現在大学では物理系の学部に所属している1回生です. ヤング率についてネット,教科書を用いてレポートを作っていたのですがわからない部分があります.弾性限界をあるモデルを用いることによって説明しようとしました.そのモデルというのは外力を加えることによって伸ばしたい物体の構成原子を球として考え,原子間力を弾性力として考えて球と球をバネえ連結したモデルで考えたのですが,これでは一定以上の力を加えても弾性限界など関係なく力を加える前の状態に戻れてしまうように思えます.この考えは間違っているのでしょうか?それとも考えるモデルを変えなくてはならないのでしょうか?よろしくお願いします.
弾性限界内ではばねで連結されたモデルもありえるでしょう. しかし,その限界を考えるモデルなら不適です. 分子原子の結合力については物質の種類によりさまざまなモデルがあるようです. たとえばファンデルワールス力などは分子間の力の大きさが距離の関数で表されています.
ありがとうございます.といことは分子レベルで力が加えられた物体を見るとある分子がその物体に働く外力のベクトル方向に動き,その先にある分子に近づき,その分子との分子間力が大きくなる.一方でその逆に離れていく分子もあり,その離れていく分子との分子間力に比べると近づいたときの分子間力の方が大きくなりすぎる時小さい分子間力は無視できる程度になり,元の平衡状態には戻らないという解釈でいいのでしょうか?
専門外のことを無責任に書くのもよくないので,修正します. chipさんの解釈だとつぎのようなモデルと対応するのでしょうか. 弾性限界を超えるまで力が加わると,ある分子が引っ張られて,伸びきったばねが切れてしまい,切れた分子との間隔は開きっぱなしになり,もとには戻らない. こういうモデルは現象の一面を表現していると思いますが,実態とは異なるものと思います.
ヤング率は弾性定数の1つですから バネの弾性定数kと同じようなものです. 応力T=F/Sと伸び率ε=ΔL/Lの間の関係です. E=T/ε=(F/ΔL)(L/S)=k(L/S)
試料のサイズを意識した弾性定数だということではないでしょうか. ヤング率は主に金属材料に対して使われる量です.変形が起こりにくいですから大きな力が必要です.ヤング率の値は非常に大きいです.Alで7×10^10Paです.
ミクロなばねを使ってヤング率を表すというのはこのサイズについての部分の読み替えを示すためのものでしょう.弾性限界を表すというのは又別のことだと思います.
1次元の鎖で原子がフックの法則に従うバネで繋がっている時に全体の変形もフックの法則に従うというのは簡単に導くことが出来るものです.ミクロなバネの性質がマクロな弾性的な性質に直接反映します.マクロな弾性限界を表現したいのであればミクロなバネの弾性限界を考慮する必要があります.こういう鎖を平行に並べたものの性質は一本の時の性質と同じです.ヤング率では単位面積あたりの力(応力)を考えますがこの場合,面積に特別な意味はありません. 1方向に伸びるとそれに垂直な方向に縮むというポアソン比を導きたいのであれば1次元の鎖ではダメです.隣の鎖との間に引力が働かないとだめです.バネがどういう風についていればこういう変形がでてくるかは考えてみてください.
バネがはしごの形で配置されている場合ははしごの方向に一様に伸びたとしても垂直な方向で変形は起こりませんね.
マクロな弾性限界を表現したいのであればミクロなバネにも弾性限界をつける必要があります.ミクロなバネの持っていない性質はマクロにも出てこないはずです.
平衡の位置からの微小なずれがxのとき,ずれに比例した復元力−kxが働くというのは平衡位置でのポテンシャルの形がxの2乗で表されるということです.普通のポテンシャルはたいていこの形です.ポテンシャルを表す図形が放物線になっているということです.別にバネで置き換えるのがおかしいわけではありません.
>外力のベクトル方向に動き,その先にある分子に近づき,その分子との分子間力が大きくなる.一方でその逆に離れていく分子もあり,その離れていく分子との分子間力に比べると近づいたときの分子間力の方が大きくなりすぎる時小さい分子間力は無視できる程度になり,元の平衡状態には戻らないという解釈でいいのでしょうか?
外力を加えて変形させる(伸ばす)のですから原子の間隔は一様に大きくなります.ある原子から離れると別の原子に近づくという性質の変位は起こらないと思います.ポテンシャルの谷間にいる状態から出発しています.分子間距離が小さくなると引力が強くなるということは起こりません.力を加える前の状態に対するイメージが妥当なものになっていないと思います.
弾性定数は静力学的なものです.同じバネで考える限り各バネで起こることは同じです.あるひとつのところで切れるということを実現したいのであればバネに違いを入れる必要があります. 同じばねを使っていながらあるバネが切れるというモデルは成り立ちません.
同じバネで繋がったモデルでどれだけのことが言えるかを明らかにした後,どういう性質を追加すればいいのかを考えていくことになるでしょう.