「気球内にあった体積V0,温度T0,密度ρ0,の空気を暖めて膨張し 体積V1,温度T1,密度ρ1になるとき,ρ1を求めよ」(ただし,気球内の空気圧と外気の圧力は常に等しいように保つ) という問題なのですが解答では 圧力一定ということでシャルルの法則を使って
V0/T0=V1/T1 ⇒M/ρ0T0=M/ρ1T1(Mは最初の空気の質量) としているんです
でも今温度T0からT1に上昇させているので,空気内の質量Mは変化していますよね?なので
M/ρ0T0=M'/ρ1T1(M'は操作後の空気の質量)
としたのですが,何がダメなんでしょうか (ρ1=M'/V1としてみたのですが…)
また次の問題で,空気の減少した量を聞いているのですが,これも解答では ρ0V0−ρ1V0としているのですが,なぜρ0V0−ρ1V1ではないのでしょうか どなたか説明おねがいいたします
気球内部の空気全体の質量は,温度によって変化しないと思います. なぜなら,気球内部の空気の分子数も,分子の質量も温度によって変わらないからです.
>また次の問題で,空気の減少した量を聞いているのですが,これも解答では ρ0V0−ρ1V0としているのですが,なぜρ0V0−ρ1V1ではないのでしょうか
熱気球は口が開いていますから,膨張した気体は外部に出て行きます. また,気球の体積は変化しません. ですから,気球内の質量変化は密度の変化に体積を乗じたものになります. ΔM=(ρ0-ρ1)V0
問題文には >「気球内にあった体積V0,温度T0,密度ρ0,の空気を暖めて膨張し 体積V1,温度T1,密度ρ1になるとき,ρ1を求めよ」 とかかれていますが
「気球内にあった体積V0,温度T0,密度ρ0,の空気を暖めて膨張し 体積V1,温度T1になった時の密度ρ1を求めよ」 であると解釈します.
熱気球には普通,開口部がありますから内部の気体の量が膨張に伴って変化するとと考えます.シャルルの法則は気体の量が一定の場合にしか使うことが出来ません.後半で空気の減少量を聞いていますので気体の量が一定であるという前提は成り立っていないとするのが自然です.
気体の量が変化しない場合であれば 「気球内にあった体積V0,温度T0,密度ρ0,の空気を暖めて膨張し 体積V1になったとする.温度T1,密度ρ1を求めよ」 という問題でいい事になります.
起こっている変化をどういう風に想定するかもポイントでしょう. 私は しぼんでいる気球が暖められて膨張した.(第一段階) 加熱を続けると気体の流出が起こり浮上した.(第二段階) を想定しました. 「気体の体積Vo,V1は気球の体積である」という解釈です. (解答は異なる解釈をしているようです.後出)
前半の解答,ρoVo=ρ1V1はシャルルの法則が成り立つかどうかには関係しません.密度は圧力と温度だけで決まります.体積には関係しません.これは気体の状態方程式から導くことが出来ます.
後半の解答はρ0Vo−ρ1V1です.これはYearさんの方が正しいです.
解答の解釈
解答にある2つの式が出てくる状況を考えてみました. 初めの「気球」の体積をVoとします.この中に温度To,密度ρoの空気があるとします.「この空気を圧力を変えないようにして加熱し温度をT1にする.体積V1,密度ρ1を求めよ.」というものです.気球の体積が変わらないようになっていれば気体は気球から流出します.その流出する気体も合わせた体積がV1です.容器が二重構造になっていなければダメです.気球から流出した気体が別の容器に溜まるのです.この状況だと流出した気体にも同じように熱を加えています.
全体に対してはシャルルの法則を使うことが出来ます. 気体の流出量は(ρo−ρ1)*Voになります. ρoTo=ρ1T1も成り立っています.
次のように考えるのと同じです.
「ピストンの付いた容器に気体が入っています.ピストンは自由に動きます. ピストンの内側の位置に仕切り板が付いています.穴が空いています.初めピストンは仕切り板に密着しています.気体を加熱すると圧力が高くなりますので穴から流出しピストンが移動します.全体の温度をT1になるまで加熱するとき仕切り版の穴から出た気体の量はいくらでしょうか.」
でも流出した気体を逃がさないようにして一緒に暖めるという操作が気球という前提からすると非現実的です.それだと気球の問題ではありません.
でもこれはV1に意味を持たせようとして考えた結果です. 実はV1は必要ありません.密度は体積のV1とは無関係に決まるのですから流出量もV1に無関係です. 「V1を決めよ」という文章がなければ簡単に終わってしまう問題です.
初めの「気球」の体積をVoとします.この中に温度To,密度ρoの空気があるとします. 「この空気を圧力を変えないようにして加熱し温度をT1にする.体積V1,密度ρ1を求めよ.」 というのではなくて 「この空気を圧力を変えないようにして加熱し温度をT1にする. (1)密度ρ1を求めよ. (2)流出量を求めよ.」 であればいいのです.
この場合,流出した気体をどうこうするかということは一切考慮する必要はありません.
結局体積のV1という意味が混乱の元だということになります.