電子についての記述より

電子についての記述より

イクノ さんの書込 (2008/10/11(Sat) 00:57)

文系なのですが,数式がそんなに多くない物理の本を読んでいて,興味と疑問を持ったので,書き込みます.

本を読んでいたら,「それぞれの電子は区別できない」と書いてあり,それがとても大切な事実のように書いてありました. 大きさがバラバラだったり,印がついているわけではないので,当然なんじゃないかなぁって客観的には思えるのですが,「区別できない」ということで,何か一般常識とは違う現象がおきたりするのでしょうか?

Re: 電子についての記述より

mNeji さんのレス (2008/10/12(Sun) 11:37)

イクノさん,初めまして.面白い点に興味と疑問を持たれた様ですね.

電子の話をする前に,気体について考えます.とくに子供の好きな風船のなかに入ったヘリウム(He)について考えます.大部分のヘリウムは陽子*2,中性子*2,電子*2から構成される原子で,ヘリウム4とか \ ^{4}_2 \text{He}_2 とか書く事があります.希ガスの一つで,普通のガスのように2原子が対になって1つの分子, O_2, N_2 とならず,1つの原子で気体となります.そういう意味では,電子系が単一電子が集まって出来ているのと,ヘリウム系も単一のHeが集まっているという意味で似ていますね.

他方,まだ量子力学が発達する前から,気体の振る舞いを「気体を構成する分子が相互に,衝突を繰り返すような運動をする」という観点から研究されました.一度,ご自分で「気体分子運動論」「分子運動論ボルツマン」で検索して見てください.

風船のなかのヘリウムも,日常的に呼吸している大気も,古典力学に従った気体分子運動論により大方の説明ができます.ところが,ヘリウム4を極低温にすると,容器の壁を伝わってよじ登る現象が見つかりました.この現象を「超流動」といいます.此れも,「超流動ヘリウム」などで検索すると面白いかもしれません.ヘリウムにはヘリウム3という同位体(陽子*2, 中性子*1,電子*2); \ ^{3}_2 \text{He}_1 ,もあり,ヘリウム4とは違う挙動をします.

このように日常的な条件では普通の気体も,温度や圧力が特定の範囲になると,古典力学的な振る舞いから,量子力学的な振る舞いに,移行してしまうことです.

似た様な事が,電子の系でも起こる訳です.高校の物理の授業で真空のガラス容器のなかに陰極から電子を出して,ガラス容器に衝突させてガラスを光らせたり,途中に金属をいれて影をつくったり,電場や磁場を掛けて軌道を曲げたりできます.その意味では,電子は古典力学や電磁気学に従った振る舞いをします.

ところが,半導体素子のように,小さな領域に電子が多数押し込められ,その領域に,そこそこの電位差が与えられると,電子は古典力学的な振る舞いから離れて,量子力学的な振る舞いに移行します.このお陰で,パソコンが小さく,安価になっていますが.

すこし話がそれますが,高校の化学で,電子の一つの軌道には,それぞれの電子のスピン(自転)の方向が逆向きの電子が一つずつ,計2個の電子が入るとならいませんでしたか?逆にいえば,電子のばあい,同じ方向にスピンが向いていると反発して接近できません.似た様な事が,ヘリウム3にも起こります.これは,電子もヘリウム3も共に,スピン1/2の粒子だからです.

ところが,ヘリウム4はスピン0の粒子の為に,ヘリウム4粒子は,幾らでも接近できます.

このように,物質を構成する粒子は,その置かれた環境下で,色々な振る舞いをします.とくに同一粒子系では,粒子のスピンによって接近関係が強く影響されます.

〜〜〜〜 以上,自分の知識の範囲で書かせていただきました.残念な事に,物性物理,半導体工学には疎いので,詳しい事を知りたければ,専門の方にヘルプをお願いして下さい.

Re: 電子についての記述より

yokkun831 さんのレス (2008/10/12(Sun) 11:54)

過去ログに関連するものがありました.ちょっと難解な部分もありますが,参考になりましたら.

hooktail.maxwell.jp/bbslog/17339.html

Re: 電子についての記述より

なんとなく さんのレス (2008/10/12(Sun) 19:39)

イクノさん,初めまして,なんとなくです.

確率の話に類似性があることを指摘されていた方がありましたが,本質的に共通する点があります.よくある箱に白玉1個,赤玉2個を”順”に入れ,その後一個を取り出したとき,それが”最後”に入れた赤玉である確率を考えます.ここで,赤玉2つが区別できないとすると,確率は2/3,区別できるとすると1/3です.この区別できないは”赤”という性質のみに”抽象化”した(現実には傷や汚れや何かで区別できる)ためですが,素粒子では区別できないことが本質です.

比喩的な話に過ぎませんが,マクロな世界で素粒子の世界のように区別できないことが起こったら,どうなるでしょう.双子の兄弟がいたとして,その兄と会う約束をして,待ち合わせたとします.実際に会えたのは兄でしょうか弟でしょうか.もし,本質的に区別がつかないとすれば,彼は兄でもあり弟でもあります.つまり,性格も何もかも,兄の記憶も弟の記憶も持ち,違う人間であるという意味が無くなります.しかも双子はそういう存在であると定義づけられるでしょう.2人は違う経験をしている筈なのにです.まるでドッペルゲンガーですね.まさに常識と違う存在となります.

Re: 電子についての記述より

イクノ さんのレス (2008/10/16(Thu) 19:07)

ありがとうございました. 同じような質問をしてらっしゃる人がいたのですね. 過去ログを検索してから質問するようにします.

が,難解ですね…