特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

ぶどう(学部4年) さんの書込 (2009/09/05(Sat) 01:03)

2009年10月号の日経サイエンスの記事, 『特集:量子力学の実像に迫る存在確率マイナス1天才アハラノフの予言』 についてとても興味深かったのですが,分からない点があります.

「未来が現在の状態を決めている」ということですが,なぜそのような考えに至ったのでしょうか.記事を読んだ限りでは,「入力と出力が同じになった実験を選び途中経過の"弱い"観測結果を集めることで,これまで測定不可能と思われてきた重ね合わせ状態を観測できた.」ということしか分かりません.

なお,記事では「未来が現在を決める」ことより「確率-1」を重大事項として取り上げてありますが,量子力学の世界では因果律が崩れることに対しては違和感が薄いのでしょうか?

素人の考えではむしろ,「負の確率 = 質量も含めてすべての性質が反対の粒子が正の確立で存在している」という説明のほうが,しっくりくるというか違和感がないのですが….

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

mNeji さんのレス (2009/09/05(Sat) 22:45)

>量子力学の世界では因果律が崩れることに対しては違和感が薄いのでしょうか?

全体的な論議は判りませんが,そんなに簡単に受け入れられないと思います.

ただ,其の前に,「測定」に関する論議が新しく起こっている様ですが,それらと 大阪大学の「2つの光子」の実験などがどのような位置づけなのでしょうね.

>「負の確率...

ここら辺は,あまり急いで解釈するベキ事でしょうか?

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

ぶどう(質問者) さんのレス (2009/09/06(Sun) 17:08)

回答ありがとうございます. >ここら辺は,あまり急いで解釈するベキ事でしょうか? まだまだ「新説」なんですねえ.もう少し待てば新しい解釈が出てくるでしょうか.

>ただ,其の前に,「測定」に関する論議が新しく起こっている様ですが,それらと大阪大学の「2つの光子」の実験などがどのような位置づけなのでしょうね.

井元先生の論文リスト,大阪大学のサイトから見ようとしたのですが英語ばかりでしたね.日本語でも分からないですが,英語だと手の着けようもないです.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

なんとなく さんのレス (2009/09/06(Sun) 22:28)

素人の見た限りの印象ですが... まず,元の電子・陽電子対消滅の実験も阪大のエンタングル光子のそれも,量子力学の理論の枠内であり,因果関係を壊すものではないこと,現象そのもでなく,”観測”が(一般的に)不可能と思われていたことであること,は確かであると思います.また阪大のそれは対消滅の替わりに”等価”な偏光の量子干渉を利用したということ,弱測定はほとんど直交する始状態と終状態を用意すれば(それらの内積は確率の分母をあたえるので)極めて微細な,或いは生起確率の小さい状態を(間接)測定できるということであると思います. 以下は私見です.間違っていたらすみません. それを踏まえて,阪大のはエンタングル光子回路系のパスに偏光計を配置し,出力光子を観測すると,あるパスは干渉により光子が存在しない筈なのに,あたかもそこを通過した光子が干渉を引き起こすとしか思えない結果を得る,関与した光子数を可算すると入射出力光子数より一つ多くなる(つまりマイナス一個の光子が発生している),そういう類だと思います.エンタングル状態の光子は非局所相互作用状態にあり,或る条件では部分的にしかし量子力学的に許された状態(必ずしも物理的状態ではない)が存在することを証明しうる実験ではないかと思います. 日系サイエンスの記事は読んでいませんが,記述によっては極めて誤解を与えやすいものであると思います.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

ぶどう(質問者) さんのレス (2009/09/07(Mon) 13:25)

回答ありがとうございます.

概要のみであれば,日経サイエンス最新号の紹介ページ

において,『彼(アハラノフ氏)は宇宙全体の現在の状態は,かつて存在していた宇宙の始状態と,誰も知らないが確かに存在する宇宙の終状態によって,無数の重ね合わせの中から選ばれて実現していると考えている.』という記述があります. 本文中でも詳しい説明は省いてありましたが,干渉計の中での電子・陽電子対(実験では光子対)の振る舞いを表す式に「過去から現在に向かう項」に加え「未来から現在に向かう項」が含まれるという内容のものでした.

>量子力学の理論の枠内であり,因果関係を壊すものではないこと 「未来から現在に向かう項」はどのように解釈すればよいでしょうか.

昨日の夜返信しようとしたのですが,エラーに悩んでおりました.今日リンク先のhttpを全角にしてみると正常に処理されたのですが,この掲示板の仕様でしょうか.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

mNeji さんのレス (2009/09/07(Mon) 13:56)

>昨日の夜返信しようとしたのですが,エラーに悩んでおりました.今日リンク先のhttpを全角にしてみると正常に処理されたのですが,この掲示板の仕様でしょうか.

どうもそうだと推測しています.恐らく外国からのスパムを防ぐ為の対策だとおもいます.特に「http://www.云々」で始まるURLは弾かれるようです.「www」以外は弾かれない様です.

#上の表記も安全の為に,全角の英数で書いています.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

ぶどう(質問者) さんのレス (2009/09/07(Mon) 16:18)

mNeji様,toorisugari no Hiro様ありがとうございました. スパム対策ですか.なるほど,この掲示板でもたまに変な投稿が混じっていますよね. アドレス修正しました.対策を教えていただきありがとうございました.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

なんとなく さんのレス (2009/09/08(Tue) 00:25)

またまた素人考えですが. ご存知のように過去から未来,未来から過去への時間反転項は物理学においては特に珍しい物ではなく,一般に時間反転(CPT)に対し理論が不変であることはつとに知られているとおりです.電磁波(やそのポテンシャル)においても遅延波に対する先進波,場の理論においても(ローレンツ)不変デルタ関数に顔を出しますが,そのような現象は勿論因果律(経験律)に反する,それは実験的事実に合わないという解釈であろうと思います.光子の遅延選択実験もそうですが,未来からの信号と思わねばならない事象はひとつもなく,似たような実験の論文にも因果律と反するものではないと言明されています.ただ,それでも解釈問題が全て解決する訳ではないのですが,今のところ理論の整合性と予見性に大きな齟齬が無い以上,今回の実験もその域を出ないということだろうと思います.

Re: 特集:量子力学の実像に迫る 存在確率マイナス1 天才アハラノフの予言

ぶどう(質問者) さんのレス (2009/09/08(Tue) 02:35)

なんとなく様,回答ありがとうございます. 先進波と同じですか.数学的には許されるけれど,なくても観測結果を説明できるのですね.アハラノフ氏のインタビューでは測定結果を表すために「未来から現在に向かう項」が必要であるかのような印象を受けました.もう一度読み直してみます.