円盤投げ

円盤投げ

物理初心者 さんの書込 (2009/06/04(Thu) 22:05)

円盤投げの選手が質量2.0ぐ?の円盤を持って,毎秒4回転の早さで回転して円盤を投げた.回転の中心から円盤までの距離を1.1mである. (1)このときの遠心力の大きさいくらか (2)この速さで円盤を上向きに30°の角度で投げると,地上に落下するのは何m先か. ただし,円盤は地上1mの高さから投げ出されたものとする.

全くわからないので詳しい解説お願いします

Re: 円盤投げ

transfer さんのレス (2009/06/05(Fri) 06:56)

一度すべてを文字式(記号)で置き換えます.

(1)この問題は,円盤投げの選手を回転の中心として,そのとき選手が投げる円盤の遠心力を求めなさいという問題です. 真上から見ると,選手が円の中心になり,選手の腕が円を描きます. 投げられる円盤は,その円周上にあります.

円盤の質量をm[kg]とします. 円盤の円周上での速さをV[m/s]とします. 回転の中心(円の中心)から円盤までの距離をR[m]とします.(つまり,選手の腕の長さ) また,毎秒4回転とありますが,1秒間にn回転とします.

このとき,遠心力Fは,F = m V^2÷R で与えられます.(V^2 = V×V)

この問題では,mとRは直接問題文に与えられていますが,Vは直接には与えられていませんので,まずはこれを求めることが必要です. 毎秒n回転の速さであれば,1秒間に半径R[m]の円をn周することになります. 半径R[m]の円周の長さは2πR[m]です. その円周を1秒間にn回転するわけですから,1秒間にn周することになり,1秒間に2πRn[m]の距離を走るのと同じです. 距離を時間で割ったものが速さですから,V = 2πRn ÷1 = 2πRn[m/s]となります.

以上を先の遠心力の式に代入すると, F = m (2πRn)^2÷R = m 4π^2 R n^2 となります.

実際に数値を代入すると, F = 2 × 4 × π^2 × 1.1 × 4^2 = 140.8 × π^2 ≒ 140.8 × 3^2 ≒ 1267.2 [kg m/s^2] = 1267.2 [N] となります. 遠心力の加速度で見ると,Fをmで割れば加速度が求まり,633.6 [m/s^2]となりますから,1Gである地上の重力加速度 g = 9.8 [m/s^2]と比較すると,約65 Gになることがわかります.

(2)はあとで.

Re: 円盤投げ

transfer さんのレス (2009/06/05(Fri) 18:27)

この問題は(1)の続きですが,重要な注意として,遠心力の方向は,円の半径方向に沿って円の中心から外側に向かう方向ですが,選手の手から離れた円盤は,円の接線方向に飛んでいきます. つまり,遠心力の方向とは直角な方向です.

(2)この問題は,円盤に限らず,ある高さから,水平方向に対して角度θで物体を投げ上げたとき,どの程度の距離まで飛びますか?という,独立した問題にもなります. 投げ上げられた後では,水平方向(x方向とする)には力は働きませんが,それに直角な鉛直方向(y方向とする)には重力が働きます.

投げ上げられたときの物体の速さをV0とすると, x方向の速度の成分は,V0cosθ y方向の速度の成分は,V0sinθ となります.

そして,y方向には重力加速度の大きさが g の重力が,投げ上げた方向とは逆に,空の方から地面に向かって働きます. 問題文には何も指定がありませんから,x方向には何も力は働かないと考えてかまいません. つまり,x方向には V0cosθ の速さのままです.

重力だけが働く物体の運動を考えると,y方向の運動としては,次のように変わっていきます. 最初は地面から空の方向に V0sinθ の速さを持っていたので,物体は空に向かって上がっていこうとします. しかし,重力が物体を地面に落とそうと働くので,徐々に物体の速さは遅くなっていって,やがてゼロになります.(このとき,地面から最高の高さになります) つまり,これ以上,空に上がっていこうとする速さがなくなってしまったことになります. 重力は常に物体を落とそうと働いていますので,y方向の速さがゼロになったら,あとはひたすら地面に落ちるのを待つだけです. 落ちながら,どんどん落下する速さが大きくなっていきます.(落下が加速します) そして最終的に地面に落ちました. その落ちた場所が,投げ上げられた場所からどれだけ離れていますか?というのがこの問題です.

x方向については,ずっと V0cosθ の速さのままですから,投げ上げる場所から地面に落下するまでの時間がわかれば,その時間と V0cosθ という速さをかけたものが,求めたい距離になります. ですから,投げ上げてから落下するまでの時間がわかればよいわけです.

