はじめまして.私は大学3年で現在物理を学んでいる者です. 疑問に感じたこと,分からないことがありますので投稿させていただきます.
半導体物性の授業でヘテロ接合を形成してできた半導体の井戸層について勉強しています. エネルギー準位を実際に計算して,エネルギーが離散化されていることが分かりました.
次に電子の分布と光の分布について考えてみよとのことなのですが,どう考えたらよいのでしょうか?
とりあえず波動関数を求めて,その絶対値の2乗で電子の確立分布を求めたのですが, 光の分布とどのように関係してくるのかが分かりません.
半導体をつくる際に電子と光の分布は重要なものなのでしょうか?
よろしくお願いします.
きつねさん,こんにちはNOBU@物理のかぎプロジェクトです.
光の分布だけでは,なんのことか分かりません. 先生が本当に「光の分布を考えなさい」とおっしゃったのでしょうか?
量子井戸を作製したサンプルに電流を流したり,光を照射したりすれば そのサンプルは発光することがありますが,普段半導体中に光が ある訳ではありません.なので光の分布と言われても,ん〜,と 思ってしまいます.
ヘテロ構造を作製する際に,発光する光の波長や,発光する場所を 設計する事はあるので,応用として光を使うのであれば材料や構造 を工夫します.
きつねさん,はじめまして. 篠原です. 私も学部3年生で,今半導体を勉強中です.
「光の分布」というのの意味はわかりませんが,電子の分布や,ヘテロ構造のなどから推測すると,おそらく先生はレーザーに話を持って行きたいのではないでしょうか?
レーザーを実現するには,「反転分布」という状態を作り出さなければならないのですが,その反転分布を実現するために,「ダブルへテロ構造」という構造を利用します. これにより井戸型ポテンシャルを形成し,反転分布を起こしてレーザー発振を起こさせるわけです.
まだ,波動関数や確率分布などを具体的に計算したことはないので,お役に立てませんが,上に書いたものが問題を解くヒントのようなものになれば幸いです.
NOBUさん返信ありがとうございます. 勉強したばかりで,知識が足らずおかしな発言をしてしまうでしょうが,どうぞよろしくお願いいたします.
>なので光の分布と言われても,ん〜,と思ってしまいます. 半導体レーザなどの光素子について考えるのであれば,いいのでしょうか?
それと,電子の存在確立分布が井戸層(活性層)内に収まっているものと,井戸の外に広がっている状態とどちらが半導体レーザーとしてはいいのですか? 活性層にはキャリアも光も高密度に閉じ込めたほうがいいので,分布が広がらないほうが発振には優れていると思うのですが・・・
篠原さん,ご返信ありがとうございます. とても参考になります!
>おそらく先生はレーザーに話を持って行きたいのではないでしょうか? そうだと思います!おそらく聞き逃していたのかもしれません(^^;
光の分布と確実におっしゃっていたと思うので, 光ファイバーなど光導波路の参考書も読んで勉強しようと思います.
参考になったようで,よかったです.
少し,本で調べてみました. 松波弘之先生の「半導体工学」という本です.
この本では,「光の強さ」という言葉が出てきました.おそらく,「光の分布」というのと,同じ意味でしょう.
この本によると, 「ダブルへテロ構造を用いることにより,エネルギー障壁によるキャリア閉じ込め,ならびに,屈折率による光閉じ込めが同時に行われる.」 と書いてあります.(P.208) この横に,図として縦軸が光の強さ,横軸が距離を示すグラフが載っており,ダブルへテロ構造の中心でピークになるガウス分布のような図が載っています.おそらく,先生がおっしゃった「光の分布」とは,この図のことを指しているのではないかな?と思いました.
活性層の屈折率をクラッド層より高くすることにより,光を活性層に閉じ込めることができ,なおかつレーザー発振に必要な「共振器」の役目を同時に果たしています. この,光閉じ込めにより,活性層内で光の強度が高くなっていることを示したいのではないでしょうか?