量子力学

量子力学

apple さんの書込 (2008/07/31(Thu) 23:08)

(問題) 自由空間(真空中)を質量m,電荷‐e(e>0)を持った電子が一定速度vで運動する場合,この電子のもつ波長は,ド・ブローイの量子条件λ=h/pより与えられる.ここで,pは運動量,hはプランク定数である.電子の波長λと運動エネルギーEの関係を式で表せ.

(自分の考え) E=(1/2)mv^2=p^2/2m λ=h/pより E=h^2/2mλ^2

となったのですが,これでは間違っているらしいです. なぜこれではいけないのでしょうか?? (粒子性と波動性をごっちゃにしているのがいけないのかな・・・)

回答よろしくお願いします.

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/01(Fri) 00:10)

appleさん,初めまして.

前期量子論の場合では運動量pは演算子でないので,ご提示された,

E=\frac{h^2}{2m\lambda^2}

でも間違えではないと思います.

ただ,電磁気などの波動では,例えば,x軸に進行している波を波数k,振動の角振動数ωで表す;

\psi(x,t)=\mathrm{e}^{kx-\omega t}

と書く事が多いので,波長 \lambda より,

k\lambda = 2\pi

の関係から,波数で表す事が多いとおもいます.従って,

E &= \frac{h^2}{2m \lambda^2 }\\&= \frac{h^2}{2m}\left(\frac{k}{2\pi}\right)^2\\&= \frac{\hbar^2 k^2}{2m}

ここで, \hbar:=\frac{h}{2\pi} で,しばし「エイチ・バー」と読まれます.

私見ですが,分子にくるパラメータの方が,直感的だからだと思います.

Re: 量子力学

apple さんのレス (2008/08/01(Fri) 00:33)

mNejiさん,回答ありがとうございます.

ずっと前から,気になっていることがあるのですが,E=ch/λを式変形しても,上の式になりませんが,どうしてでしょうか?

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/01(Fri) 00:51)

>E=ch/λを式変形しても,

光子の話と混線していませんか?

Re: 量子力学

なんとなく さんのレス (2008/08/01(Fri) 11:50)

横レス失礼します.

mNejiさんが仰っていますが,p=ch/λは光子(電磁波)の波長と運動量の関係式です.ド・ブロイ波長は物質(粒子)の波動性を仮定したものですが,物質とは(静止)質量が0でないという特徴があります.相対論ではエネルギーEは E^2=c^2p^2+m^2c^4 の関係があるため,(光子などの)質量0(の素粒子)ではE=cp=ch/λです. 逆に物質粒子ではm≠0のために,全エネルギーは通常は運動量pに比較して,質量の効果がずば抜けて大きく(言い換えれば速度v<<c),運動エネルギー部分の近似式, E=p^2/2m が使えます. もし,答えが間違いであるというなら,運動量の(特殊)相対論的な表示 p=vE/c^2 を使えということかも知れませんね.大雑把に言えばvが光速の10%くらいになると,相対論的効果が無視できなくなると思います. 蛇足ですが,電子の速度は容易く,そのくらいになります.

Re: 量子力学

apple さんのレス (2008/08/01(Fri) 22:26)

>>なんとなくさん

回答ありがとうございます. すっきりしました.

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/02(Sat) 00:37)

もう納得された様ですが,光子について少し変形して見ましょう.

E &= \frac{ch}{\lambda}\\&= h\frac{c}{\lambda}\\&= h\frac{1}{T}\\&= h\frac{\omega}{2\pi}\\&= \hbar \omega

光子エネルギーの角振動数表示といった所ですかね.エネルギーが高くなると \omega も大きくなりますね.

Re: 量子力学

yama さんのレス (2008/08/02(Sat) 00:56)

横から失礼します. エネルギーと振動数の関係 E=h\nu および運動量と波長の関係 p=h/\lambda は,光子についても電子についても共通に成り立ちます. しかし,速度との関係を考える場合は,粒子の速度と波の速度を区別する必要がありますし,波の速度にも2種類あることに注意する必要があります.

上記の関係式を,角振動数 \omega=2\pi\nu と波数 k=2\pi/\lambda を用いて表すと次のようになります.

E=\hbar\omega,\quad p=\hbar k

波面の移動速度を位相速度といい, v_p=\omega/k=E/p です. 波束の移動速度を群速度といい, v_g=\frac{\partial\omega}{\partial k}=\frac{\partial E}{\partial p} です.

光の場合は E=cp なので v_p=v_g=c となり,位相速度と群速度が一致します.

電子の場合は E=p^2/2m なので

v_p=\frac{p}{2m}=\frac{v}{2},\quad v_g=\frac{p}{m}=v

となります, すなわち電子波の群速度は粒子の速度に一致しますが,位相速度は粒子の速度の半分になるわけです.

光について成り立つ関係式 E=\frac{ch}{\lambda} に相当する式は,電子の場合は E=\frac{v_ph}{\lambda}=\frac{vh}{2\lambda} になります.

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/02(Sat) 09:50)

yamaさん,

>すなわち電子波の群速度は粒子の速度に一致しますが,位相速度は粒子の速度の半分になるわけです.

「群速度は位相速度よりも常に低い」とばかり思っていました.この問題に触れている本をご存知でしたら,お教え下さいませんか?

Re: 量子力学

yama さんのレス (2008/08/02(Sat) 20:36)

砂川重信「量子力学」に簡単な説明があります.

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/02(Sat) 21:15)

>砂川重信「量子力学」に簡単な説明があります.

理論電磁気は丁寧に勉強しので,電磁気の発想で量子力学を眺めていました.当時,量子力学は出版されていなかったと思います.もし出ていたら,もう少し量子力学が判っただろうと思います.

絶版の上に,中古も無い様です.区や都の図書館を探して見ます.

ご教示,有り難うございました.

Re: 量子力学

mNeji さんのレス (2008/08/03(Sun) 11:52)

>>砂川重信「量子力学」

が直ぐに見る事が出来ないので,インターネットで検索して見たところ,下記の資料が見つかりました;

・物体の速度と物質波の速度

丁寧な解説と思います.ご参考まで.

頭の固い自分には,まだ納得しがたい点もありますが....