もいっぱいがんばります! たけ店さんも,受験勉強など,がんばってください!!

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

CB さんのレス (2006/03/27(Mon) 14:14)

nooonさんはじめまして

>反結合性軌道が伝導帯,結合性軌道が価電子帯を形成すると >言う記述は誤解を生みそうだなとチョット思ってしまいました. ・・・ですね.読み返してみると誤解されまくりな感じですね.しかも自分が多々誤解してそうですし.実はバンド理論の説明で結合軌道云々ってのもしっくりこなかったんですよね.

>周期的なポテンシャルはバンド形成の必要条件ではありません なるほど.周期的ポテンシャルが本質的な部分では無いんですね... ここら辺はかなりさらりと勉強して終わってたような気がします.

ここでいうバンドとは電子の取り得る準位が連続的にあり,それらの準位の間に禁制された隔たりがあるという意味合ですよね. そのような意味であるとした上で質問なんですが,, 調和振動子モデルや井戸型のポテンシャル中に統計を考えなきゃいけないくらい大量の電子があったとしたら,或いは,もっと複雑な"周期的ではない"ポテンシャルを考えたときに同じく大量の電子があったとしたらバンドが形成されるということでしょうか それとも,例えばブロッホの定理の導出過程で周期的ポテンシャルに起因しない本質的な何かを用いているのでしょうか

すみません,つかみどころのない質問で. (もし質問の意味自体がわけわからんって感じだったらバッサリ捨て置いてください)

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

nooon さんのレス (2006/03/28(Tue) 00:05)

篠原さん,たけ店さん, CBさんこんにちは

nooonです.

篠原さん. おっしゃていたキッテルのISSPの図は, 確かに軌道の準位を示すものではありませんが, 電子間の交換相互作用が結合の形成に及ぼす影響を 非常に明快に示した図であると思います. この例においては,平行スピンをとる電子間の交換相互作用により, 結合を形成しないという結論に間違いは無いと思います. また,交換相互作用が,物質の電子構造に非常に深くかかわることは 間違いなく,交換相互作用の観点からあらゆる物質の電子構造を 理解しようと試みることも悪くはないのかもしれません.

Re: 結合性軌道と反結合性軌道

NOBU さんのレス (2006/03/28(Tue) 15:39)

このスレットで発言されている皆さんこんにちは NOBU@物理のかぎプロジェクトです.

篠原さんの記事の査読において,「パウリの排他原理が準位を分裂させる起源ではないのではないか」という指摘をした張本人であります.教科書によっては「パウリの排他原理によって分裂する」と書いてあるものもありますが,今でも違うと考えています. パウリの排他原理というのは「シュレディンガー方程式を解いて出てきた量子状態(準位)には一つの電子しか入れない」という規則であって,シュレディンガー方程式を解く際には,なにも影響を与えないと考えるからです.もしシュレディンガー方程式に「この方程式で扱う粒子はフェルミオンである」という効果が入っているのであれば別だと思いますが…. なので今のところ,準位の分裂やバンドの形成はシュレディンガー方程式(固有値方程式)を解いたら出てくるものでシュレディンガー方程式を認めてしまえば出てくるものだと考えています.なので,物理的な解釈できていません.わかる方いたら教えてください.

篠原さん>僕は水素原子のモデルでも準位の分裂はパウリの排他原理の効果ではないと考えています.そのあたりは少し僕と篠原さんで認識が違うかもしれません.篠原さんがNo.8953で述べていた1番と2番の違いは化学屋さんの見方と物理屋さんの見方の違いであってその間のイメージの差を埋めるのは難しそうですね.というか僕もそこでなやんでます.アシュクロフト・マーミンの「固体物理の基礎」下?の19章を読むと少し参考になるかもしれません.

CBさん>調和振動子や井戸型ポテンシャルでは,とびとびのエネルギー準位が形成されるだけでバンドは形成されません.独立電子近似(電子同士の相互作用は考えない)においては,大量の電子があっても特に準位のエネルギーは変化しないからです.複雑なポテンシャルに関しては僕が以前に書いた記事を読んでいただくと何か参考になるかもしれません.

noooonさん>周期的なポテンシャルでなくてもバンドが形成されるということですが,何か例を挙げていただけますか?僕は周期的でないもの以外でバンドが形成されるというのを見たことがないので.

