質問です. 出典(単位が取れる電磁気学ノート) 演習問題5−1
半径aの導体球Aと,それをとりまく内径bの同心導体球殻Bでコンデンサーを作る.導体球殻Bは薄くて,外径bとみなせるものとする.次のそれぞれの場合について,このコンデンサーの電気容量を求めよ.導体球Aと導体球殻Bの間の空間は真空で,真空の誘電率をε0とする.
問:導体球殻Bに電荷を与え,導体球Aを接地する.
本の解説:導体球殻Bは外部と内面の両方に表面を持つ.つまり,導体球殻に電荷Qを与えると,外面と内面の両方に電荷が分布する.(内部が空洞ならば,電荷は分布しないが,導体球Aはアースされているから,地球からいくらでも電荷が流れ込める.) 導体球Aに導かれる電荷は導体球殻Bの内面に分布する電荷と等量になるはずである. そこで,導体球殻に電荷Qを与えると,その電荷は球殻の外面にも内面にも分布するから,導体球Aに導かれる電荷の良はQよりは小さくなる.
自分が理解できたところ:導体球殻Bに電荷の外面と内面の両方に電荷が分布するというのはわかりました.ここからが全くわかりません.アースしているので,地球から電荷が流れてくるのはわかります.でも,導体球殻はプラスに帯電してるので,導体の中のマイナス電荷が表面にでてきてプラスの電荷は地球から流れてきたマイナス電荷によって打ち消されるのではないでしょうか?あと,【導体球殻に電荷Qを与えると,その電荷は球殻の外面にも内面にも分布するから,導体球Aに導かれる電荷の良はQよりは小さくなる.】 というのは全く意味がわかりません. その後の解説に載ってる電気容量を求める計算は見たらわかりました.しかし,この本の解説が全くわかりませんでした・・・.電磁気学は静電気やクーロンの法則,導体まで学びました.お願いします.
zakさんはじめまして.質問の約束を守ってくれてありがとうございます.後は,タイトルが「質問 導体球コンデンサーの問題」など,内容を反映させたものですと完璧です!
> でも,導体球殻はプラスに帯電してるので,導体の中のマイナス電荷が > 表面にでてきてプラスの電荷は地球から流れてきたマイナス電荷によっ > て打ち消されるのではないでしょうか?
導体球殻Bと導体球Aはつながっていないので,打ち消されはしないです(「打ち消される」という意味にも依るので,違う意味なのかも知れないのですが…).
> あと,【導体球殻に電荷Qを与えると,その電荷は球殻の外面にも内面に > も分布するから,導体球Aに導かれる電荷の良はQよりは小さくなる.】と > いうのは全く意味がわかりません.
導体球殻Bに与えた電荷は,球殻の外面と内面に分布する,というのはいいでしょうか? 導体球だとその表面にしか分布しないのですが,球殻だと面が「外」と「内」の両面あるわけですね.両面に電荷が分布するのですから,それぞれの面だけでみると,球殻Bに与えた電荷 よりも分散された分だけ少なくなります.
そして,導体球Aに対面しているのは,導体球殻Bの内面だけです.上の理由から,球殻内面(だけ)の電荷は よりも小さいはずです.ですから,それと釣り合うように導かれた導体球Aの電荷も, より小さいはずです.
返信ありがとうございます.
【導体球殻Bと導体球Aはつながっていないので,打ち消されはしないです(「打ち消される」という意味にも依るので,違う意味なのかも知れないのですが…).】 質問なんですが,例えばこの導体球Aにプラスの電荷を与え,導体球殻Bをアースしてないとしますよね.そうすると,導体球Aはプラスに帯電しますよね.すると,導体球殻の内面にはマイナスの電荷が現れて,外の面にはプラスの電荷が現れるじゃないですか.これは,導体の中のマイナスの電荷がプラスの電荷によって引き寄せられ,プラスの電荷は反発して外に行くと考えてよいのでしょうか.そして,もしBをアースした場合は地球からの送り込まれた電荷によって外側の帯電が解消されたと考えてよいのでしょうか.自分はいまいちこのアースの理解が不足しておりよくわかりません・・・. 先日書いた問題もそうなんですが,導体球殻の両面に電荷が現れるのはわかるんですが,いったいぜんたいどこからマイナスの電荷が来たのかがわからないんです・・・.自分は上と同じように導体から来たマイナスの電荷だと思ったんですがこれは間違いでしょうか.
それ以後の説明が理解できました.ありがとうございます.またまた質問ですがすいません.自分は編入試験を控えてるもので4月中に電磁気を1周したいと思っており今やってるんですがこの問題で止まってしました・・.よろしくお願いします.
