電気伝導

電気伝導

ASA さんの書込 (2009/03/10(Tue) 08:10)

digiさんの「結晶中の電子の運動」が長くなり,当初の話題とずれてきたので仕切りなおしします. yamaさんの古典的モデルでの散乱がどのようなものかよく理解できないですが, 詳細に立ち入らない方法ならボルツマン方程式による説明がオーソドックスだと思います. ttp://www.px.tsukuba.ac.jp/~onoda/cmp/node49.html参照 詳細に立ち入る方法は,nomercy さんがふれた線形応答理論で,電子フォノン散乱を取り入れた方程式から,相関関数に落とし込むことで得られると思います. この具体的計算はしたことないので,nomercyさんご存知でしたら概要を述べていただけないでしょうか,よろしくお願いします.

Re: 電気伝導

nomercy さんのレス (2009/03/11(Wed) 00:56)

私も線形応答理論を用いて電子−フォノン系の電気伝導度を求めるというのはやったことがありません. 最低次の計算ならネットに転がってるだろうと思い,少し探したのですが見つかりませんでした.ボルツマン方程式で計算してるのはごろごろありましたが. 線形応答理論で不純物による抵抗を計算してるのはいくつか見つかりますね. これに比べてフォノンによる抵抗を計算するのは面倒なのでしょうね.反転過程も取り入れないとダメそうだし・・

No.23191の時点で頭にあったのは全然具体的なことではなくて, 単に線形応答理論の観点から言えば, 伝導度は平衡系での揺らぎで決まる,ということだけでした. そして,半導体のようなキャリアの薄い系では, 熱揺らぎが支配的と思っても良さそうだから(良くは知りませんが) これを熱運動の寄与と呼べば良いのかな,と.

逆に,金属では「熱揺らぎで決まる」という表現は適切でないでしょうね. (フォノンからの寄与は熱揺らぎと表現してもある意味正しいのかな)

時間があれば線形応答理論で電子−フォノン系の伝導度を評価するのをフォローしてみたいところです.(当分なさそうだが)

Re: 電気伝導

ASA さんのレス (2009/03/11(Wed) 07:59)

回答有難うございます. >最低次の計算ならネットに転がってるだろうと思い 不純物なら,どの温度でも一定ですから,計算が簡単なのでしょう. 温度依存性が話題にのぼったので,詳細計算でどのように算出されるのか興味がわきまして,質問いたしました. 定性的な理解なら,格子の熱膨張でしょうね.格子の<x>は,古典領域でTに比例します(by キッテル),古典的な剛体球散乱で例えるなら,半径が大きくなることに相当しますからね. 量子的なものだったら,フォノンの密度でしょうかね.比熱一定領域ならフォノン密度は,対エネルギーで温度Tに比例しますから,温度に比例する抵抗を受けると.(計算では数密度演算子Nとかで統計処理して温度依存性をだすのかな)

>単に線形応答理論の観点から言えば,伝導度は平衡系での揺らぎで決まる,ということだけでした. 公式しか記憶になくて電流Jの相関と揺らぎとの関係にピンとこなかったです. 揺らぎというとアインシュタイン関係式とかをまず思い浮かべてしまいます.

伝導度で調べると,その他Thouless 公式とかLandauer 公式とかがあるがわかりました.(こちらの方が線形応答理論よりイメージしやすいですね)

Re: 電気伝導

ASA さんのレス (2009/03/11(Wed) 11:46)

古典的モデルでは,コンダクタンスが量子化されることを説明するのは無理でしょう. Landauer 公式に基づくと,コンダクタンスGは,透過率Tと反射率Rの比で表わされ,G∝T/Rの関係が有ります.完全に透過するなら,抵抗が0になるということをすんなりイメージできます. www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yamazaki/files/undergrad/conductance.pdf参照

Re: 電気伝導

nomercy さんのレス (2009/03/11(Wed) 21:06)

>量子的なものだったら,フォノンの密度でしょうかね.比熱一定領域ならフォノン密度は,対エネルギーで温度Tに比例しますから,温度に比例する抵抗を受けると.(計算では数密度演算子Nとかで統計処理して温度依存性をだすのかな)

そんな感じでしょうね. 基本的には 摂動計算ではフォノンの吸収に対して N,放出に対して N+1 という因子が付くはず.

>公式しか記憶になくて電流Jの相関と揺らぎとの関係にピンとこなかったです.

相関関数(電流の分散 <JJ> ですね)を揺らぎと呼んだだけです. あまり意味はありません.