Re: エネルギー準位

篠原 さんのレス (2006/03/28(Tue) 19:55)

NOBUさん,こんにちは. 篠原です.

まず,周期的なポテンシャルでなくても,私はバンドが形成されると思います. これは,すなわち「アモルファス」ということですよね? 例えば,アモルファスのシリコンのフォトルミネセンス(PLスペクトル)を測定した場合,ある波長の位置にピークが現れ,あるエネルギーのバンドギャップが存在することが分かります. 単結晶のシリコンとは違い,あちこちに変な準位(Deep Level,その他の準位)がたくさんあることは予想されますが,バンド自体は形成されていると考えるのが自然だと思います.

あと,No.8953の前半部分に書いた,水素原子のモデルでの準位の分裂がパウリの排他原理に起因するものという解釈は,No.8959のnooonさんの意見を聞いて以降,間違っているのではないかと私も疑っています. 実際にどうなのかは分かりませんが,もう少しこのことに関しては一人で勉強しようと思います. アシュクロフト・マーミンの本は,以前少しだけ目を通したことがあるのですが,まだしっかり読んだことはありません. この本を含めて,もう少し勉強したいと思います.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/29(Wed) 00:00)

みなさんこんばんは

CBさん.

私は,連続的なエネルギー順位という意味でのバンドについて話しています. 電子の数が十分に多い場合には,その結果として,連続的なエネルギー順位が 得られ,バンドが形成されると考えています.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/29(Wed) 00:06)

NOBUさん

十分大粋な大きさのクラスタや非晶質体の電子状態を調べてみたください.

Re: エネルギー準位

かつ さんのレス (2006/03/29(Wed) 00:48)

NOBUさん,皆さん,こんばんは. 素人が勝手な事を言うのをお許し下さいね.

> 教科書によっては「パウリの排他原理によって分裂する」と書いてあるもの
> もありますが,今でも違うと考えています.

中略 > もしシュレディンガー方程式に「この方程式で扱う粒子はフェルミオンである」 > という効果が入っているのであれば別だと思いますが….

シュレディンガー方程式は無理に入れないとアレですが,ディラック方程式では スピンは勝手に出てくるのでフェルミオンしか扱えなくなるのですから,やはり 排他率で分裂する,ってのは正しい様な気がするんですが・・・違います?

Re: エネルギー準位

yama さんのレス (2006/03/29(Wed) 00:55)

皆さん,こんばんは. 皆さんの書き込みを興味深く読ませてもらっています. なるほどと思うところが多いのですが,ちょっと気になるところもありますので,考えるところを書いてみます.

まず,エネルギーバンドについては,キッテルのISSPでは,ブラッグ反射が原因でエネルギーギャップが生じるように説明されています.また,ブラッグ反射が起こらない限り,波数は連続的な値をとれるので,その範囲ではエネルギー準位が連続的になるということのようです.ということは周期的ポテンシャルが原因でエネルギーバンドが生じると言えそうです. アモルファスといえども原子が完全に無秩序に配列しているわけではなく,狭い領域をとれば,結晶に近い配列をしているのではないでしょうか. 周期的ポテンシャルが原因だとすれば,ボーズ粒子でもバンドが生じることになります.しかし,ボーズ粒子では,1つのバンドに入る粒子数に制限がないので,エネルギーバンドが満たされてしまうということは起こらないでしょう.

次に,水素分子についてですが,かりに電子がボーズ粒子であったとしても,全スピンの値によっては,粒子の交換に対して対称な座標波動関数をとることが可能です.この場合は結合性軌道となって分子をつくります.つまり,水素分子に関する限りパウリの排他律に無関係に結合が生じるわけです. もちろん,もっと複雑な分子ではパウリの排他律が関係してきますが・・・. また,水素分子イオンH 2 + の場合は,1個の電子だけで結合が生じています.電子が1個しかないので,この場合はパウリの排他律にも交換相互作用にも無関係に結合が生じていることになります.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/29(Wed) 10:51)

かつさん,yamaさんこんにちは

かつさん,ブラッグの原理のもとづいてエネルギー固有値が連続的な値をとり, 禁制帯も作られるという点は,私も否定していません. しかしながら,化学系の人間から見た視点では,凝集体を表すのに十分な 数の原子を集めて干渉させた時には連続的なエネルギー準位をとりうるだろうという意見です.

