物理チャレンジ2008の実験問題の問3-6においてゾーンプレートの原理について述べてありました. ttp://www.phys-challenge.jp/img/pdf/jikken-q2008-2.pdf
>素元波の同位相面の接線を描くと,焦点Oに集束する球面波となる. とありますが,ここがよく分かりません.同位相の接線を描くと,スリットを通った後も平面波になるように思うのですが.
これがゾーンプレートが凸レンズの働きをすることの説明だと思うのですが,この部分についてもう少し詳しく教えて頂けないでしょうか.お願いします.
同位相の波面は,同じ波面(波源から同時に出た波面)でなくともたくさんあるわけですよね?ですから同位相の波面の包絡線もたくさん描けるわけですが,各スリットから出た「素元波」の波面との接点が近接していないと(となりあう波面がほぼ同じ方向を向いていないと)強めあいません.スリットによって回折を受けた光線が強めあう方向は,包絡線と波面の接点が最も近接した方向になるのです. 実質的な射線(波の進行方向を示す直線)は,(A1,A1),(A1,A2),(A2,A3),…といったとなりあうスリットの組による腹線が集中する方向になると思われます.
平面波がスリットを通った後は平面波ではなくなり,スリットから広がる素元波の重ね合わせになります. その重ね合わせによって,波が強め合うところや弱め合うところが生じるわけです. 回折格子のように等間隔に並んだスリットの場合は,特定の方向に進む波が強め合うことはご存知だと思います.この場合,隣り合うスリットから特定の方向に向かう距離の差が波長の整数倍のときにその方向の波が強め合います.
ゾーンプレートの場合は,スリットは等間隔ではありません. これは,特定の方向ではなく,特定の位置(焦点)で波が強め合うようにするためです. 焦点Oで強め合うには各スリットから出る波が同位相でOに到達する必要があるので,各スリットからOまでの距離の差が波長の整数倍でないといけません. 図3-4の場合は
となっています.
なお,ゾーンプレートによって波が球面波に変換されるといっても,スリットを出た直後に球面波になっているわけではありません.焦点Oの近傍で球面波に近づくわけです.
お二方様返信有り難うございます.
最も強め合う点として点Oがあって,点Oに近ければそれだけ,同位相の波が近くにあるため,球面波のようになるということですね. とても分かりやすい説明有り難うございました.
Yokkunさんのおっしゃているように,同位相の波面の包絡線はいろいろ描けて,どれが適当なのか困惑していたのですが,やっと何故図3-4のようになるか分かりました.