http://powerchanging.jimdo.com/ 草原優紀のスキル/奇妙な電磁誘導/
もちろん,間違っていると思いますが,なかなか手ごわいですね.
ポイントは,アプリオリにソレノイド外の磁場が存在しないとしている点かなあ. あと,ソレノイドとともに回転する系で観測される電流と,静止系で観測される電流とは異なると思います.静止系で静止した電子は,回転系から見ると運動していますから,ソレノイドがつくる磁場から力を受けます.それが,静止系からみたときローレンツ短縮によって生じた電荷から受ける力に他ならないということになるのではないでしょうか.やはり理論的にかなりの短絡があるように思われます.
結構,マルチポストされてますね.
疑問点が二つあります. まず, 「このコイルが回転するとコイルの骨格を構成する正イオンの線電荷密度λから 生ずる電界Eλがローレンツ収縮による偏向で・・・」 のくだり. 私は,慣性系において,コイルの回転による密度変化は起こらないと考えます. なぜならば,円環状の導体は切れ目が無いので,回転によって剛体の性質が失わ れると思うからです. また,そもそも,回転系は非慣性系なので,その系において静止状態であっても, 剛体条件も同等に満足する必要があるのかも疑問です. 古典的に言えば,正イオンの形は拉げて見えても,隣り合う二つの正イオン間隔は, 回転によって変化しないのではないでしょうか?
次に, 「もし回転する無限長ソレノイドの座標で電子を見ると,電子がソレノイドの 周りを回転していることになり,しかし,ソレノイドの外には電界も磁界も 無いので力Fは発生しないことになります.」 のくだり. これも,よくわかりません. そもそも,回転系は非慣性系なので,たとえ,観測点がその系で静止いていても, その位置によって電場も磁場も変化するのではないでしょうか? つまり,ある場所の電磁場は,観測点が変われば,変化すると思うのです. よって,非慣性系で荷電粒子の振る舞いを知るには,離れた位置から見た電磁場は 当てにならず,それ自身を観測点にした場合の,荷電粒子系での局所的な電場を 明らかにする必要があるわけで,平たく言えば, 「その荷電粒子に及ぶ電磁気力は,それ自身から見た場合の近傍の電場分布で決まる.」 となるのではないのでしょうか?
すみません. 「このコイルが回転するとコイルの骨格を構成する正イオンの線電荷密度λから 生ずる電界Eλがローレンツ収縮による偏向で・・・」 のくだりの解釈が違ったようですね. サイト主さんは,電荷密度の変化ではなく,「等速直線運動する荷電粒子が作る電磁場」 の粒子速度依存性による変化を主張したかったのだと思います. しかし,やはり疑問があります. 厳密には円運動ですから,粒子加速度が生じるわけで,サイトにあるような 計算式になるのか疑わしいです. サイトの計算式に合致するような電荷・電流密度分布の時間変化を考察すると, 電荷密度を大きくしながら円環が縮み,再び,電荷密度を小さくしながら円環が 拡がるようなコイルを想像します. しかし,この不完全な等価モデルが使えるのは,コイルが縮みきった瞬間に 発せられた,コイル各部からの電磁ポテンシャルの情報が同時に届く位置, つまり,円環の中心軸上で,かつ,その情報が同時に届く時刻に限られるわけで, サイトの例題が前提とする電子の位置では使えません. よって,荷電粒子が作る電磁場に着目して計算するなら,粒子加速度を考慮する 必要があると思います.
見方を変えて,電荷・電流密度分布に着目し,位置を固定して考えると,定常的な 密度分布なので,電場はスカラポテンシャルの勾配のみで決まり,電荷密度分布に 変化が無いなら,コイルの回転によって電場が生じることも無いことは,自明では ないでしょうか?