アモルファスといえども,狭い範囲をとれば結晶に近い配列をしているだろう と言うご意見は,非常に鋭いご指摘だと思います. しかしながら,現在の技術では透過型電子顕微鏡をもちいた格子像の観察,およびその視野の電子線回折などの実験から,アモルファスであることは確認できるでしょう. 研究者がアモルファスであるといっても,それが,どの程度のオーダーでアモルファスであるのかは,実際の材料研究の場でもしばしば問題になります.

Re: エネルギー準位

NOBU さんのレス (2006/03/29(Wed) 16:20)

皆さん,いろいろとご指摘をして頂きどうもありがとうございます.

アモルファスに関してはほとんど勉強したことがないので,勉強してみようと思います.何か参考になる図書や論文等あれば教えて下さい.

篠原さん>確かにPL(フォトルミ)のスペクトルをとってピークが出ればギャップがあるのは分かりますが,その結果からすぐにバンドが形成されているとは言えない気がします.とびとびのエネルギー準位でも発光は起こるので.例えば角度分解のphoto emission spectroscopyなどで,エネルギーと波数の分散関係が分かれば連続なエネルギー準位ができていることは確かめられるかもしれません.もちろんその辺の研究はすでにいろいろ行われており,分かっているのでしょうけれど. 「PLでのピーク→バンドの形成」という思考は少し雑な気がしますがどうでしょうか.

nooonさん>アモルファスの電子状態に関してはこれから勉強してみようと思います.ただ一つお聞きしたいことがあります.

>化学系の人間から見た視点では,凝集体を表すのに十分な >数の原子を集めて干渉させた時には連続的なエネルギー準位をとりうるだろう

ということなんですが,これは直感的にということですか,それとも何か理論があるのでしょうか.また干渉という意味がよく分かりませんでした.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/29(Wed) 20:29)

NOBUさん

厳密な理論に基づいた考えではありません. 原子,電子の数が十分であること, それぞれのエネルギー準位はそれぞれが受ける相互作用の違いから同じ値をとらないということ に基づいた直感的な考えです.

干渉というのは波動関数の干渉という意味で用いました. 私は不適切な表現だとは思いませんでしたが. もし適切でない表現であったのならお詫び申し上げます.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/29(Wed) 20:34)

すみません No.8982のブラッグの原理 のところは ブロッホの定理です.

Re: エネルギー準位

篠原 さんのレス (2006/03/29(Wed) 20:52)

みなさんこんにちは

>NOBUさん いつも的を射た指摘をされますね.すごいです.

確かに,PLスペクトルにピークが出るのは,バンドギャップが存在することを示していることに過ぎず,少し強引な解釈ですね. でも,アモルファスでもPN接合を形成して整流性を示す素子を作ることが出来ますし,もし,バンドが形成されていないとすると,デバイスを作ることは不可能だと思います.

>yamaさん >アモルファスといえども原子が完全に無秩序に配列しているわけではなく,狭い領域をとれば,結晶に近い配列をしているのではないでしょうか.

nooonさんご指摘のとおり,アモルファスといっても,単結晶に近いアモルファスや,全く無秩序に並んだアモルファスまでさまざまです. 例えば,単結晶Si上に成長させたアモルファスSiならば,結晶に近い,アモルファスが形成されますが,TFTなど,ガラス上に成長させたアモルファスなら,ほとんど無秩序に並んでいます.

バンドが形成されるのには,十分な量の電子が,互いの波動関数が重なり合う程度の間隔をあけて集まっていることが重要だと思います.

