湯川ポテンシャル

湯川ポテンシャル

けん さんの書込 (2009/04/05(Sun) 00:20)

点電荷1つのつくるポテンシャルは点電荷からの距離rに反比例することが分かっています.

原点に正の点電荷,周りにたくさんの電子(点電荷として扱う)があるモデル(水素様原子)では,たくさんの電子よりも外の位置から見ると,ポテンシャルは湯川ポテンシャルになるということを以前大学の講義で聴きました.遮蔽効果によるためです.これまでは,湯川ポテンシャルでうまく表せることを経験則かと思っていたのですが.

ここで質問ですが,この「湯川ポテンシャルになる」というのは,点電荷たちのつくるポテンシャルの重ね合わせに対し,何らかの極限をとって計算して,導出できるものなのでしょうか.

ご存知の方,これについての説明が掲載されているテキストをご存知の方,よろしくお願いします.

Re: 湯川ポテンシャル

toorisugari no Hiro さんのレス (2009/04/06(Mon) 11:26)

デバイ遮蔽ですね.

導出にはプラズマの運動論が必要なので,詳しくは上のキーワードで検索してください.

識者が召喚されるのを待つのも手ですが.

Re: 湯川ポテンシャル

ASA さんのレス (2009/04/06(Mon) 18:28)

識者じゃないですが,プラズマと原子では,対象が違うので説明としては不適切でしょう.

専門家じゃないので間に合わせの説明を試みます.

量子力学の考えで,s0状態の電子分布を仮定します. 電荷密度は∫ψ0^2drに比例します.ψ0∝exp(-ar)なので 位置rにおける,遮蔽電荷密度はq(1-exp(-2ar)). プラス電荷の原子とキャンセルするので 結局ポテンシャルは,Vexp(-br)と湯川型になりますね(V=q/r).

平均電子分布(多電子でも)をs0状態と仮定して求めたというのが理解し易いのではないかと思います.

細かい事いえば,軌道角運動量による異方性があって,化学結合の手の方向に一致するはずですな.

Re: 湯川ポテンシャル

けん さんのレス (2009/04/07(Tue) 00:48)

コメントありがとうございます.

>toorisugari no Hiroさん プラズマの運動論,デバイ遮蔽は知っているつもりだったのですが….プラズマの本を見直してみます.

>ASAさん

>電荷密度は∫ψ0^2drに比例します.

電荷密度は∫(r^2)(ψ0^2)drに比例しませんか?

>プラス電荷の原子とキャンセルするので 結局ポテンシャルは,Vexp(-br)と湯川型になりますね(V=q/r).

何がプラス電荷の原子とキャンセルするのでしょうか. また,そのように湯川型になるというのもなぜそうなるのか分かりません. すみませんが行間を教えて下さい.

Re: 湯川ポテンシャル

ASA さんのレス (2009/04/07(Tue) 07:21)

>電荷密度は∫(r^2)(ψ0^2)drに比例しませんか? 確かにそうですね.間に合わせの説明なので粗があります.

>何がプラス電荷の原子とキャンセルするのでしょうか. 電子雲によるマイナス電荷です.

距離RでのS状態電子によるマイナス電荷の期待値は, 1-Af(R)exp(-aR):f(0)=1となります. これが,遮蔽効果となると考えます. R<<1なら,1-Aexp(-aR)と近似されます. +原子のポテンシャルをVとすると −電子雲によるの遮蔽は-V(1-Aexp(-aR))となります. これらを足し合わせると. VAexp(-aR)と湯川型になります.

分子間力では,Rによる安定距離が存在します. f(R)が適切なものなら,安定距離R0が分子間距離等となるはずです.

単なる湯川型だと反発しかしないので,原子が結合して分子になるとか,Heが分子間力により液体になるとか説明できませんよね.

Re: 湯川ポテンシャル

ASA さんのレス (2009/04/07(Tue) 07:45)

元の記事では >>たくさんの電子よりも外の位置から見ると とありますね.

>R<<1なら,1-Aexp(-aR)と近似されます. なので,このような説明は不適切です.

∫[0,R]g(r)exp(-ar)drは,逐次部分積分することにより, R>>1で結局B∫[0,R]exp(-ar)dr=Aexp(-aR)に等しくなります.

きっとこれを利用したのでしょう.

Re: 湯川ポテンシャル

けん さんのレス (2009/04/08(Wed) 23:32)

>ASAさん

もう少し考えます.

>toorisugari no Hiroさん

Francis F.Chen「プラズマ物理入門」を使っているのですが,この本には湯川ポテンシャルらしきものは見当たりませんでした. 何かいいテキストがあれば教えていただけますか.

Re: 湯川ポテンシャル

toorisugari no Hiro さんのレス (2009/04/09(Thu) 09:22)

> 何かいいテキストがあれば教えていただけますか.

申し訳ない.知りません.

Re: 湯川ポテンシャル

ASA さんのレス (2009/04/09(Thu) 09:39)

静的ポテンシャルの式-△φ=ρに湯川型ポテンシャルを入れることで電荷分布も同型であることがわかります. 確かに遮蔽分布が,正確に湯川型になることは考えづらいですね. デバイ遮蔽の説明//www.cs.kumamoto-u.ac.jp/~katsuki/lectures/plasma/no4.pdfでは,熱的揺らぎのため遮蔽分布は,ハードなシェルを作らずボルツマン分布exp{qφ/kT}でばらつくとしてます.これを展開して一次の項をとりρ=Aφを静的ポテンシャルの式に入れることで,湯川型であるという論法ですね. 元々どのようなコンテクストでの話であるのか不明ですが,孤立原子を考えるなら,量子化学で採用されている電子雲の考え方が筋だと思います(遠方だとr^n exp(-br):n>1が支配的になりますが).

Re: 湯川ポテンシャル

けん さんのレス (2009/04/12(Sun) 01:50)

>toorisugari no Hiroさん

了解しました.またよろしくお願いします.

>ASAさん

状況設定が厳密でなくすみません.設定を明確にし,また質問をしたくなったら書き込ませて頂きます.ありがとうございました.