はじめまして.大学の2年の者です. 熱力学の問題でどうしてもわからないので 聞きたいのですが. 熱力学の法則の表現にしばしば微分形があらわれるのは なぜか?という問題なのですがよろしくお願いします.
何かがちょこっと変わるときに,それを数式で表そうとすると, 微分になるんじゃないでしょうか.
熱力学では,平衡状態とか準静的過程とかいって,いつも系が 釣り合っている(熱力学的に落ち着いている)ということを仮定 していましたよね.
だから,何か変化があるとしても,全体の釣り合いを壊さないような, ものすごく微妙な変化しか計算しないんです. (激しい変化を扱う熱力学は,上級編です.)
だから,なんでも微分です.こんな回答で納得いただけるでしょうか.
ちょっと割り込ませていただきます.よろしくお願いします.
>Johさん >だから,何か変化があるとしても,全体の釣り合いを壊さないような, ものすごく微妙な変化しか計算しないんです. (激しい変化を扱う熱力学は,上級編です.)
ということですが,僕の理解では,熱力学は,たとえ途中に激しい変化が起こったとしても,始状態と終状態が指定されてさえいれば,エネルギーのやりとりなどについてを定量的に取り扱うことができる点で強力である,と考えているのですが.
もちろん,急激な変化の途中で何が起こっているかは,非常に難しい問題だと思います.
僕の考えとしては,熱力学の法則を微分形式で表現するのは,まず,熱力学関数が状態量に関して微分可能であり,なおかつ,微分形式の方がすっきりと記述できるからだと思います.でも,微分形式で表すのが必然的かと言われると,別に微分形式でなくてもいいんじゃない?という気もしますが.
どうなんでしょう?
最初と最後の状態だけで記述できるというのは, 非常に強力なツールです.
完全微分になっているものならば,積分したときに 経路によらないので,おっしゃるように,最初と最後の 状態量だけで書けてしまいます. (例えば,熱量の微分dQは完全微分ではないので,積分経路に よって値がかわってしまいますが,これを温度Tで割ると, 完全微分になり,最初と最後の状態からだけで,変化を決められる, というのはその例です.)
federさんがおっしゃっているのは,エントロピーとか,エネルギー とか,完全微分になっている物理量に関する計算のことだけだと思います. そうでない変数も熱力学には出てくると思いますので, 確かに大事な視点ではありますが,「熱力学の計算は,全部最初と 最後の状態を比較するだけで決まるんだ」という主張だとすれば, これはやや誤りであると思うのですが,どうでしょう.
むしろ,定式化のところで微分が出てくる必然性は,準静的過程を考えている からだと思うのですが,この点はどうでしょうか.
また,微分形式というのは微分の意味ではなくて,他の意味になってしまいます.
それと,私が激しい変化と書いたのは,非平衡の熱力学 みたいなものを念頭に置いてたんですけど,あんまり適切な 書き方ではなかったかもしれません.
>ということですが,僕の理解では,熱力学は,たとえ途中に激しい変化が起こっ>たとしても,始状態と終状態が指定されてさえいれば,エネルギーのやりとりな>どについてを定量的に取り扱うことができる点で強力である,と考えているので>すが.
準静的過程による変化だとすると,無限時間かかることになると思うのですが, これを激しい変化と呼べるでしょうか.問題は,私が使い始めた,激しい, という表現ですかね.
参考にさせていただきます. ありがとうございました.
>「熱力学の計算は,全部最初と 最後の状態を比較するだけで決まるんだ」という主張だとすれば, これはやや誤りであると思うのですが,どうでしょう.
そうですね,そういう主張は誤りだと思います.熱や仕事というのは,状態で決まるものではないですしね.
>むしろ,定式化のところで微分が出てくる必然性は,準静的過程を考えている からだと思うのですが,この点はどうでしょうか.
僕は,熱力学をそれほど深く勉強しているわけではないので,少しあやふやなのですが,お付き合いお願いします.
例えば,ジュール・トムソン効果の問題で,エンタルピーが最初と最後で等しいわけですが,ここで,温度変化を求めるためにどのような計算をするかというと,エンタルピーが「常に」一定であるとした仮想的な(かつ準静的な)変化に沿って,積分を行うわけですよね(このあたり,もしかすると誤解しているかもしれませんが).何故このようなことが可能かというと,状態量の変化は初めと最後の状態のみで決まるから,ですよね.この意味で,熱力学の計算は,「仮想的な準静的過程を考えている」ということになるのでしょうか.そういうことでしたら,Johさんのおっしゃる「必然性」も分かるかもしれません(もうちょっと考えてみないとわかんないですけど….)
で,準静的過程(あるいは,ちょこっとした変化)を考えることが,何故微分につながるか,というと,それは,状態量が連続かつ微分可能であるという経験事実のためだと思います.そう考えて,僕は前のレスをつけました.
>また,微分形式というのは微分の意味ではなくて,他の意味になってしまいます.
ここは僕の勉強不足かもです.僕の指摘が,まったく的外れでしたら,すみません.
>準静的過程による変化だとすると,無限時間かかることになると思うのですが, これを激しい変化と呼べるでしょうか.
すみません,ここは,正直何を言いたいのかがイマイチ分からないです. 僕は,「激しい変化」を「準静的ではない変化」と読んだのですが,間違っていますか?
たとえ途中に「激しい変化」が起こっても(つまり,非平衡の状態を経由しても),最初と最後が平衡状態に落ち着いていれば,状態量の変化は記述できますよね.それが言いたかったのですが.