Re: エネルギー準位

篠原 さんのレス (2006/03/29(Wed) 21:04)

すべての解説書で共通していることは,「準位がN本に分裂する」ということですよね.

私としては,1本も準位が重なることなく,すべての準位が違うエネルギーをとるというのは,パウリの排他律のような普遍的な原理が影響していると考えるのが自然ではないかと思ってます. あくまでも,私の直感的なイメージによるものなので,反論されると何の反論もすることは出来ませんが・・・・.

Re: エネルギー準位

かつ さんのレス (2006/03/30(Thu) 00:27)

nooonさん: 思ふに,8982はyamaさんへのレスでは無いかと・・・突っ込む訳じゃ無い ですが,yamaさんもレスを返し難いでせうから,一応書ひてをきます.

Re: エネルギー準位

nooon さんのレス (2006/03/30(Thu) 00:43)

yamaさん,かつさん

大変失礼いたしました. 内容ばかりに気をとられていたようです. 申し訳ありません.

Re: エネルギー準位

CB さんのレス (2006/03/30(Thu) 01:27)

みなさんこんばんは

件数がものすごく伸びているのでビックリしてしまいました. この手の分野は物理的にも興味深いですし,テクノロジーとしても非常に重要なものだと思います.

私が以前質問した"周期的なポテンシャル"とは"厳密な周期性"をもったものを指していったのではありません(結晶でも実際には周期から微妙にずれてるわけで).私の考えでは"周期的なポテンシャル"の範疇の中にアモルファスも含んでるつもりでした. たしかにアモルファスでは数学的な周期性からはかけ離れてると思います. 電子自身からしてみたら,その物質内において無限とも思えるほど原子が連なっていて,物質全長と比べれば隣同士の原子間距離はおおざっぱな近似では(アモルファスといえども)周期的なポテンシャルと見なしてもいいようにも思います.現実的な物理モデルとして考えたとき周期性があるとして良いかなと. もちろん完全な周期性ではないので,禁制帯と許容帯の境目はボコボコでしょうけど,少なくとも"バンド"は形成されてるみていいと思います. なんか後付けサクサク風な付け加えで申し訳ないですが,そのつもりで"周期的なポテンシャル""という言葉を使ってました.

で,先の質問ですが純粋な物理の演習問題として(パズル的な問題として)"周期的ポテンシャル"ではないポテンシャルでバンドが形成されるとしたらどのような場があるのかなぁと疑問に思ったのです.(でも,もうあまり意味がない質問なのでスルーして下さい)

篠原さん >バンドが形成されるのには,十分な量の電子が,互いの波動関数が重なり合う程度の間隔をあけて集まっていることが重要 全くその通りだと思います. その意味で >「準位がN本に分裂する」 ということでしょうし, >パウリの排他律のような普遍的な原理が影響していると考えるのが自然 だと思います.キッテルのあのグラフも画的にわかり易ですし

Re: エネルギー準位

yama さんのレス (2006/03/30(Thu) 16:13)

原子が完全に無秩序に配列している場合は,ブラッグ反射が起こらないので,エネルギーギャップはできないと考えていました. しかし,あらためて考えてみると,ブラッグ反射による説明は自由電子モデルに基づいているので,低エネルギー部分には当てはまらないように思われます. 篠原さんやCBさんが書かれているように,他の原子との相互作用によって多数の準位に分かれると考えると,相互作用があまり大きくなければ,もとの1本1本のエネルギー準位がある幅で広がった形になって,それらの間にエネルギーギャップができるように思われます. 無秩序な配列といっても,原子核どうしがくっつくほど近づくことはないので,相互作用がいくらでも大きくなることはないでしょう.

Re: エネルギー準位

NOBU さんのレス (2006/03/31(Fri) 01:38)

皆さんのいろいろな意見は大変参考になります. どうもありがとうございます. まだ自分の中ですっきりしないこともたくさんありますが, 少し自分で勉強して,考えてみたいと思います.

nooonさん>「原子同士の干渉」という表現が適切,適切でないということでなく,どういう意味で使われているのかを知りたかったため,お聞きしました.ただそれだけですので,特に気にしないで下さい.