> これは,導体の中のマイナスの電荷がプラスの電荷によって引き寄せら > れ,プラスの電荷は反発して外に行くと考えてよいのでしょうか.
それで良いと思います.
> そして,もしBをアースした場合は地球からの送り込まれた電荷によって外 > 側の帯電が解消されたと考えてよいのでしょうか.
はい,だいたいそんな感じで良いと思います.僕もアースについて詳しく知らないのですが, 「アースとつながっている部分は全部電位が同じ」と漠然と理解しています(間違ってるかも… (^^; ).
zakさん,はじめまして.
>導体球殻の両面に電荷が現れるのはわかるんですが,いったいぜんたいどこから >マイナスの電荷が来たのかがわからないんです・・・.自分は上と同じように導 >体から来たマイナスの電荷だと思ったんですがこれは間違いでしょうか.
内側の球にプラスの電荷を与えていて,その球を包み込む導体の球殻があるわけですね. もし外側の球殻を設置していない場合は,それまで球殻の中の至る所に存在していた電子が,内側の球に存在している電荷に引き寄せられます.そして球殻の中では,内側の球の近くに電子が集中してしまった結果として,外側の表面にはプラスの電荷が取り残されてしまうことになります. 球殻が何とも接していなかったら,内側の球に電荷を与える前と後で,球殻内部に存在している電荷の合計量は変化しません.内側の球に存在する電荷に引き寄せられた電子と同じ分だけ,プラスの電荷が外側表面に現れます.
では,アースをしていた場合はというと,内側の球に存在しているプラスの電荷は,とにかく電子を身近に引き寄せようとして,球殻に働きかけます.すると球殻の中の電子は内側の方へと引き寄せられます.だけど地面と接しているために,地面のどこか遠くにあった電子を移動させてくることができます. もちろんアースをしていても,実際は地面のどこかではプラスの電荷が取り残されることになるでしょう.だけど,地面には電子はたくさん存在しているし,そのとき問題にしているくらいの量の電荷を工面しても,ほとんど状況は変化しないと考えることができるでしょう.
一般に「アースする(接地する)」と言ってしまったら,考えている状況よりも十分に大きな存在を考えて,アースした部分からは「自由に電子を取り出せる」&「いくらでも電子をそちらに追いやることができる」と考えてしまいます. (そのように考えても問題がないと言い切れるくらい大きな存在を考えます)
ひとまずアースは,無尽蔵に電荷をやり取りできる装置が(理想状態として)そこに存在していると思って,問題に臨んでみてはどうでしょうか.
>蛇足ながら,崎間さん >僕もアースについて詳しく知らないのですが, 「アースとつながっている部分 >は全部電位が同じ」と漠然と理解しています
アースについて,ちゃんとした話を聞いたことは私もないんですよ.高校の時も特に説明があったわけじゃなく,なんとなく“慣れ”でこんなもんかな…と思うようになりましたね. 接地するというのは「その接地した部分と大地の電位を等しくする」ということですよね.だから設置した場所同士は,大地という名の導線で結ばれているのと同じ.だから設置した場所同士は電位が全部同じ…って考えるんでしょうね.
そんで大地というのは,普段,電位の基準点としている無限遠点と比較して,電位差がない存在を指しているのかな…と思います. つまり「接地した場合,その位置は無限遠点(電位の基準点)と電位が同じになる」ということも,言えるんじゃないかな. そんな風に考えると,接地した後の電荷分布がわからないときに,適当な電荷分布を仮定して電位の表式を求めて,“接地した部分の電位が0になる”という条件を課して電荷分布を求める…なんて使い方もできそうですよね.
zakさんへ. すっかり我田引水なのですが……私のHPでは,以前大学で学部1年生が受講する電磁気学の演習を担当した授業の記録を残しています. 寝っ転がって読むこともできる程度の内容だと思いますけど,PDF形式で置いてありますので,もしよかったら軽く目を通してみてくれませんか? ・・・アースに関する説明は脚注に数行だけで,ほぼ皆無ですけど. その他,問題を解くという視点では,役に立つことがあるかもしれません.問題を解くことができるようになって,さらに電磁気学の理解を深めて欲しい…という思いで書いた文章です. 別の教科書で電磁気学を勉強しているなら,なにか参考になるところがあるかもしれません.もしよろしければ,ご検討ください.
↓こちらから,どうぞ.
返信遅れてすいません.答えていただいた皆さんありがとうございます.やっと理解することが出来ました.本当にありがとうございます!
>山本明さん HP参照させていただきます.