素粒子について

素粒子について

英里・the・ベス さんの書込 (2009/06/15(Mon) 03:00)

素粒子について知りたくて調べてみようと思ったのですが, その前にいくつか教えて下さい.

1)素粒子は何種類あるのですか?(反粒子を含め) 2)クオークの世代とはなんですか? 3)1の中で,未確認のものはどれですか? 4)それ以上分割できないという根拠はなんですか?

詳しい人がいたらお願いします.

Re: 素粒子について

transfer さんのレス (2009/06/16(Tue) 00:29)

私はこれらについて説明できるレベルにありませんので,一般向けのあまり難しくない手頃な本を紹介しておきます. 書いてある内容については正しくチェックできる能力はありませんが,私から見て大しておかしな説明はなかったと思います. 少々,この図は違うかな?というのはありましたが. ただし,紹介する本の中に,知りたいことがすべて書いてあるとは限りません.

一応,私の方から答えられる範囲で手短にコメントすると,次のようになります. (1) 反粒子まで含めるとなると,基本的に「反」でないものの2倍にすればよいのですが,光子などは自分自身が反粒子でもあります. (2) 去年のノーベル賞受賞者でもある益川さんと小林さんが,クォークは6種類あるはずだとの予言をしたのですが,その6種類のクォークを2個のペアで,質量の大きさの順で分けて世代と呼んでいます. 一番軽いペアが第1世代で一番重いペアが第3世代です. (3) 未確認でいて存在が一番注目されているのは,やはりヒッグス粒子でしょう. (4) 根拠があるのかないのか,あってもそれが正しいのか否かは,私にはわかりません.

素粒子の分野は検証されていないものもありますので,単に本に書いてあることを記憶しても,あまり意味がないと思います. そのつもりで本を読んでください. 次の2冊を参考にあげておきます.

ニュートンプレス Newton別冊クォークから超ひも理論まで素粒子とは何か

宝島社 別冊宝島1583 日本人だからこそ覚えておきたいノーベル賞理論!図解「素粒子」入門

ネットで検索するより,内容的にも割と保証できると思いますし,わかりやすく整理して書かれています. ネットで検索するなら,断然,内容的にも保証できるKEKなどのHPにある情報をお勧めします.

いや,こんな本では物足りない,というのであれば,益川さんや小林さんが書かれた本もありますし,裳華房・培風館・朝倉書店・岩波書店・東京大学出版会・サイエンス社・シュプリンガーなど,その他,いろんな出版社から多くの本が出ていますので,ご自分で書店で探してみてください.

Re: 素粒子について

英里・the・ベス さんのレス (2009/06/18(Thu) 01:50)

ありがとうございます

(1)具体的には何があるのでしょうか.グラビトンとかも聞いたことあるのですが,すでに発見されているのでしょうか.

かなりの量があると思うのですが,素粒子はそれ以上分割できないのでしょうか. また,変な質問かもしれませんが,素粒子は固いのでしょうか.

Re: 素粒子について

豚 さんのレス (2009/06/18(Thu) 22:38)

お邪魔します. 素粒子の話は好きなので,ちょっとだけ知ったかぶりさせてください. そして,より詳しい方が追加・訂正してくださることを期待します.

以前は素粒子は4種類に分類されていました. バリオン(重粒子),メゾン(中間子),レプトン(軽粒子), そして,場の粒子です. 重軽と呼ばれているのは歴史的経緯で, 重さで分類されているわけではありません. クォーク3個が結びついたものがバリオンで,陽子・中性子などです. クォークと反クォークが結びついたのがメゾンで,パイオンなどがあります. バリオンとメゾンを合わせてハドロン(強粒子)と呼びます.

「以前は」というのは,今はそう言わないのではなく, クォークの存在が明らかになった以上,複合粒子であるハドロンを 「素」粒子と呼ぶのはおかしいということで, クォークを「素粒子」と呼ぶ人も出てきているからです.

ハドロンはとても沢山あるので,(メゾンだけでも単純計算で 6×6=36,しかもこれらに「励起状態」というものがあり, それも別にカウントされていました.) この場は新しいほうの言い方をさせてもらいます.

クォークは,アップ(u),ダウン(d),ストレンジ(s),チャーム(c), ボトム(b),トップ(t)と名づけられた6種類があります. それぞれに反粒子があります.

レプトンは,電子・ミュー・タウの3種とそれぞれに対応する3種の ニュートリノの合計6種類,これもそれぞれに反粒子があります.

