仮想変位の原理@熱力学

仮想変位の原理@熱力学

あさ(将来生物をやりたいfreshマン) さんの書込 (2005/08/19(Fri) 11:55)

お久しぶりです. とある参考書読んでいて,以下のような記述に会ったのですが,私の国語力というか理解力不足のために,意味が良くわからないので,教えてください.

「相互作用に全く束縛のない無束縛平衡状態において,次の定理がなりたつ. {定理} 断熱条件下での無束縛平衡状態ではS=Smax 定温定積条件下での無束縛平衡状態ではF=Fmin 定温定圧条件下での無束縛平衡状態ではG=Gmin」

定理は,エントロピー増大の原理,自由エネルギー減少の原理から導かれるものだっていうことはなんとなく分かっています.ここで,無束縛平衡状態というのが良くわからないのですが,無束縛ということは,物質の出入りもアリということですか? さらに続きまして,もっとも知りたいところなのですが

「次に,無束縛平衡状態にすでに達しているとして,その状態(1)を基準にして,それとは異なる任意の状態(2)への仮想的な変化(仮想変位1→2)を考える.すると,状態1で極地に到達した量の値は,状態2では極値に到達しているとは限らない.よって,無束縛平衡状態に到達したか否かの判定に有用な,次の定理が導かれる. {定理}無束縛平衡状態(1)から任意の仮想変位(1→2)について 断熱過程ΔS=S(2)−S(1)≦0 定温定積過程ΔF=・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)」

まず,「仮想的な変化」っていうのが良くわからないです.実際は無理ってことですか? 次に,「状態1で極地に到達した量の値は,状態2では極値に到達しているとは限らない.」という部分が良く分かりません.★(ここが一番知りたいです)それなので,どうして定理のように「ΔS≦0ΔF≧0ΔG≧0」となるのかも良く分かりません.状態(2)は,別に無束縛平衡状態には限らないんですよねぇ...... 最後に「無束縛平衡状態に到達したか否かの判定」というのは,状態(1)が,って言うことですよね?

私は高校で物理未修で大学でも初心者コースにいますので,そのつもりで解説していただけるとありがたいです.どうか,よろしくお願いします<m(__)m> しつこいですけど★は特にお願いします.

Re: 仮想変位の原理@熱力学

yama さんのレス (2005/08/19(Fri) 23:30)

無束縛平衡状態というのはあまり見かけない言葉ですが,「相互作用に全く束縛のない」ということは,自由に相互作用ができるということでしょう.物質の出入りが自由ということではないと思います.

断熱過程では,平衡状態に達したとき,エントロピーは極値(この場合は最大値)をとります.定理は,このことを仮想変位という言葉を使って言い換えただけです. つまり,平衡状態(1)ではエントロピーは極値S(1)をとりますが,それと異なる状態(2)は一般には平衡状態でないので,エントロピーは極値に到達しているとは限らないわけです. 従って,エントロピーS(2)は極値S(1)より大きくなることはないので 断熱過程ΔS=S(2)−S(1)≦0 ということになるわけです. 「仮想的な変化」というのは現実に起こるかどうかに関係なく,単にそのような変化があったものと仮定するだけです.

>状態(2)は,別に無束縛平衡状態には限らないんですよねぇ...... >最後に「無束縛平衡状態に到達したか否かの判定」というのは,状態(1)が,って言うことですよね?

どちらもその通りです.

Re: 仮想変位の原理@熱力学

あさ(将来生物をやりたいfreshマン) さんのレス (2005/08/21(Sun) 12:50)

なんか,「状態1で極地に到達した量の値は,状態2では」の意味を取り違えていたみたいです.外界は同じだからSmaxは同じ値ですもんね. yamaさんありがとうございました