大学院試験の過去問題です. 今回は分からなかった部分があるわけではないのですが,自信がないので,添削をお願いできますか?
N個のイジングスピンからなる系を考える.スピンiとスピンjの間の相互作用を としたとき,ハミルトニアンは である.磁化を と定義する. 1,mが与えられたとして,1スピンあたりのエネルギーを求めよ. 2,1スピンあたりのエントロピーを求めよ. 3,自由エネルギーを最小にするmの方程式を求めよ. というものです.
最初,問題文が把握できなくて面食らっていたのですが 定義された磁化mというのは,N個のスピンを平均したもの(係数を考えずに無次元化した平均磁化),という解釈で合っていますか? それで進めていくと 状態数は また,全スピンの和は だから mを使って状態数を表すと, となって エントロピーはスターリングの公式を使い より となりました. として,グラフを書くと, で相転移すると思います.
これは平均場近似の問題だと思うのですが,問題集などで類題をみると近接点の数zというのが与えられています. この問題には与えられていませんが,何次元の問題なのでしょうか?数式を計算していくうちに問題は解けましたが,いまいちイメージできないです.
追記 ウィキペディアで調べたところ,磁性相転移温度は となるようなので,今の場合はz=1? 隣接点の数が1というのはおかしいですね・・・.
>ウィキペディアで調べたところ,磁性相転移温度はとなるようなので,今の場合はz=1?
結合定数に1/2を付けたり,付けなかったりするのでまずはそこを確認してみて下さい.
ご指摘のとおり,ウィキぺディアの場合は結合定数をJで定義していました. 今はJ→J/2ですから,z=2ということになりますね. つまり,一次元の問題ということでしょうか?
1次元イジングモデルでは相転移しないといわれています. どこかに間違いがないでしょうか.
>つまり,一次元の問題ということでしょうか?
その通りです.
>1次元イジングモデルでは相転移しないといわれています.
厳密にはそうですが, 平均場近似では相転移が生じます.
ありがとうございます. スピンが一直線に並んでいて,隣同士だけ相互作用しあうという感じですね. 計算の途中過程に変なところはないでしょうか?たぶん,答えに行き着いたので大丈夫だと思いますが.
ところで,私は「統計力学の解法=分配関数」と思っていたのですが,この自由エネルギーを最小にする,というのもメジャーな方法なのでしょうか? この問題を分配関数で解いてみました.
一スピンあたりの分配関数は となり 平均磁化mは
出てきた方程式は一致しましたが,mはもう分かってるのに,またmを計算するみたいで,少し違和感があります. それと,状態数のことを考えずに1スピンだけの分配関数から求められたところも,正しい議論なのか?と少し違和感を感じます.どうでしょうか?
>統計力学の解法=分配関数
分配関数が分かれば熱力学量(静的な量)が計算できます.
>自由エネルギーを最小
一般に,自由エネルギーが最小になる状態が実現されます. この条件をあらわに使う手法も幾つかあります.(変分法)
今の,平均場近似の場合には, 磁性のある解と非磁性解の二つがあったと思いますが, どちらが実現するかというのを判断するのに 自由エネルギーを考察したわけです.
>出てきた方程式は一致しましたが,mはもう分かってるのに,またmを計算するみたいで,少し違和感があります. >それと,状態数のことを考えずに1スピンだけの分配関数から求められたところも,正しい議論なのか?と少し違和感を感じます.どうでしょうか?
この辺が平均場近似のうまいところなわけです.