場の粒子は,これはクォークやレプトンと性質が違うのですが, どう違うかは長くなるので省略. まず,電磁気力の粒子が光子(フォトン).これは,反粒子は自分自身です. 次に,弱い力の粒子のウィークボゾン.電荷を持ったW+とW−,それに 電荷を持たないZ0の3種があります.W+とW−が粒子・反粒子の関係. Z0の反粒子は自分自身です. それに,強い力の粒子がグルーオン.色つきが6種類と無色が2種類の8種類あります. 色つきのものは,粒子・反粒子の関係にあるものが3対と言えなくもありませんが,そう考えるのは適当でないようにも思えます. そして重力の粒子が重力子(グラビトン).ですが,素粒子の世界では 重力は桁外れに小さな力なので,現在の素粒子の「標準理論」では, 重力は無視されています.したがって,グラビトンは出てきていません. しかし,重力場というものがある以上,その場の粒子であるグラビトンが 存在することに疑問の余地はありません. 「小さすぎて,見つけられない」粒子です.

長くなってしまった.世代とかモノポールとかSUSYとか, まだまだ書きたいことはあるのですが,今日はこれで.

Re: 素粒子について

transfer さんのレス (2009/06/18(Thu) 23:22)

最初に述べている通り,私には適切に説明できる能力はありませんし,そのレベルにもありません. 以下で述べることは,正確さの保証はできませんので,そのつもりでいてください.

前にも述べたように,これ以上分割できるか否かは,私にはわかりませんし,よほどの自信家でもない限り,恐らく誰にもそんなことは断言できないと思います. 歴史的な経験から言っても,自然の完全な解明など,夢の夢ではないでしょうか? 現在までに一応それなりに整備されている理論を加速器で検証するためのエネルギーの見積もりからすると,まだ100年以上もかかるようです. 検証が済まなければ,本当に自然がそうなっているとか,そのような素粒子が確実に存在するということは保証できません. また,検証済みの理論も,その理論で説明できない現象が新たに発見されると,その理論は自然を記述するにはまだ不十分ということになります. 理論というのは,わかっている範囲で可能な限り,正しく自然を説明しようとする数学モデルです. もちろん,わかっていることばかりでなく,未確認だが,こうであるはずだとの予測もします.

素粒子はいくつあるのか?というのは,どのように素粒子を「定義・分類」するかによっても数が変わってきます. とりあえずは,中学・高校の延長で, 陽子(これは第1世代の2種類のクォーク(アップとダウン)からなる) 中性子(これも同じく第1世代の2種類のクォークからなる) 電子(これのみで単一の素粒子と考えられている) 光子(これのみで単一の素粒子と考えられている) が素粒子の代表という認識でよいのではないでしょうか? 反粒子まで含めて約300種類(反粒子を除けば約150種類)はあるようですが,そのように数が多いのは,「共鳴状態」というものもカウントしているからです.(ただし,「共鳴状態」が何種類あるのかは知りません) 素粒子同士を衝突させたとき,特定のエネルギーのところに多く反応したことを示す特徴的なピークが現れるのですが,そのピークのことを「共鳴状態」と呼んでいます. E = m c^2 という式は,エネルギーと質量は等価であるということを表していますが,それで, あるエネルギーのところでのピーク ===> ある質量の素粒子 と見るわけです. また,この E = m c^2 という式から,未確認の素粒子というのは,質量が大きい,つまりエネルギーが大きいというのがわかると思います. クォークの第1世代に分類されるものが一番軽いのも,そういうわけです. 軽いものから発見され,重いものは,それを叩き出すのに必要なエネルギーを外部から供給できない限り,発見されません. 最新の加速器が作られ続けるのも,そういう理由です. 加速器の性能をさらに上げて,より高エネルギーのものにしないと,未確認または新たな素粒子も発見できませんし,理論の検証もできないからです.

グラビトンは未確認です.理論自体も未完成です.

素粒子が固いか否かという見方は,まずは「固い」の定義をするべきでしょうが,「粒子性が強い」と言い換えてもよいでしょう. 素粒子というのは,本質的に「粒子」でもあり「波」でもあるという「二重性」を備えているものですから,状況によっては「柔らかい」とも言えます. 一般的に言って,高エネルギーの状態であれば「粒子性」が強くなり,「固く」なります. 低エネルギーであれば,「波動性」が強くなり,「柔らかく」なります. 例えば,電子も波の性質を持っていて,水の波のように干渉や回折を起こします.

先にあげた2冊にも,以上のような話が,カラーのイラスト入りで載っていますので,参考にしてください.(2冊とも今年出た本です) それと,KEKのHPもいろいろと参考になります.

★豚さんの説明の中の「励起状態」と上の「共鳴状態」は同じ意味です.

豚さんがお詳しいようなので,あとはよろしくお願いいたします.