ベクトル解析変形

ベクトル解析変形

すずめ さんの書込 (2008/11/24(Mon) 21:53)

いま電磁気学を勉強しているのですが,どうしても以下の変形[近似]がわかりません.お教えください.

r,r_i を位置ベクトル, |r|,|r_i| をその位置ベクトルの大きさ, e_rr, の単位ベクトルとして, |r| >> |r_i| という条件下で,

\frac{1}{|r - r_i|} \fallingdotseq\frac{1}{|r|} + \frac{r_i \cdot e_r}{r^2}

お手数ですがよろしくお願いします.

Re: ベクトル解析変形

Yokkun さんのレス (2008/11/24(Mon) 22:18)

すずめさん,こんばんは.

|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}_i| = \sqrt{(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}_i)^2} の2乗部分を展開してみましょう.

あ,あとここではベクトルの斜体太字は,bm{ }が便利なようです. \bm{r}

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/25(Tue) 10:42)

|x|\ll 1 のとき,以下の近似
(1+x)^\alpha &= 1 + \alpha x + O(x^2)

( \alpha は非零の実数.また, O(h^n)h \to 0 のとき h^n 程度で0に近づく数) が成り立つのをご存じですか?

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:06)

Yokkunさん, toorisugari no Hiroさん,ありがとうございます.

Yokkunさん, |\bm{r}-\bm{r_i}| を展開しますと,

|\bm{r}-\bm{r_i}|=\sqrt{(\bm{r}-\bm{r_i})^2}=\sqrt{(x-x_i)^2+(y-y_i)^2+(z-z_i)^2}

となるのではないでしょうか?

toorisugari no Hiroさん, はい,存じております.おそらく x<<1 について

(1+x)^{-1}=1-x

という近似をつかうのでないか,という予想だけはあるのですが, という感じです.

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:08)

で,この二つをどう結びつけますか? 考えてみてください.

# 前者は成分を使わない計算が見通しがよいと思います.ヒント: 内積

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:21)

toorisugari no Hiroさん,ありがとうございます.

自分で考えると, \bm{r}=|r|\bm{e_r} と変形して, 微小量をくくりだすために,

\sqrt{(\bm{r}-\bm{r_i})^2}=|r|\sqrt{\left(\bm{e_r}-\frac{\bm{r_i}}{|r|} \right)^2}

と変形したところで止まります.

Re: ベクトル解析変形

Yokkun さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:30)

あ,いい感じですね. 2乗がぬけたのであらためてルートの中2乗しましょう. 展開第2項は内積のままベクトル表示を残してください.

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:51)

Yokkunさん

ありがとうございます.ルートの中の2乗は修正しました. ただ,展開第2項というのはどの部分でしょうか?教えてください.

toorisugari no Hiroさん

|\bm{a}|^2=\bm{a}\cdot\bm{a}

でしょうか?

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/25(Tue) 23:54)

> |\bm{a}|^2=\bm{a}\cdot\bm{a} でしょうか?

では |\bm{a}+\bm{b}|^2 を上の考えに沿って展開してみてください.

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:03)

展開しますと,

|\bm{a}+\bm{b}|^2=(\bm{a}+\bm{b})\cdot(\bm{a}+\bm{b})=a^2+b^2+2\bm{a}\cdot\bm{b}

となります. 少し混乱してきましたので教えて頂きたいのですが,

|\bm{a}+\bm{b}|^2=(\bm{a}+\bm{b})^2

は成立しているのでしょうか?

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:11)

もう少し. \frac{1}{|\bm{a}+\bm{b}|} はどう展開できますか? さらに |\bm{b}|/|\bm{a}|=\epsilon (\ll 1) のとき \frac{|\bm{a}\cdot\bm{b}|}{|\bm{a}|^2}\epsilon で評価してください.(ヒント |\cos\theta|\le 1 )

> 少し混乱してきましたので教えて頂きたいのですが, |b914aeaa237e55ef55395864931ee210| は成立しているのでしょうか?

|\bm{a}+\bm{b}|^2=(\bm{a}+\bm{b})^2=(\bm{a}+\bm{b})\cdot(\bm{a}+\bm{b}) 同じ意味です.

Re: ベクトル解析変形

Yokkun さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:19)

解いている間(?)にちょっとおじゃま.

(\bm{a}+\bm{b})^2=a^2+b^2+2\bm{a}\cdot\bm{b} は余弦定理というやつと同じですね.あと,ねまーす. すずめさん,もう少しですからがんばりましょう.

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:23)

Yokkunさん ありがとうございます.

