はじめまして.工学部の学生をやっているものです. この掲示板を今日初めて知りました. いろいろな質問に対して回答されてあり,すばらしい掲示板だと思います.
実は半導体について質問があります.
よく,半導体のCPUなどは電子の移動速度が上がった!=性能が上がった! というのがあります.半導体の種類によって移動速度が違うのは,具体的には なにによるのでしょうか. バンドギャップなどによるものでしょうか,また,その材料そのものによるので しょうか.教えてください.
hoshiさん,こんばんは.
CPUの速度(性能)は,普通は電子の移動速度では無く,スイッチング速度では? つまり“2GHzペン4”とか言っている,あれの事でしょう? 私の理解している限り,主にゲート幅で決まる容量とON抵抗とかで決まる話なのでは? つまり,これは古典的な意味での速度だと思いますが.
hoshiさん,かつさん,初めまして. 誰も続かないようでしたので,専門ではありませんがしゃべらせてもらいます.
> CPUの速度(性能)は,普通は電子の移動速度では無く,スイッチング速度では?
そのスイッチング速度の性能を決めている主要素は,電子やホールの移動速度ではないでしょうか. 実際にニュースなどでは「電子の移動速度」と言ってます.
で,電子の速度は結晶の格子欠陥などに影響されると思います.結晶が揃っていない部分があるとそこで電子がはじかれてドリフト速度が落ちるのだろうと思います.
EMAN さん,はじめまして.御高名はかねがね.
> で,電子の速度は結晶の格子欠陥などに影響されると思います.
確かに,そういう気はしますね. また,最近の Si-Ge 等では,実際バンドギャップが小さいと思われます.
ただ,普通の CPU 等の製品(一般的なC-MOS設計)でのスイッチング速度は, ほぼ完全にゲート幅に依存するようで,俗に設計ルールと呼ばれる幅にほぼ 反比例していますね.スイッチングの変化点はC-MOSなら Vdd/2 付近でしょう から,バンドギャップ云々は関係ないのでは無いか?と思いました. 多分,それで利得とか yfs も変わるでしょうから,電流値とかは変わるだろうと 思ったのです.結果として,古典的な意味で変わるのかな?と想像しました.
ただ,結果として設計ルールで電子のモビリティが向上するのかも知りません. 私もプロセスは門外漢なので迂闊な事は言えませんので,相変わらず?マーク 付きです(A^^;;).
hoshiさん,かつさん,はじめまして.EMANさん,こんにちは.
hoshiさんのご質問の主旨は「電子の移動速度は何によるか」ということだと推察されますので, これについて考えてみました. 半導体素子としての動作速度が何によって決まるかは,わたしにはわかりません.
電子の移動速度vは移動度μと電場Eの積ですが,移動度は電子の散乱が少ないほど, 有効質量が小さいほど速くないます.EMANさんのご指摘のような格子欠陥は散乱の原因になりますが, シリコンでは格子振動(フォノン)による散乱が主です.GaNのように欠陥が多い結晶しかない場合は, 格子欠陥が目立ってきます.有効質量はバンド構造のE-k分散関係から決まり,材料に依存します. 詳しくはKittelの8章を参照ください. また,移動度が同じでも,電場Eが高ければ移動速度は速くなります. しかし材料により,Eには上限があります.上限は降伏現象によって制限されるようです.
全くのド素人ですが,今までの書き込みを見る限りかつさんの発言以外はCPUの性能の物性値における影響のみを書かれているようですね.hoshiさんの専門は材料開発関係なのでしょうか?
ここからは自分の考え(勘違い?)を書きたいと思います. 移動度が高いとなぜはやく動くのかということが自分には良く分からないのですが,これは移動度に依存して平衡状態(線形に起動するようになる)までの時間が変わると思っています(ゲートに電子が溜まるんでしたっけ).つまり移動度が高くなると正常に起動するまでの時間が短くなる(性能が高くなる).このように思いますが,実際はどうなっているのでしょうか?最初の質問の質問のような書き込みになってしまいました.間違っていたら直してください.