工学部3年ひかりです.物性の問題で質問があります. 問 En=-meq^4/2(h/2π)^2(4πεSi)^2n^2 とする. n=1のときのEd(ドナー準位)とEa(アクセプタ準位)の数値を求めよ.
注:me*はSi中の電子の有効質量0.33×9.11×11^-31 εSiはSiの誘電率で11.9ε0=11.9×8.85×10^-12 h/2π=1.05×10^-34 とする.
ドナー準位は,n=1の時のエネルギー固有値なので代入して計算しました.ちなみに,E1≒-5.102×10^-21になりました. でも,アクセプタ準位がわかりません. 私は,ドナー順位にマイナスをかえればいいのかな?と思いました.ドナーイオンとアクセプタイオンの符号が逆という理由です.どなたかご教授ください.
ひかりさん,はじめまして.トミーといいます.
導電帯とドナー準位とのエネルギー差 は,電子の有効質量を用いて算出しますよね.
ですから,価電子帯とアクセプタ準位のエネルギー差 は,正孔の有効質量を用いて計算すれば良いのです.
これは,n形・p形半導体の多数キャリアが何か,ということを考えていただければ容易におわかりいただけるかと思います.
私が愛用している参考書を紹介しておきますね.とてもわかりやすい本です.よろしければ参考になさってください.
松波弘之著「半導体工学」昭晃堂,1999年
ひかりさん,はじめまして. トミーさん,こんにちは. 篠原です.
ちょうどそのあたりの事に関する記事が今査読中で,もうじき公開されると思います.(真性・外因性半導体(中級編)) 公開されたら是非読んでみて下さい.
ドナー準位,アクセプタ準位に関してですが,エネルギーの単位は[eV]を使うことが多いので,[eV]単位で答えを書いたほうが良いと思います.
また,符号に関してなのですが,あまりマイナスなのかプラスなのかは気にしなくても良いです. ドナー準位の符号がマイナスなのは,電子がドナーに捕まっている状態のほうが安定であるということを示すもので,これにより伝導帯の下側にドナー準位が来ることになります. アクセプタの場合,アクセプタイオンの符合が変わりますが,キャリアの符合も変わります.なので,キャリアとイオンが静電的な引力で引き合っているという状態はドナーの場合と変わりません. なので,正孔の場合もアクセプタに捕まっている状態のほうが安定であるため,エネルギーにマイナス符号を付けるべきなのかもしれません. しかし,バンド図を書いた場合は,正孔のエネルギーは電子とは逆に下側が正になるため,価電子帯の少し上にアクセプタ準位がくることになります. このように,符号を付けて考えると,少しややこしくなるので,「どれくらいの深さに準位があるか」を考える場合は,エネルギーの絶対値を示せばよいと思います.
また,トミーさんのアドバイスに書いてあるとおり,正孔の有効質量を用いることをお忘れなく・・・
ではでは,がんばってください.
トミーさん>> 正孔の質量を代入して計算すればいいんですね・・・.実際,問題を出されたときは電子の有効質量しか与えられなかったので計算方法がわかりませんでした.電子の有効質量から正孔の有効質量を求めるのは不可能ですよね・・?トミーさんが紹介してくださった参考書をぜひ読んでみます. 篠原さん>> [ev]にするということは,詳しい数字は忘れましたが,1.6×10^・・・・で割るということですね.符号なんですが,もう1回ノートを見直したところ割ったあとの符号がぬけていました.これも疑問だったのですが,篠原さんのレスがとても参考になりました.
ひかりさん,篠原さん,こんにちは.
>ひかりさん 実は,返答していて私が気になったのは,ひかりさんは正孔の有効質量の値を手元に持っておられるのか,ということでした.やはり持っておられなかったんですね….自分で調べるように,という先生の配慮でしょうか?
参考文献を読んでいただければ,きっとおわかりいただけると思います :) ちなみに電子の電荷量は です.定数をいちいち調べるのは,いつもほんとに面倒くさいですよね (^^;