車輪を持って回転椅子の上に座ると・・・

車輪を持って回転椅子の上に座ると・・・

army さんの書込 (2009/06/03(Wed) 16:46)

どうも,以前御世話になりました.

よく科学館で自転車の車輪をもって,イスにすわり, 別の人に車輪をまわしてもらい,その車輪をかたむけると, 回転する車輪にはもとの位置にもどろうとするジャイロ効果 が出て,手で固定しているので車輪は動けないので,イスが まわってしまう.と,このような話がありますよね.

これを厳密に角運動量ベクトルなどを用いて人に説明してあげたい のですが,どうしたらいいですか.正直自分では感覚的に理屈は 分かっていても,図式化しろと言われると分からなくなってしまいます.

傾けるということは椅子の人が車輪にモーメントを加えたということですよね. 角運動量ベクトルは軸方向と,そこまではいいのですが,そこから先がどう していいやらさっぱりなのです. 言葉では難しいと思うのですが,どなたか詳しく説明して頂けないでしょうか. お願い致します.

Re: 車輪を持って回転椅子の上に座ると・・・

Yokkun さんのレス (2009/06/03(Wed) 20:23)

最も単純なのは,角運動量保存でしょう.

椅子と人,車輪の系は(椅子の回転軸の摩擦や空気抵抗以外)外力を受けないので短時間のうちなら角運動量保存則がほぼ成立しています.車輪を傾けると,上から見て車輪が回転している方向と逆向きに椅子が回りだします.初め止まっていたなら,全体系の鉛直方向の角運動量が保存するわけです.

角運動量保存は,回転の運動方程式において外力のモーメントがゼロの場合の時間積分ですね.系を車輪と人+椅子に分けて,内力による角運動量の交換を考察したいのであれば,やはり角運動量ベクトルを用いるのが最も簡明です.つまり,全体系の角運動量保存がほぼ成立しますから,車輪を傾けたときに車輪の角運動量は人が加えたトルクベクトル \bm{r}\times\bm{F} の方向に向きを変えます.すると,その反作用を受けて人+椅子が角運動量を得るわけです.トルクの方向や角運動量の方向を示すには,図がないと難しいですね.ポイントは,車輪を傾けるのに必要なトルクはやってみるとわかるように回転軸を鉛直軸周りに回転させようとする向き(トルクベクトルが鉛直方向)であることです.すると,人+椅子が受けるトルクは逆回転方向(トルクベクトルが車輪に加えたものと等しく逆向き=作用反作用の法則)です.

Web検索「ジャイロ効果」でいろいろ出てくると思います.

Re: 車輪を持って回転椅子の上に座ると・・・

army さんのレス (2009/06/08(Mon) 12:43)

返信遅くなりまして失礼しました. ご丁寧に解説していただいてありがとうございました. とてもよくわかりました.