はじめまして,大学3年のスパと申します.
質問したいのは先日友人と議論した内容についての皆さんの意見です.内容は, 「色んな製品を作り出すために応用物理の必要性はわかるけど,遠方宇宙の観測・力の統一など(応用に対しての)基礎物理はまだやる必要があるのか?」 というものでした.
きっかけは先日のノーベル賞受賞者の会見で記者の一人が言った「先生の研究は私たちの生活にどのように役立ちますか?」という質問が引っかかったことでした. 基礎物理はLHCや天体望遠鏡のように大掛かりで,大量の資金(税金など)も必要となります.そして,多くの人にとっては「それが分かったから,何?」というものであることは否定できないと思います.
一つの意見として「基礎があるから応用があり,さらに応用させるために新たな基礎の発見が必要」というものがでました. 他に「知的欲求を止める事はできない」という意見もありましたが,そんな感情論では不要と思っている人には納得してもらえないと思います.
要するに,基礎物理はもう必要ないと思っている人に必要性を説きたいのですが,皆さんはこの問題についてどのようにお考えになりますでしょうか?
> 「色んな製品を作り出すために応用物理の必要性はわかるけど,遠方宇宙の観測・力の統一など(応用に対しての)基礎物理はまだやる必要があるのか?」
こういうコメントを聞くと,一昔前によく聞かれた 「金融や財テクで経済発展していけばいいのであって,今更,物作りに励むことに価値があるの?」という言葉を思い出します.
直近に価値が生み出される学問ばかり重視して本当に大丈夫なのでしょうか?
先のコメントをいった方は,二,三年後に「色んな製品を作り出すために応用物理」は必要と認識されているようですが,二,三十年後,あるいは百年後に「色んな製品を作り出すため」の「応用物理」(=基礎物理,数学)は必要とはお考えではないのですね.
# 何も応用に結びつかない「形而上学」と考えられていた一般相対論でさえ,現在,GPSを介して我々の生活に役立っています.
百年後に投資するつもりで基礎物理に投資してはもらえないのでしょうか? # ま,問題は「する・しない」ではなく,「いくら出せる?」でしょうが..
私はSTMという顕微鏡を使って原子レベルでの物性評価を行っています, 分野としては応用物理に区分けできると思いますが,製品の形までは 程遠いので基礎物理的です. 個人的意見としては例え生活に役立たないとしても人類の知識・知恵が 一歩進めばそれは喜ばしいことではないかと思っています. ただ,学問はある意味文化なので,国に余裕がなければ確かにそのような 意見が出てくるのも無理はないとは思います.
以前,本で読んだのかWebで見たのかは忘れましたが,ファラデーのエピソードが 参考になるように思います.正確には覚えてませんがだいたい以下のような感じ です.
有名な電磁誘導の話ですが,彼がこれを発見して発表したときに「磁石を動かして 電気が流れたからってなんの意味があるんだい?」と質問を受けたそうです. 彼は「この発見はまだ生まれたての赤ちゃんみたいなもので,これからどうなる かはわからない」と答えたそうです. 彼の発見がいまや偉大な発見であったことは言をまたないですね.
HiroさんもGPSの例を挙げてますが,この類の話はいくらでもあると思います. 基礎物理が思わぬところで人類の役に立つことがある,というのは歴史の証明 していることで感情論とは違うように感じます.
スパさん,初めまして.
面白い観点でお考えを展開されていて,興味深いです.
>基礎物理はLHCや天体望遠鏡のように大掛かりで,大量の資金(税金など)も必要となります.
この「基礎物理」=「大量の資金(税金など)」という構図は,一対一の関係ではないようにおもいます.また,いくらお金を使えたとしても,地球環境下という別次元の制限もありませんか?