こんにちは. 私は機械工に所属しているB4の者です. こちらのページはとても見やすく,以前から度々お邪魔しておりました. これからも楽しみに拝見させていただきます.
材料工学の授業を受けていた時からの疑問で, 今までずっと見ないフリをしてきたことなのですが, Fe-C系状態図にみられる共析温度(723℃)以下の「α+Fe^3C」についてお聞きしたい事があります. 共析温度において共析反応が起こり, 薄い板状のフェライトとセメンタイトが交互に並んだパーライトが形成される,とのことですが, 状態図に表記されている「α+Fe^3C」のαとは,パーライト中の共析フェライトのことを指しているのでしょうか. それとも共析温度以下では,初析フェライトと共析フェライトの区別みたいなものがなくなって,その組織全体のαのこと(初析フェライトと共析フェライトを足し合わせたもの)を指しているのでしょうか. もしそうだとすると,例えば亜共析鋼C0.45%室温状態において, 初析フェライトとして析出していたαの量的割合(てこの法則から導出する)は, この状態図からは計算できないことになるのでしょうか.
数式を使った質問ではないので,自分の疑問がお伝えできてるか不安ですが, お答えいただけると嬉しいです. よろしくお願いします.
ものすごく返信が遅れてしまい,すいません.まだみてくれていますかねー? 僕は材料について初心者ですので,参考程度にご覧いただければ.
> 状態図に表記されている「α+Fe^3C」のαとは,パーライト中の > 共析フェライトのことを指しているのでしょうか. > それとも共析温度以下では,初析フェライトと共析フェライトの区 > 別みたいなものがなくなって,その組織全体のαのこと(初析フェ > ライトと共析フェライトを足し合わせたもの)を指しているのでし > ょうか.
初析フェライトと,パーライト中の共析フェライトの混合だと思います.初析が起こるC量で温度を下げて行くと
となり,さらに温度を下げて,上の が
とパーライトに変態したものを,最終的に と書いて
していると思われます.
> もしそうだとすると,例えば亜共析鋼C0.45%室温状態において, > 初析フェライトとして析出していたαの量的割合(てこの法則から導出する)は, > この状態図からは計算できないことになるのでしょうか.
C量が分かっていれば,初析フェライトの量は共析温度の水平線( 線)で求められますよね.それ以下の温度では,初析フェライトの量は変化しないので,室温での初析フェライトと共析フェライトの割合は求められる,のではないでしょうか.
こんにちは,一応材料を勉強している者です. B3がFe-Cを語るのは恐れ多いのですが,書き込みます. まず,共析点(0,45%C,723℃)で徐冷中ならば
オーステナイト(γ)粒の粒界からパーライトの核が生成 ↓ オーステナイト粒内でパーライトが成長していく. ↓ オーステナイト粒内がパーライトで埋め尽くされる.
この一連の反応が共析点で起こるので,共析点以下の温度では初晶フェライトが成長した共析フェライトが残ることになる.
多分合っているはず・・・,駄文で失礼しました.
崎間さん,材料屋見習いさん
レスありがとうございます. 私は実は材料研究室にこの4月から配属されて, 恥ずかしながら第一希望だったくせに 今までずっと基本的な事を見ないフリをしてきました. 何となく勉強してわかったことにしてたんだと思います.
EBSPを使った組織観察すらしたことがありません. だから金属が冷却されていく過程で, どんな風に組織が変化していくのか全く想像もつかない状態で・・・ 私の不勉強にお付き合いさせてしまって恐縮です.
崎間さん
>C量が分かっていれば,初析フェライトの量は共析温度の水平線(A1線)で求められま>すよね.それ以下の温度では,初析フェライトの量は変化しないので,室温での初析フ>ェライトと共析フェライトの割合は求められる,のではないでしょうか.
ということは, 「α+Fe^3C」域で読み取れるフェライトは初析と共析の混合したものなので, 共析点以降で析出したフェライトから, A1線において,オーステナイトと初析フェライトのてこの関係から求められた 初析フェライトの割合をひいたものが, 共析フェライトの割合になるということでしょうか.
材料屋見習いさん
「初晶フェライトが成長したものが共析フェライト」というので, なるほどそうかと思いました. つまり初析フェライトは, 冷却が進むと共析フェライトに成長(変化)していき, 実質的に初析フェライトは消滅する(組織として存在しなくなる) という理解でいいのでしょうか.
何度も申し訳ないですが,ご教授ください. よろしくお願いします.
berryさん,材料屋見習いさんこんにちは.僕も材料について,これから色々知らなければならないので,大変勉強になっています :)
> ということは, > 「α+Fe^3C」域で読み取れるフェライトは初析と共析の混合したものなので, > 共析点以降で析出したフェライトから, > A1線において,オーステナイトと初析フェライトのてこの関係から求められた > 初析フェライトの割合をひいたものが, > 共析フェライトの割合になるということでしょうか.
はい.本から得た知識では,僕はそう理解しています.同様の問題として
というのを見つけました.
> つまり初析フェライトは, > 冷却が進むと共析フェライトに成長(変化)していき, > 実質的に初析フェライトは消滅する(組織として存在しなくなる)
パーライトに変化するのは 相ですから,組織として初析フェライトが「変化する」ことはないのでは,と思います.
崎間さん
早速のお返事ありがとうございます. ご紹介していただいた資料なんですけど,・・・すごいですね. こんなにきれいなスケッチがあって, 問題の内容も私が疑問に思っていたことそのものなので,大変参考になりました. 自分では学校の図書館やネットで調べたつもりでいましたが, 検索スキルがまだまだ不足してるみたいです.
727℃以下になると,オーステナイトγはパーライトへ劇的な組織変化をしますが, この図の色付けからすると 727℃以下においてパーライトに表れるフェライト(共析フェライト)と, 727℃以上において粒界に現れ出したフェライト(初析フェライト)の 組織や機械的特性なども同じものと考えていいのでしょうか?
>成長はしても,組織として初析フェライトが「変化する」わけではないのでは,と思います.
崎間さんのお話では, 共析点以下では,初析フェライトは量は変わらず, また平衡状態図から, ほとんど共析フェライトとセメンタイトの組成割合に変化は見られないので 共析点以上でオーステナイトγとして存在していた組織が 共析フェライトに変化するのでは, ということですよね.
だんだんクリアになってきた気がします. 丁寧に教えてくださってありがとうございます.
はじめまして,berryさん,崎間さん.
まず,訂正です.共析点のCは0,8%でしたね.後,0,45%付近の話を忘れていました.
>727℃以下になると,オーステナイトγはパーライトへ劇的な組織変化をしまが, >この図の色付けからすると >727℃以下においてパーライトに表れるフェライト(共析フェライト)と, >727℃以上において粒界に現れ出したフェライト(初析フェライト)の >組織や機械的特性なども同じものと考えていいのでしょうか?
同じ組織と考えていいと思います.フェライトはbcc Feの中にCがランダムに溶解した侵入型固溶体ですし. 機械的特性はわかりません.マイクロビッカースで硬さは調べられそうですが.
>共析点以下では,初析フェライトは量は変わらず, >また平衡状態図から, >ほとんど共析フェライトとセメンタイトの組成割合に変化は見られないので >共析点以上でオーステナイトγとして存在していた組織が >共析フェライトに変化するのでは, >ということですよね.
で良いと思います.ただ >ほとんど共析フェライトとセメンタイトの組成割合に変化は見られないので の所の意図が読み取れませんでした.
蛇足ですが冷却曲線と状態図の分かりやすい所があったので紹介しときます.