>同じ意味です. ありがとうございます. \frac{1}{|\bm{a}+\bm{b}|}

\frac{1}{|\bm{a}+\bm{b}|}=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}+\bm{b})^2}}=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}+\bm{b})\cdot(\bm{a}+\bm{b})}}=\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2+2\bm{a}\cdot\bm{b}}}

でしょうか?

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:26)

> \frac{1}{|\bm{a}+\bm{b}|}=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}+\bm{b})^2}}=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}+\bm{b})\cdot(\bm{a}+\bm{b})}}=\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2+2\bm{a}\cdot\bm{b}}} でしょうか?

です. 2問目も解けば9合目

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:37)

修正しました.ありがとうございます.

\frac{|\bm{a}\cdot\bm{b}|}{|\bm{a}|^2}=\frac{||\bm{a}||\bm{b}|cos\theta|}{|\bm{a}|^2}=\frac{|\bm{a}||\bm{b}||cos\theta|}{|\bm{a}|^2}=\frac{|\bm{b}||cos\theta|}{|\bm{a}|}=\epsilon|cos\theta| \leqq \epsilon

でしょうか?

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/26(Wed) 00:40)

> \frac{|\bm{a}\cdot\bm{b}|}{|\bm{a}|^2}=\frac{||\bm{a}||\bm{b}|cos\theta|}{|\bm{a}|^2}=\frac{|\bm{a}||\bm{b}||cos\theta|}{|\bm{a}|^2}=\frac{|\bm{b}||cos\theta|}{|\bm{a}|}=\epsilon|cos\theta| \leqq \epsilon > でしょうか?

OK. ふうう.

ではあらためて,問題

|\bm{b}|/|\bm{a}|=\epsilon (\ll 1) のとき, \frac{1}{|\bm{a}-\bm{b}|}\epsilon の一次の精度で近似せよ.ただし, \bm{b},\bm{a} は直交しない( |\cos\theta| \gg \epsilon ).

# いけるところまで行き詰めてください.たぶん一次式になるはずです.ヒント 1/\sqrt{x}=x^\alpha

# 前に出した公式少し変更しますね.

(1+x+O(x^2))^\alpha = 1+\alpha x+O(x^2)\qquad(|x|\ll 1)

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/26(Wed) 01:04)

わかってきました!

\frac{1}{|\bm{a}-\bm{b}|}= \frac{1}{\sqrt{(\bm{a}-\bm{b})^2}}= \frac{1}{\sqrt{(\bm{a}-\bm{b})\cdot(\bm{a}-\bm{b})}}= \frac{1}{\sqrt{a^2+b^2-2\bm{a}\cdot\bm{b}}}= \frac{1}{a \sqrt{1+\frac{b^2}{a^2}-2\frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{a^2}}}

として,近似をつかうんですね...texが混乱してしまい,進まないので 明日また続けさせて下さい.でももういけそうです!ありがとうございます!!

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/26(Wed) 01:07)

>わかってきました!

\frac{1}{\bm{a}-\bm{b}}&=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}-\bm{b})^2}}\\&=\frac{1}{\sqrt{(\bm{a}-\bm{b})\cdot(\bm{a}-\bm{b})}}\\&=\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2-2\bm{a}\cdot\bm{b}}}\\&=\frac{1}{a\sqrt{1+\frac{b^2}{a^2}-2\frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{a^2}}}

左辺意味不明.

>として,近似をつかって,

> ですか?

-2が消えてる.なのに途中で復活してる何故? 1/a はどこに行った?

(1+x+O(x^2))^{1/2} &= 1+x/2+O(x^2)\\1/(1+x+O(x^2)) &= 1-x+O(x^2)

とバラで使っていけば混乱しないと思います.

Re: ベクトル解析変形

すずめ さんのレス (2008/11/27(Thu) 00:40)

遅くなりすみません.texで混乱していました(います).

\frac{1}{{|{\bf{a}} - {\bf{b}}|}} = \frac{1}{{|{\bf{a}}|\sqrt {1 + \frac{{b^2 }}{{a^2 }} - \frac{{2{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} }} = \frac{1}{{|{\bf{a}}|}}\left( {1 + \frac{{b^2 }}{{a^2 }} - \frac{{2{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} \right)^{ - \frac{1}{2}}

ここで,

\frac{{b^2 }}{{a^2 }} = \varepsilon ^2
\frac{{{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }} = \frac{{|{\bf{a}}||{\bf{b}}|\cos \theta }}{{a^2 }} = \frac{{|{\bf{a}}||{\bf{b}}|\cos \theta }}{{|{\bf{a}}|^2 }} = \frac{{|{\bf{b}}|\cos \theta }}{{|{\bf{a}}|}} = \varepsilon \cos \theta \,\,\underline{\underline  < } \,\,\varepsilon \

