こんにちは.
電気について勉強していて不思議に思ったのですが,一周すると電源がVだった場合Vだけ電圧降下するのは何故なのでしょうか.
よく川(?)のようなもので例えられますが,これは電子の動きでは説明できないのでしょうか.
よろしくお願いします.
うーん.いざ説明するとなると,難しいですね. 電圧というものをどうとらえているかに深く関わってきます.
電圧=電位差は,まさに電位の差であり,電位=電場のポテンシャルは, 「その場に電荷が存在するとき,単位電気量あたりにもつ電気力による位置エネルギー」 という意味をもちます.
したがって,水流モデルで電流を考えるときに,電位は高さに対応させることができるのです.ポンプで高い位置に持ち上げられた水は,重力による位置エネルギーを持ちますが,それは高さに比例します.同じように,電源は(正)電荷を電位の高い所に持ち上げて(実際には負電荷をもつ電子を電位の低い所=位置エネルギーの高い所に移動させて),すなわち電荷が持つ電気力による位置エネルギーを高めます.電気抵抗などの負荷をつないで回路にしてやると,導体中の電場によって電気力を受けた電子が移動する際に,ジュール熱などとなってその位置エネルギーが消費されるわけです.水流モデルでは,よく水車などにたとえられますね?
水路をぐるっとめぐって,初めの高さに流れ落ちた水は,重力による位置エネルギーを失ってゼロにもどる.同様に,回路をぐるっとめぐって,初めの電位にもどった正の電荷(実際は逆にめぐってもどった電子)は電気力による位置エネルギーを失ってゼロにもどると理解できます.
電池と抵抗の回路を考えてみます. 電池が起電力を持つということは,電子は電池内部において非クーロン電場を受けて加速されているということです. 加速されているということは,電子の速度がどんどん増していきます. その時,電池が電子にした仕事(を電気量で割ったもの)が起電力になります.
一方,抵抗内部では,電子は速度に比例した力を受けます.よって,速度が増していくと,その分抵抗内部で電子が受ける力も増してきますので,電池が電子に作用させている力と,抵抗力が釣り合ったところで,電子の速度は一定となります. (※空気抵抗があるときの物体の落下運動の様子をイメージしてみて下さい.物体は終端速度に達した後,等速運動をしますよね.) その時,抵抗力が電子にした仕事(を電気量で割ったもの)(抵抗力は電子の運動する向きと反対向きの力なので,負の仕事をします)が,(電圧降下)をマイナス倍したものになります.
電子の速度が今,一定で,電子は電池,及び抵抗からのみしか,仕事をされていませんから, (電子が受けた仕事の総和)=0 (起電力)−(電圧降下)=0 (起電力)=(電圧降下) となります.
オームの法則とは,抵抗内部では,電子が,まるで空気抵抗を受けた運動のように,結果的にはある一定の等速運動になる(定常電流になる).という主張です.
コンデンサについては, 「導体に定常電流が流れる問題」と「帯電した誘電体コンデンサの問題」は数学的取扱が同じです.(ちょっと前にぶどうさんが投稿した記事『RC=ρεの導出』,記事No.25270が関係しています.参考にして下さい.) 具体的な対応関係は
(抵抗率)×(電流)⇔(電気量)/(誘電率) です.
数式を利用しない,汚い文になってしまい,すみません. もし,私の考え方に誤りがあったら,ご指摘お願いします.
リモコンさん,横から失礼します.一部についてコメントをさせて下さい.
>(起電力)=(電圧降下) >となります. >オームの法則とは,抵抗内部では,電子が,まるで空気抵抗を受けた運動のように,結果的にはある一定の等速運動になる(定常電流になる).という主張です.
この部分の考え方は解り易いと思います.さらに,起電力が加えられた回路について,「一定の電場 」が生じていて,この電場と電流密度 について微分形のオームの法則,
が成立すると考えておくとイメージが明確になるように思いますが,如何ですか?
【追伸】 「電流の連続性」と「電場の線積分が,電源の起電力に等しくなる事」とを明示的にしておくべきだと思いました.