無題

無題

ゆう さんの書込 (2009/07/27(Mon) 19:21)

近似計算の質問になるのですが, eのt乗が,tがものすごい小さい時に, 1+tになる理由を教えてください. 計算過程でいいです.お願いします.

Re: 無題

gok さんのレス (2009/07/27(Mon) 20:08)

Taylor展開(Maclaurin展開)は御存知ですか?

近似式

e^t \approx 1+t \quad \left( \left| t \right| \ll 1 \right)

は, e^t のMaclaurin展開1次近似を考えれば得られます.

Re: 無題

ゆう さんのレス (2009/07/27(Mon) 20:33)

(1+ε)のm乗が,εが1よりずっと小さいときに 1+mεになる近似を用いて求めることは可能ですか?

元々無理なら仕方ないのですが・・・・.

Taylor展開は入りだけ少し教えてもらいました.

Re: 無題

toorisugari no Hiro さんのレス (2009/07/27(Mon) 20:55)

横から失礼します.

> eのt乗が,tがものすごい小さい時に,1+tになる理由を教えてください.

この質問は二つの答え方がありますが,そのうち一つはgokさんが示されたので,もう一つの方.

そうなるように \mathrm{e} の値を決めたからです.

\mathrm{e}^t &= 1 + t \quad(|t|\ll 1)\\\mathrm{e}^{1/n} &= 1 + \frac{1}{n} \quad(n \gg 1)\\\mathrm{e} &= \left(1 + \frac{1}{n}\right)^n \quad(n \gg 1)

\lim_{n\to \infty}\left(1 + \frac{1}{n}\right)^n は計算すると2.71828..となります.これをNepia数と呼びます.

Re: 無題

ゆう さんのレス (2009/07/27(Mon) 22:07)

gokさん,toorisugari no Hiroさん. ご指導ありがとうございます.

お二人の意見を参考いたしまして, やってみたいと思います. 急な質問に対応していただき感謝いたします.

Re: 無題

gok さんのレス (2009/07/28(Tue) 00:01)

……よく見直すと,我ながら大変不親切な説明でしたね^^; お節介かも知れませんが補足しておきます.

関数 f(t) が,ある一定の条件を満たすとき, f(t) を次のように無限べき級数で表現することができます.これを f(t) のTaylor展開といいます.

f(t)&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)}(a)}{n!}(t-a)^{n}\\&=\frac{f(a)}{0!}+\frac{f^{\prime}(a)}{1!}(t-a)+\frac{f^{\prime\prime}(a)}{2!}(t-a)^{2}+\ldots+\frac{f^{(n)}(a)}{n!}(t-a)^{n}+\ldots

また,特に a=0 として表現した場合,これをMaclaurin展開といいます.

f(t)=\frac{f(0)}{0!}+\frac{f^{\prime}(0)}{1!}t+\frac{f^{\prime\prime}(0)}{2!}t^{2}+\ldots+\frac{f^{(n)}(0)}{n!}t^{n}+\ldots

ここで, f(t)=e^t については, n の値によらず常に

f^{(n)}(t)=e^t
\therefore f^{(n)}(0)=1

が成り立つので, e^t のMaclaurin展開は次のようになります.

e^t=\frac{1}{0!}+\frac{t}{1!}+\frac{t^{2}}{2!}+\ldots+\frac{t^{n}}{n!}+\ldots

よって, t が微小であるという仮定を用いて t^2 以上の項を無視すれば(1次近似),

e^{t}\approx\frac{1}{0!}+\frac{t}{1!}=1+t\quad(\left|t\right|\ll1)

が得られます.

関数のMaclaurin展開(と,その1次近似)は,他に次のようなものが有名です.高校物理でもお馴染みのものばかりです.

(1+t)^{n}=\frac{1}{0!}+\frac{n}{1!}t+\frac{n(n-1)}{2!}t^{2}+\ldots\approx1+nt\quad(\left|t\right|\ll1)
\cos t=\frac{1}{0!}-\frac{t^{2}}{2!}+\frac{t^{4}}{4!}-\frac{t^{6}}{6!}+\ldots\approx1\quad(\left|t\right|\ll1)
\sin t=\frac{t}{1!}-\frac{t^{3}}{3!}+\frac{t^{5}}{5!}-\frac{t^{7}}{7!}+\ldots\approx t\quad(\left|t\right|\ll1)

Re: 無題

toorisugari no Hiro さんのレス (2009/07/28(Tue) 11:33)

gokさんが補足されたので,私もちょっとだけ補足.:-)

> そうなるように |599d333100765b320fed1ae0fe486c0e| の値を決めたからです.

高校では \mathrm{e}^xx=0 における微係数が1になるように \mathrm{e} を定義したと思いますが,おなじ事です.

つまり, \mathrm{e}^t &= 1 + t \quad(|t|\ll 1) が成り立つなら

\left.\frac{\mathrm{d}\mathrm{e}^x}{\mathrm{d}x}\right|_{x=0}&= \lim_{t\to 0}\frac{\mathrm{e}^t-\mathrm{e}^0}{t}\\&= \lim_{t\to 0}\frac{\mathrm{e}^t-1}{t}\\&= \lim_{t\to 0}\frac{(1+t)-1}{t}\\&= 1

が成り立ちます.逆は, \lim_{t\to 0}\frac{\mathrm{e}^t-1}{t}=1 から導けますね.