\left| {\frac{{{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} \right|\,\,\underline{\underline  < } \,\,\varepsilon \, \ll 1

より,近似 |x| \ll 1\, のとき成立する近似 (1 + x)^\alpha   = 1 + \alpha x + O(x^2 ) を用いて,

\frac{1}{{|{\bf{a}} - {\bf{b}}|}} = \frac{1}{{|{\bf{\alpha }}|}}\left( {1 + \frac{{b^2 }}{{a^2 }} - \frac{{2{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} \right)^{ - \frac{1}{2}}  \simeq \frac{1}{{|{\bf{\alpha }}|}}\left\{ {1 - \frac{1}{2}\left( {\frac{{b^2 }}{{a^2 }} - \frac{{2{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} \right) + O(\varepsilon ^2 )} \right\}= \frac{1}{{|{\bf{a}} - {\bf{b}}|}} = \frac{1}{{|{\bf{\alpha }}|}}\left\{ {1 - \frac{1}{2}\left( {O(\varepsilon ^2 ) - \frac{{2{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }}} \right) + O(\varepsilon ^2 )} \right\} = \frac{1}{{|{\bf{\alpha }}|}}\left\{ {1 + \frac{{{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }} + O(\varepsilon ^2 )} \right\}

\frac{1}{{|{\bf{a}} - {\bf{b}}|}} = \frac{1}{{|{\bf{a}}|}}\left\{ {1 + \frac{{{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}}}{{a^2 }} + O(\varepsilon ^2 )} \right\}

従って,一次の精度で近似しますと,

\frac{1}{{|{\bf{a}} - {\bf{b}}|}} \simeq \frac{1}{{|{\bf{a}}|}} + \frac{{{\bf{a}} \cdot {\bf{b}}\,}}{{|{\bf{a}}|^3 }}

これでどうでしょうか?

Re: ベクトル解析変形

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/11/27(Thu) 17:28)

良いと思いますよ. # 最後から2番目の式は長すぎるので途中で改行を入れてください. # TeX中の{}大杉:-) # bfよりbmがよいです.

\frac{|\bm{b}|}{|\bm{a}|} &\equiv \varepsilon \ll 1,\\\frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{|\bm{a}|^2} &= \varepsilon\cos\theta_{ab}

により

|\bm{a} - \bm{b}|^2 &= |\bm{a}|^2 - 2\bm{a}\cdot\bm{b} + |\bm{b}|^2\\&= |\bm{a}|^2 \left(1 - 2\varepsilon\cos\theta_{ab} + \varepsilon^2\right)

これと,近似式

(1+x+ O(x^2) )^\alpha &= 1+\alpha x + O(x^2) \qquad (|x| \ll 1)

により,

\frac{1}{|\bm{a} - \bm{b}|} &= \frac{1}{|\bm{a}|} \left(1 - 2\varepsilon\cos\theta_{ab} +\varepsilon^2\right)^{-1/2}\\&= \frac{1}{|\bm{a}|} \left(1 + \varepsilon \cos\theta_{ab} + O(\varepsilon^2)\right) \qquad(\because~ O(\varepsilon^2 \cos^2\theta_{ab})\subset O(\varepsilon^2))\\&= \frac{1}{|\bm{a}|} \left(1 + \frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{|\bm{a}|^2}+ O(\varepsilon^2)\right)\\&= \frac{1}{|\bm{a}|} + \frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{|\bm{a}|^3}+ O(\varepsilon^2)

となりますね.

# 得られた関係式

\frac{1}{|\bm{a} - \bm{b}|} &= \frac{1}{|\bm{a}|} + \frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{|\bm{a}|^3}+ O(\varepsilon^2)

\bm{a}\cdot\bm{b}\sim 0 のときでも正しいですが,ランダウの記号を取り除いた近似式

\frac{1}{|\bm{a} - \bm{b}|} &\sim \frac{1}{|\bm{a}|} + \frac{\bm{a}\cdot\bm{b}}{|\bm{a}|^3}

は, \bm{a}\cdot\bm{b}\sim 0 のときには \varepsilon^2 のオーダーの項が優位になり,正当性が怪しくなります.この近似式に対しては,「 \bm{a},\bm{b} は直交しない( |\cos\theta_{ab}| \gg \varepsilon )」という条件を付与した方が安全ですね.