水平面上に質量3.0kgの板Bを置き,その上に質量2.0kgの物体Aを乗せ,板Bを水平方向右向きにFNの力を加えたところ,板Bと物体Aは異なる速度で動き出した.物体Aと板Bとの間の静止摩擦係数を0.60,動摩擦係数を0.50,板Bと水平面との間の動摩擦係数を0.4とする. この問題の解説で,・・・『物体Aに働く水平方向の力は摩擦力fのみであり,水平面から見ると,Aは右向きに動き出すから,Aに働く水平方向の力は右向きである.よって,Aに働く摩擦力fは右向きとなる.板Bにはその反作用の力が働くから,BがAから受ける摩擦力は左向きとなる』 と書いてあるが,なぜ,Aの摩擦力fはAの進行方向と同じ向きに働くのですか?
この問題の解説の 読み順を替えると 理解しやすい.
『水平面から見ると,Aは右向きに動き出すから,Aに働く水平方向の力は右向きである. 物体Aに働く水平方向の力は摩擦力fのみであり,よって,Aに働く摩擦力fは右向きとなる.』
このように,Aに働く摩擦力fはAの進行方向と同じ向きに働くのです.
板Bにはその反作用の力が働くから,BがAから受ける摩擦力は左向きとなる. 板Bと水平面との間の摩擦力も左向きであり, この左向きの二つの摩擦力が板Bを水平方向右向きに加えた力FNと釣合っている.
解説の文言を無視して独自に考えるなら,力の働く順に・・・ Bを右にFNで引いたのだから,釣合から,Bには左向きの二つの摩擦力が働くはず. 板Aにはその反作用の力が働くから,AがBから受ける摩擦力は右向きとなる. 水平面がBから受ける摩擦力も同じく右向きとなる.
運動の法則から逆に考えるのも一考ですが,そもそもの摩擦力の原因から考えると,AがBからどっちにこすられているかを考えればわかります.
Bから見たAは,後方へすべっているのです.AよりもBの加速度が大きいので,Bから見たAの相対加速度も相対速度も外力の向き(すなわち進行方向)と逆向きになります.それを外から見ると,Bの方が速いのでAはBと同じ方向におくれて進んでいるわけですね.
>この左向きの二つの摩擦力が板Bを水平方向右向きに加えた力FNと釣合っている.
Bが等速度運動であることは前提されていないので,つりあっていると考える必要はないと思われます.