運動方程式について

運動方程式について

Electra さんの書込 (2009/06/09(Tue) 10:08)

よろしくおねがいします.

運動方程式について勉強しました. ma=Fという式を実際に想像してみて分からない事が2つあります.

1. この式から質量mと力Fが一定ならaが一定になる.と言えると思いますが, 加速度があるということは,押された物はどんどん加速していくということでしょうか? 僕がスイカを押したら(あまりないシチュエーションですが)そのスイカがどんどんスピードを上げてどこまでも飛んでいってしまうのを想像してしまいましたが,どこかかなりアヤしいと思います.どこか間違っていますか? ちなみに速度が変化しない状態の加速度は1倍の1ということでいいのでしょうか?

2. 加速度は距離と時間で表されメートルと秒を使うと,m/s2(二乗)と表されます. これはm/s(距離/時間=速度)をs(時間)でわったものと言う事で,速度の変化率という感じはつかめたのですが, 実際に5秒で100mものが動いた場合を考えた場合,速度は20m/s,加速度は4m/s2ということになります. しかし感覚的には速度は20m/sで5秒進んで100m移動したとき速度は20m/sのままで加速はしていません. このように加速度を考える事のどこに間違いがあるのでしょうか? ちなみに10m/sのものが5秒で20m/sになった場合,加速度は2m/s2という理解は自分なりにokだと思っています.

物理を始めたばかりの基礎の部分でこれだけ飲み込めないのは,自分の想像力が物理のものの捉え方とギャップがあるからのような感じもします. そういう基本的な部分も含め,どなたかお答え願えますでしょうか.

Re: 運動方程式について

transfer さんのレス (2009/06/09(Tue) 11:00)

1 おっしゃる通り,質量 m と力 F が一定なら,加速度 a は一定です. 力を長時間にわたって加え続ければ,加速度をいくらでも与え続けることになりますから,ニュートン力学の範囲では,いくらでも加速できます. 単にスイカをちょっと押しただけは,スイカに与えられる加速度はしれていますし,実際には,スイカが転がる面との摩擦で減速されてしまいますので,ある程度転がったら,止まってしまいます. もしも摩擦がなければ,最初に加速度 a を与えたときから時間が t 経ったら,速さは V = a t,距離は X = a t^2 ÷ 2 で計算できます.(ただし,最初の速さはゼロとします) 速度が変化しない状態というのは,加速度がゼロの場合です.ですから,加速度はありません.

2 加速度は速度の変化率と言ってかまいませんが,ある速度からある速度への変化を単に時間で割り算しただけでは,平均の加速度になってしまいます. 正確には,速度を時間で微分したものが加速度になります. いくつか計算されておりますが,ちょっと見たところ,間違いがあるように見受けられます. またあとで,私はコメントいたします.

Re: 運動方程式について

transfer さんのレス (2009/06/09(Tue) 22:48)

最初に,ちょっと言葉の使い方が悪いというか誤解を与えかねないので,「ニュートン力学の範囲」は「ニュートン力学に(あくまで素直に)従えば」と訂正します. 繰り返しになりますが,ニュートン力学ではいくらでも加速可能で,速度に上限はありません. 光速 c の何百倍,何千倍でも加速可能です. しかしながら,相対論によれば,いくら加速し続けても,永久に光速 c に達することはできません. もちろん,速度が大きい場合には,ニュートン力学ではなく,相対論を使って計算するのが妥当です.

これ以降は,等加速度運動の 時間 t 経ったときの速さ:V = a t 時間 t 経ったときの距離:X = a t^2 ÷ 2 の式で考えます.

さて,2に対して計算に誤りがあると述べましたが,次のところが間違いです. 100 [m] を 5 [s] で一定の速さで走った場合には,そのときの速さは V = 100 ÷ 5 = 20 [m/s] です. この値はElectraさんが求めた値と同じで,何一つ計算に間違いはありません. しかし,この場合,注意しなければならないのは,「一定の速さ」として考えたところです. Electraさんは,「加速度運動」について考えておられたはずです. 「一定の速さの運動=等速直線運動」と「加速度運動」は両立しませんので,最初に距離を時間で割って速さを求めて,それから速さを時間で割って加速度を求めるというやり方は,間違っています.

