誘電体が受ける力について質問があります. 平行平板コンデンサー中にある誘電体が受ける力について質問させてください. これを求めるには2つの方法がよく書かれています. 1.仮想変位をさせエネルギー収支を用いて解く 2.マクセルの応力を用いる
このどちらも,誘電体が受ける力の方向成分の電場はゼロです. なぜ,電場が無い方向の力を受けるのでしょうか.
ぼくの考えでは,一様な電場という単純化された設定に無理があり,実際には電場に乱れがあるために引力が働くと考えています. しかし,この無理な設定においても,「たまたま」上記の説明の結果と一致していると考えています.でも,なんかしっくりしません. どう考えればよいのでしょうか.よろしくお願い致します.
横井さん,こんにちは.
誘電体が平行平板内にすっぽり収まれば,電磁気力を受けないので, やはり,平板の縁における歪んだ電場分布が影響するような気がします. 自信はありませんが・・・.
ミュフ猫さんありがとうございます. ぼくも同感です. しかし,仮想変位を用いる場合に静電エネルギーを計算するときには,電場の歪みを考慮していません. また,マクセルの応力で計算する場合にも,電場の歪みを入れなくとも誘電体に電場に垂直に力が働くという結果が出てきます. マクセルの応力の結果がクーロン力と矛盾するのはおかしく感じます.
しかし,この問題は大学入試でも,大学の電磁気学の問題演習でも非常にメジャーなものであるので,なにか意味があるのでしょうか?
横井さん,こんばんは.下記が役に立ちそうですね.
問題Http://www.moge.org/okabe/temp/elemag/node73.html
解答Http://www.moge.org/okabe/temp/elemag/node117.html
コメントを削除しました. お騒がせして,すみません.m(_ _)m
>Yokkunさん 読んでみました. おそらくこのページの岡部さんの主張は僕のものと同じと考えてよいですよね. それとも,ぼくの誤解かな?
おそらく現実では,電場がゆがんで誘電体が力を受けているとぼくも考えます. しかし,その大きさを計算するときに,電場の歪みを考慮にいれないモデルで計算して正しい結果を求められていると考えられないです.
実験結果は計算結果を支持しているのでしょうか? どうでしょうか?
私の推測では,
(1)誘電体を引き込む力は,まぎれもなく真空―誘電体境界における電場の歪みによって生じる. (2)電場のエネルギーは,境界の歪みを無視しても,ほどよい近似で仮想仕事の原理による「引き込む力」を生じるような変化をする(境界の局所的な歪みは力の根本原因だが位置エネルギー全体への寄与は小さい). (3)いずれにせよ,現実には境界において歪んだ電場によって引き込む力が生じ,それはマクスウェル応力を積分したものになる. (4)境界における歪みを考慮した電場のエネルギーこそが正しくコンデンサーが蓄えるエネルギーの表現となる.
・・・ように思うのですが,理論的な証明および実験結果との整合は,非力な私のレベルでは未解決です.
マクセルの応力について書きます
詳解電磁気学演習(共立出版)第3章[26]に次のようにあります. 電場が境界面に垂直な場合,誘電率ε1,ε2の2つの誘電体の境界面に単位面積あたりに作用する力は fn=1/2(ε1-ε2)E^2 とあります.
マクセルの応力の式からだと,電場にゆがみがない場合でも,電場に垂直に力が発生しています. 一見おかしいこの結果を吟味する方法はないのでしょうか?
>マクセルの応力の式からだと,電場にゆがみがない場合でも,電場に垂直に力が発生しています.
これは,どこからそのように読み取れるのでしょうか? ご紹介の演習書の記述は,「電場が境界面に垂直な場合」であり,与えられた力fnは電場方向の力ではないのですか? 電場がx成分のみの場合,マクスウェル応力はやはりx成分のみだと思うのですが.
そうなんです! ぼくの疑問もそこです. でも,その力は電場に垂直方向なんですよ.
この本はお持ちですか? かいつまんで式を書くと 「境界面をyz面とし,E,Dのy成分だけが0でないとする. yz面に作用する力はTxx,Txy,Txzであり,そのうち0でないのは Txx=-EyDy/2だけである.これは,yz面に垂直に作用する張力であり, 誘電体ε1から誘電体ε2の方向に作用するfnは fn=(Txx)_2-(Txx)_1=(-ED_2/2)(-ED_1)=1/2(ε1-ε2)E^2」 となっています.
ちなみにこの本{詳解電磁気学演習}は よく使われいる演習書で,大学にもたくさん置いてあるような本です. 間違いがあるとは思っていないのですがどうでしょう.
なるほど,間違いはないようですね. 電場が一様でy成分のみをもつというのは,誘電体の分極を加味した上でのことではないのでしょうか?仮に2つの誘電体の間にわずかなギャップをつくれば,ギャップにおける電場はそれぞれの誘電体の境界における効果のために歪みを生じるものと思われますが,その歪みによる力が演習書で与えられているようなものになるかという理論的な解釈は,私の能力を超えます.お役に立てなくてごめんなさい.でも私自身この「パラドックス」には興味があるので,他の方の支援を待つとともに,私自身の宿題としても考えていきたいと思います.
いろいろ考えたり調べたりしたのですが,進展はありませんでした.
一様な電場という設定自体が現実にあり得ない. ということにも関係しそうです.
今のところぼくの考えられていることはここまでです.
もし,なにかヒントをもっている方がいたらコメントお願いしたいです. Yokkunさん,ミュフ猫さん,いろいろ考えてくださってありがとうございました.