数研出版の教科書の問題なのですが,
正に帯電している箔検電器がある.金属円板をA,箔をBとする. (1) 絶縁棒をつけた帯電していない金属板CをAに近づけると,箔の開きはどうなるか. (2) (1)の状態で,A,C間の距離を一定に保ったまま,Cに導線をつないで接地する. 箔の開きはどうなるか. (3) (2)の状態のとき,A,B,Cの電位をそれぞれVa,Vb,Vcとするとき,これらの電位の大小関係はどうなるか.
(1)は物理?の範囲なので分かったのですが,(2)からが問題で... 授業で接地の説明をしっかりしてもらえず,分かりません Cが接地されることにより,電位が0VになるとAの電位は小さくなるのですか? また,参考書などを3冊読んだのですがそんな事まで書いてなく,なぜなのかが分かりません>< すみませんが教えて頂けないでしょうか
(1)がわかったとのことですが,解説していただけるといいと思います. 詳しく他人に説明することで,理解が深まります.ひょっとして,間違っているかも知れません. (2)の接地はCをきわめて大きな導体にすることと同じと考えればどうでしょうか.
もっさんさん,初めまして.
(1) AとBとは電気的に同一,はっきり言えば同電位ですね.全体に正の電荷が過剰にあり,尖った部分により多くの電荷が分布していると思います.そこで,Aの上方からCを近づけたとしますと,CのAに近い部分には負の電荷が静電誘導され,逆の部分には正の電荷が生じると思います.
#ある金属に静電誘導が生じるとき,正の電荷と負の電荷は絶対値が同じです. #また,静電誘導された正の電荷と負の電荷とは相互の静電引力がすこしでも少なくなるように分布すると考えられます.
(2) 接地するという事は,巨大な金属に電気的に接続するとイメージしていいのですから,(1)でCの逆部分に誘導された正の電荷が,接地先にいってしまいます.逆に言えば,CのAに近い部分に静電誘導された負の電荷はさらに強く負になると思います.
(3) Cの電位は,接地先の電位と同一になります.ここから正の電荷を持つ検電器は正の電位を持つでしょう.検電器のAとBは,箔の運動が起こらない限り電荷の移動はおこらないので同一の電位になると思います.従って, Va = Vb > Vc.
スチームさん,
昨晩は,天候不順で朦朧として書いたので,競合していたのに気づきませんでした.ご趣旨に反してご免なさい.
ただ,私も高校生のころには,静電誘導の説明が納得しがたくて悩んだ一人です.その最初の第一歩は,出来るだけ丁寧にするべきだと思っているので,こちらの掲示版の思想と反する様ですが,細かく書かせて頂いきました.
いまでも,静電誘導は苦手ですの,おかしな所等があれば,お教え下さい.
mNejiさん. 気遣いありがとうございます.しかし,あまり四角四面に考えるのも変です. 自由さも若さの特権ですし,また,必要ですから.
スチームさん mNejiさん ありがとうございました. 恥ずかしいことに接地したらCの電荷が全部奪われるのかな? なんて思っていました...
(1)ですが, 静電誘導が起こり,CではAに近い側に自由電子が移動するため AからBに自由電子が移動し,Bの正の電荷は小さくなるので 箔の開きも小さくなる
と考えました.
また,接地したCの負の電荷が強くなり そのためAがBから正の電荷を奪う と考えました.
私考え方だとAB間で電荷の移動が... ということは(1)も間違いですかね?
もっさんさん,
>(1)ですが, >静電誘導が起こり,CではAに近い側に自由電子が移動するため >AからBに自由電子が移動し,Bの正の電荷は小さくなるので >箔の開きも小さくなる
あ,そうですね.書いた積もりでした.
#因に,自分の場合,陽電荷と陰電荷見たいに感じる様にしています.
高校生の時には,「なんでこんな複雑な電荷バランスが一瞬に成立するのか」が奇妙に感じました.全体的に電荷の中性条件を満たす中で,電荷の再配列が非常に短い時間でおこるのでしょうね.
>また,接地したCの負の電荷が強くなり >そのためAがBから正の電荷を奪う >と考えました.
接地するというのは,Cが巨大になったとしても同じ事ですね.定性的には,接地すると静電誘導が強まると考えて良いのだと思います.
正解だと思います.
>また,接地したCの負の電荷が強くなり
ここに一言せつめいがあれば,言うことなしです.接地によってCに誘起されたAから遠い側の正電荷がCから遠ざけられ,BからAへの正電荷の移動を促す.
始めの説明で(1)が中途半端に終わっていたので,もう少し丁寧にしてみます.
(1) 金属同士の静電誘導では,少なくとも一つの金属に真電荷があれば,他の金属は真電荷=ゼロ,すなわち電気的に中性でも良い事に注意しましょう.また静電誘導は,それぞれの金属のどこの表面にも起こる訳ですが,尖った所,若しくは,それに近い所に誘導電荷が現れます.
検電器の一部の「A」と「B」とは時間的な変動でもない限り,同じ電位を持ちます.もし,電位が異なるとすると両者の間に電流が流れるからです.ここで「電位が同じでも,電荷の分布が均一であることでは無い」ことに注意しましょう.大雑把に言えば「尖った部分により多くの電荷が分布している」と思います.
#勿論,形状がすべて対称的な金属物体;同心円同士,平行な平面同士などでは,電荷分布は一定で,時間変化がなければ,至る所で電位は一定ですね.
さて,問題によると,全体に正の電荷が過剰にある訳です.「尖った部分」とは,検電器の「Aの縁」とか「Bの箔のエッジ」とかです.そこでこの状況での主要部分を考えます;
これらの誘導電荷は,始めにある真電荷+Q(all)から連鎖的に静電誘導がおこり,最終的にバランスすると思われます.以下に,a),c),d)の関係を考えます; [0]Cが十分に離れていた時のa)での真電荷+Qa,b)での真電荷+Qbとし,それに誘導電荷が加わった値を実電荷+qa=+Qa+δQとする.従って,始めは実電荷+qa=真電荷+Qa. [1]実電荷+qaに対応して,c)に誘導電荷-δQc(1)が生じ,その結果,d)に誘導電荷+δQc(1)が生じる. [2]a)には,「c)での誘導電荷-δQc(1)」と「d)での誘導電荷+δQc(1)」による誘導電荷-δQ(1)とが誘導される.c)の効果の方が大きいので,符号は正である. +δQ(1)=+δQc(1)]c -δQc(1)]d >0 +qa = +Qa +δQ(1) あとは,[1],[2]のステップを繰り返すことで,最終的な静電誘導値に収束する(筈だ).
従って,この最終的な電荷分布では,BからAに正の電荷が移動し,Bの電荷が減少します.Bの二つの箔での電荷も減少し,相互のクーロン電荷による反発も減少し,箔の開きは減少すると思います.
#「静電誘導が連続的に」起こるというのは,等比級数の和が一定値に慚近するようにイメージすると良いかもしれません.