熱力学って,難しいですよね.けっこう面白いとは思うんですけど..
Johさん >何かがちょこっと変わるときに,それを数式で表そうとすると, >微分になるんじゃないでしょうか.
僕もそうだと思います.えっと,たとえば積分形だと平均的にその関係が成り立っていてもOKですが,微分形だと厳密にいつでもその関係が成り立っていることを要求することになります.なので,積分形よりも縛りがキツイ. そういう違いに気づいたらOKだと思います.
僕も熱力学は最近勉強し始めたばかりです.大学での講義は熱統計しかまだ受けてません.なので,信用ならないかも・・・
初めましてきちさん. Goodluckと申します.以後よろしくお願いします.
熱力学の所を勉強されているようで微分がでてきて面食らう事が多いといったところでしょうか?一応レスが付いて納得されてるようなので私がしゃしゃり出ることも無いのでしょうけれど…. 多分深く勉強されてる今なら微分系で表されてない公式を見るほうが少ないのではないでしょうか? エントロピーもエンサルピーも当たり前のように微分系ですよね. 基本的に物理学の考え方は(特別な)理想化された現象を考えることが第一です.まずある閉じられたシステムを考えてそこにある内部エネルギーを考えるときに 次の公式がなりたつU=W+Qでしたよね.(熱力学の第一法則です) その熱の移動やそのシステムがする仕事をものすごく小さくとって少しずつ変わって行くのだと仮定するときに初めて微分で表された式が出てきます. それがdU=dW+dQになるわけです.そういう前提なわけです. 後は数学的にdQ=TdSと置いたりする訳です. dWに関してはそのシステムがどういうもので構成されてるのかによりますね.
どうしてわざわざ最小にとってやるのかと問われると,私見ですが,物理学とはそういうものだからではないでしょうか?マクロとミクロの両方のアプローチを取ってやる必要があるからです.とにかく小さな世界で何が起こっているのかを考える. そしてその最小のシステムがたくさんあるのが我々の世界だと仮定するわけです. 最小の世界というと量子力学が絡んでくるわけです. ミクロの世界をマクロの世界に当てはめるために確率論が絡んできますし,抽象的なことがとにかく多いので物理を勉強してる人の中でも苦手だという人が多い分野です.
熱はどうやって移動するのか,熱とはなんなのか.仕事とはなんなのか. 考えていくと熱力学というのは物理学における中核の分野なわけです.
私も何故かこの分野を勉強することが多いのですが,基本的にひとつのシステムを考えてそのシステムのもつ熱容量はいくつなのかを抑えること.そしてエントロピーとエンサルピー,内部エネルギーを抑えておけば学部生の内容に関してはそれほど困らないのではないかな?とか勝手に思ってるのですが.まぁ言いたいことは頑張ってみて欲しいということです.失礼します.
federさん, おっしゃっていることに,だいたい賛成です.
>で,準静的過程(あるいは,ちょこっとした変化)を考えることが,何故微分につながるか,というと,それは,状態量が連続かつ微分可能であるという経験事実のためだと思います.そう考えて,僕は前のレスをつけました.
ただし,この部分ですが,状態量が微分可能かつ連続というのは,経験的事実ではなく,むしろ,そういう便利な計算をしたいがために,(場合によっては無理やり)状態量というものを考え出したのではないか,と私は思っています.
例えば,すでに書きましたが,エントロピーは状態量ですが,今でこそ,乱雑さを表す量だとか,微視的なもっともらしい説明がつけられていますが,そもそもは,直感的に分かりやすい温度とか熱という概念と違って,なんだか意味のよく分からない人工的な量で,単に状態量になるので計算が便利で導入した,というのが歴史的経緯なのではないでしょうか.
私は,最初の,きちさんの質問を,熱力学の基本法則の定式化の段階で,なぜ微分が出てくるのか,という意味に解釈しましたので,あのような微小変化に関することしか書きませんでした.
状態量というのは,熱力学の計算で主役とも言える計算しやすい量ですが,これは経験事実や最初の定式化の部分で必然的に出てきたものではなく,数学的に言って,保存量が欲しかったので後から作り出した変数だと言えると思うのですが,この点はどうでしょうか.
きちさんの質問は,いまいち漠然としていて,よくわかりませんでしたが,私とfederさんの論点は,状態量が,必然的に出てきたものなのか,計算の便宜のために作られたものなのか,という点だけだと思います.あるいは,そんなにはっきりと分けられないものかも知れません.またご意見を賜りたく思います.
私も熱力学は,どちらかというと苦手です.ここでの議論も参考になります.ありがとうございます.
>Goodluckさん 久しぶり.熱力学の記事を書くといっていたのはどうなりましたか? 体調やノートパソコンはもう大丈夫ですか?多分,6月にマンチェスターに行く 用事があります.一杯飲みましょう.
>Johさん
ご無沙汰しております.お陰さまでノートも新しいのが手に入り, 体調は頗る順調です.ありがとうございます. 熱力学に関しては自分の知識がまだあやふやな事とテストが近くそちらに 集中しなければならないこともあり,まだできてません><(言い訳です) 6月12日には帰国を予定しておりますので,それまででしたらいくらでも 付き合いますよ^^それ以後でしたら次は東京ですかね?
私信に掲示板を利用して,皆様すいません. (崎間さんこれから気をつけます.) 次からはメールで送らせてもらいます.