混成軌道

混成軌道

あさ さんの書込 (2005/07/20(Wed) 00:05)

思ったんですけど,どうして混成軌道って作られるんでしょうか. よく,これこれの結合の様子を説明するのに,混成軌道の概念を取り入れるとうまく説明できる・・・・みたいな感じで混成軌道って導入・説明されていますけど,実際はどうしてその原子は自発的に混成軌道を作っちゃうんでしょうか???そうすれば結合できるからっていう説明じゃなくて,どうしてそうして(そこまでして)結合したいんだ(たとえばCは何でsp3混成軌道なんか作ってCH4を形成したいんだ?)っていうことを,教えていただけないでしょうか?

Re: 混成軌道

篠原 さんのレス (2005/07/20(Wed) 01:08)

はじめまして. 篠原と申します.

基本的に,エネルギー的に安定な状態になろうとすると思うんです. 縦軸にポテンシャル,横軸に原子間距離をとったグラフの極小値,つまり,ポテンシャルが一番低い原子間距離において安定しますよね. その原子間距離が,偶然s軌道とp軌道の重なり合った領域であれば,混成軌道となるのではないでしょうか.

専門でない分野なので,大間違いであれば申し訳ありません.

Re: 混成軌道

CB さんのレス (2005/07/20(Wed) 11:55)

あささんこんにちわ

篠原さんが仰るとおりだと思います.

>原子は自発的に 何か事を起こすときは混成軌道に限らず,常にエネルギーが最小になるように振る舞います.電子同士は互いに反発するので,混成する電子が互いに最も遠くなるように空間的に分布します.

量子力学では,多電子系の単元になりますね.高度な内容です(小生も詳しくは覚えてないです).

Re: 混成軌道

あさ さんのレス (2005/07/20(Wed) 19:15)

ありがとうございました. 明日はとうとう試験です.頭の中で理解できていると思っていても,なかなか記述で説明するのは容易ではありませんね.200人ぐらいいる試験会場の中で,ちゃんとできるか緊張しますが,とにかく可だけはもらえるようにがんばってきます!!

Re: 混成軌道

yama さんのレス (2005/07/20(Wed) 23:46)

原子同士が近づくと,相互作用によってエネルギーを放出し,最終的には最も低いエネルギーの安定な状態に落ち着きますが,その状態が原子核同士が適当な距離を保つ平衡状態である場合,化学結合によって分子が形成されたと考えられます. その状態を求めるにはあらゆる原子配置についてシュレーディンガー方程式を解いて,エネルギーが最小になるような原子配置を求めればいいわけです. しかし実際問題としてそれは不可能なので,実際の分子の結合がうまく説明できるようなしくみを考えた結果,混成軌道というものが考えられたのだと思います. その基本的な考え方は,すでに篠原さんやCBさんが書かれているように,混成によって電子分布の方向が偏り,他の原子の軌道と重なることによって,安定な分子軌道をつくるということだと思います. しかしこれを文字通りに解釈してはいけません.というのは分子中の電子は特定の原子に局在しているわけではないので,分子中の原子軌道というものは意味がありません.意味があるのは分子全体として考えた分子軌道です. その分子軌道を近似的に原子軌道の組み合わせで表すことが考えられますが,その場合1つの原子軌道だけでは,近似が良くないので,まずいくつかの原子軌道を重ね合わせて混成軌道をつくり,それをもとにして分子軌道をつくるわけです. つまり,近似的な分子軌道を求めるための数学的な便宜上,混成軌道を考えるわけで,分子中の原子に混成軌道があってそこに電子が配置されているというわけではありません.