加速度運動で考える場合には,X = a t^2 ÷ 2 の式を使います.(簡単のために最初の速さはゼロとします) 値を代入して加速度を求めますと, 100 = a × 5^2 ÷ 2===>a = 8 [m/s^2] となります. それでは,加速開始から 5 [s] 後の速さを求めると, V = a t = 8 × 5 = 40 [m/s] です. つまり,この場合,100 [m] 走ったところで 40 [m/s] の速さになっています. 次に,このまま加速しながら走り続けて,200 [m] 走ったところの速さを求めてみようと思いますが,単純に 100 [m] 走るまでにかかった時間の2倍にはなりません. まずはそれを示しますが, 200 = 8 × t^2 ÷ 2===>t = 5 √2 [s] となります. 明らかに 5 [s] の2倍の 10 [s] ではありません. 次に,200 [m] 走ったところの速さ V を求めると,これも 100 [m] 走ったときの速さの2倍ではなく, V = a t = 8 × 5 √2 = 40 √2 [m/s] となります.

最後に,平均の加速度について,少し説明します. 実際の電車の運行を考えると,ある駅から出発してある駅に着くまで,徐々に加速していって,ある速さに達したら加速をやめてほぼ一定の速さで走り,次に最初は大きく減速して徐々に減速の度合いを小さくして,ホームの乗車位置にそろうように止まります. つまり,一般的には,速度や加速度は時間的にいろいろ変化する量で,その瞬間その瞬間で異なる値を持つのが普通です. ですから,一般的には,速度の時間微分が加速度になります. それでは実際に平均の加速度を求めてみます. 0 〜 100 [m] の区間の速さの変化は, 0 〜 40 [m/s] でしたから,(40 - 0) ÷ 5 = 8 [m/s^2] となります. しかし,100 〜 200 [m] の区間の速さの変化は, 40 〜 40 √2 [m/s] でしたから,(40 √2 - 40) ÷ 5 √2 = 8 (√2 - 1) ÷ √2 [m/s^2] となります. 運動としては,a = 8 [m/s^2] の一定加速度運動をしているのに,区間の平均の加速度は,a = 8 とは異なります. なので,途中のある区間の速さの平均変化率を求めても,実際の加速度運動を正しく捉えているとは限りません.

下のanonさんのコメントより気づいた記述ミスと本来の問題からあまり関係のない記述については,訂正させて頂きました.

Re: 運動方程式について

anon さんのレス (2009/06/10(Wed) 12:22)

transferさんによる上の回答は, 質問者であるElectraさんのレベルに合っていないように思います.

Electraさんがまず理解するべきは, 物体に加速度がかかっている間だけ速度は変化するということと, 加速度は速度を時間で割ったものではなくて 速度の“増分”を時間で割ったものだということの二点です.

はじめのスイカの例では, スイカに力が加えられているのは,Electraさんがスイカと接触して押し続けている間だけです. スイカがElectraさんからはなれて進みだしたら,もはや力は加わりません.

運動方程式ma=Fによると,力が加わっている間だけ,スイカは加速度を受けていますが, スイカがElectraさんからはなれて進み始めると,もはや加速度は受けません. ですから速度は変化せず,一定の速度で進み続けます(等速直線運動といいます). 速度が変化しないときの加速度は1倍の“1”ではなくて,増分がないことを表す“0”です. 加速度は“加”速度であって,“倍”速度ではないです. つまり,“+0”であって,“×1”ではありません.

次の,5秒で100mものが動いた場合の例では, 「速度は20m/sで5秒進んで100m移動したとき速度は20m/sのままで加速はしていない」という感覚が正しくて, 加速度の求め方が間違っています. この例では,進んでいる5秒の間,速度は常に20m/sであって変化していないので, 速度の増分は 20m/s-20m/s=0m/s です.この増分をかかった5秒で割ったものが加速度(平均加速度)でその値は0m/s÷5s=0m/s2

「ちなみに10m/sのものが5秒で20m/sになった場合,加速度は2m/s2という理解は自分なりにokだと思っています.」 という理解をそのままこの例に適用してみれば,今説明したようになりますよね?