こんにちは大学1年生のmazと申します.
ある物体に加わる力をF,物体の質量をm,加速度をaとすると,運動の第2法則は
F=m*a
となりますよね.
ここでF=0とすれば
0=m*a
⇔
a=0
となり,運動の第一法則
「外から力が作用しなければ,物体は静止したままか,等速直線運動をする.」
を表すので,第2法則は第1法則を内包していると考えました.
そこで,第1法則の存在理由がいまいちわからなくなってしまいました. どなたかご説明してくださいますでしょうか.
こんにちは.
おっしゃる理由で,現代的に第1法則は不要とされる向きもありますが,積極的に新しい意義を認めて残すという立場が強いようです.その新しい意義とは…
物体が受ける合力がゼロのとき,静止した物体が静止を続ける,または運動する物体が等速度運動を続けるような「慣性系」が存在する.
すなわち,運動の法則が成立する座標系を慣性系と定義する.慣性系の存在を仮定し,以後の運動法則は慣性系において成立するものとする.
というようなものです.運動方程式の成立において慣性系を定義し,その慣性系で成立する運動方程式がma=Fである…まるで議論が無限ループになっているようでもありますが,数学と違って出発点とされるはっきりした公理というものがありませんから,こうした再帰的な記述が物理学にはどうしても必要であるような気もします.
一方,ニュートンがプリンキピアで整理した運動法則においては,物体の運動の舞台として絶対(静止)空間と絶対時間を「公理」のようなものとして前提しています.したがって,第1法則においてすでにそれらを否定するような矛盾を内包することになったのですね.これら絶対空間・絶対時間の足場が崩れ去った現代においては,法則の中でその法則がよってたつべき運動の舞台=慣性系を用意せざるを得ないのだろうと思います.そこで,第1法則をもってそれに当てるという感じではないかと私は理解しています.