求め方は他にもありますが,ここでは素直に,投げ上げる場所から最高の高さまでと,最高の高さから地面までの,2つの段階に分けて考えます.

まず,投げ上げられてから最高の高さに達するまで,つまり,y方向の速さがゼロになるところまでの時間を求めると,次のようになります. これを考えるには,速度と加速度の関係について理解しておくことが必要です. 速度の次元は,例えば[m/s]であり,加速度の次元は,例えば[m/s^2]です. つまり,加速度に時間をかけてやれば,速度と同じ次元になります. 言い換えると,加速をある時間続ければ,速度ゼロからある速度に達するということです. 逆に,ある速度に対して減速(最初の速度と逆方向に加速度が働く場合)をある時間続ければ,速度はゼロになります. この問題の場合,重力加速度の大きさ g[m/s^2] は一定と考えてかまいません. よって, V0sinθ - g t = 0 から, t = V0sinθ÷g の時間を要して,投げ上げる場所から最高の高さまで達します.

次に,最高の高さから地面に落下するまでの時間を求めます. そのためには,最高の高さが地面からどれだけかを知る必要があります. 問題文では,投げ上げる場所の地上からの高さは与えられています. これを h[m] とします. 最高の高さは未知ですが,これを H[m] とします.

一定の重力加速度 g[m/s^2] の下では,V0y[m/s] の速さで投げ上げた場所から t[s] 経ったときの物体の達する高さ y[m] は, y = V0y t - g t^2÷2 で与えられます.

今の場合,V0y = V0sinθであり,t = V0sinθ÷g ですから, y = (V0sinθ)^2÷2g になります. これに h を足したものが H になります. つまり, H = h + y = h + (V0sinθ)^2÷2g です.

さて,最初の最高の高さから地面に落下するまでの時間を求める目的に戻りますと, 最高の高さでは,y方向の速さがゼロになっているわけですから,先の式の V0y がゼロの場合に相当し, H = g t^2÷2 という関係が成り立ちます. これを時間 t について解いた, t = √(2H÷g) が,最高の高さから地面に落下するまでに要する時間です.

つまり,投げ上げてから地面に落下するまで, t = (V0sinθ÷g) + (√(2H÷g)) の時間がかかり,その時間の間,水平方向に V0cosθ という一定の速さで物体は飛行します. その距離を L[m] とすると, L = V0cosθ × { (V0sinθ÷g) + (√(2H÷g)) } となります.

また,(1)で求めたように,V0 = 2πRn[m/s] です.

以上の準備のもと,具体的に数値を求めると,

V0 = 2πRn ≒ 2 × 3.14 × 1.1 × 4 ≒ 27.64[m/s]

t1 = V0sinθ÷g ≒ 1.41[s]

y = (V0sinθ)^2÷2g ≒ 9.75[m]

H = h + (V0sinθ)^2÷2g = 1 + (V0sinθ)^2÷2g ≒ 10.75[m]

t2 = √(2H÷g) ≒ 1.48[s]

t1 + t2 = (V0sinθ÷g) + (√(2H÷g)) ≒ 2.89[s]

L = V0cosθ × { (V0sinθ÷g) + (√(2H÷g)) } = V0cosθ × (t1 + t2) ≒ 69.23[m]

となります.

先の(1)の遠心力も,もっと正確に計算すると, F = 1389.64[N} で,約70Gになります. 選手の腕の長さが1.1[m]というのは長すぎると思いますが,与えられた値だと,以上のようになります.

Re: 円盤投げ

物理初心者 さんのレス (2009/06/05(Fri) 22:34)

難しくて少しややこしい問題ですね・・・ 詳しい解説ありがとうございました とても分かり易かったです!