力の定義とは

力の定義とは

DIO さんの書込 (2008/06/30(Mon) 23:36)

力の定義とはどのようなものなのでしょうか??

手持ちの辞書では“速度を変化させる原因を力と呼ぶ”などと書かれていました.この表現は運動方程式をぼかしたようなものだと感じられます.

では運動方程式 \bm{F}=m\bm{a} が力の定義なのでしょうか.

しかし,私の持っているテキストはどれも運動方程式を定義ではなく“原理”として扱ってあります. 私も,力と加速度の因果関係を表す運動方程式を力の定義と見なすのはいささか変な感じがします.

基本的な事ですいませんがよろしくお願いします.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/01(Tue) 02:01)

>では運動方程式 \bm{F}=m\bm{a} が力の定義なのでしょうか.

難しい事を無視すると,「ある慣性系からみて」,ある物体の加速度α(速度の時間変化率)は,その物体に加わる力Fに比例する.その時の比例係数を質量mとする;

mα = F.

これを,この物体の運動方程式と呼ぶ.

とドライに考えて,それ以上の追求を諦めています(笑).

ただ若い時には「数学的原理と物理的原理」とは関係がないと思っていました.歳を取るに連れて「数学的原理と物理的原理」には同一のバックボーンが有る様な気がして来ていますが....

Re: 力の定義とは

DIO さんのレス (2008/07/01(Tue) 08:41)

>mNejiさん

返信有り難うございます.

>難しい事を無視すると,「ある慣性系からみて」,ある物体の加速度α(速度の時間変化率)は,その物体に加わる力Fに比例する.その時の比例係数を質量mとする;

私も運動方程式はこのように理解していますが,これが力の定義なのでしょうか?? 加速度に比例するように力を定めたということでしょうか.

>ただ若い時には「数学的原理と物理的原理」とは関係がないと思っていました.歳を取るに連れて「数学的原理と物理的原理」には同一のバックボーンが有る様な気がして来ていますが....

数学的原理とはどういったものでしょう??私は全部“原理”とひとくくりにしていましたが,,

Re: 力の定義とは

ミュフ猫 さんのレス (2008/07/01(Tue) 09:55)

こんにちは.

こういう考え方はできないのでしょうか?

「mα = G・M'm'/r^2は慣性質量と重力質量の定義式(関係式)」

「mα = q(E + v×B) は慣性質量と電荷量の定義式(関係式)」 (∵電場も磁束密度も,結局,電荷量と位置と速度と加速度で表せるから)

「m = m' は慣性質量と重力質量の原理式」

無茶苦茶ですかね.w

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/01(Tue) 10:08)

>加速度に比例するように力を定めたということでしょうか.

私はそう思います.その例としては,「バネ計り」をいつもイメージしています.

>>「ある慣性系からみて」

そして,「バネ計り」と「「ある慣性系からみて」とを問題を解く時に確認しています.でも,一度運動方程式が組み立てれば,適当な非慣性系への変換は,単なる数学的手法と考えています.例えどんな,見かけの力が出て来ても,計算ミス以外は,素直に受け入れる立場です.

>数学的原理とはどういったものでしょう??私は全部“原理”とひとくくりにしていましたが,,

例えば,素粒子物理学では,地球規模の加速器が出来ない現状では,もはや人類が実験できるエネルギの限界に到達しそうですね.他方,宇宙物理学に於いても,計測出来るエネルギ上限が朧げにも見えて来ていると思います.ということは,「物理」はその是非を「自然」に対して問う事が出来た筈なのに,もはやそのチェックを期待出来ないという段階に達しつつあるのではないでしょうか.

他方,数学は幾何学のように,日常生活に欠かせない幾何学的観察から始まって,ユークリッド幾何学の形に抽象化され,非ユークリッド幾何学などへと伸展しました.その間,一般相対性理論とかとの接点が有りましたが,数学的構造を物理学が検証するような事は無い様に思います.そう言う意味で,数学の基盤と物理の基盤とは異なるものだ,と言うのが自分の若いころの見解でした.

でも,最近になって来ると,「数学の基盤」もある意味,生命体としての人類の思考結果として生まれたもので,「物理の基盤」とも実は同一ではなかろうかと....こういう事を臆面も無くいうのは,惚けて来た証拠かもしれません.

Re: 力の定義とは

DIO さんのレス (2008/07/01(Tue) 10:54)

>ミュフ猫さん

&F_1 = \frac{GMm}{r^2} \\&F_2 = q(E + v\times B)

をそれぞれ力と定義してこれら F_1,F_2 は互いに運動方程式を満たす.ということでしょうか?? 私は電場・磁場の定義をこの第二式で考えていたので,これだと電場・磁場の定義が別に必要になってくるように思われます.

>mNejiさん なるほど,では運動方程式は原理でもあり定義でもあるといったところでしょうか.

私は数学は定義のみから演繹的に進めてゆくものだと思っています 故に,数学の基盤は定義のみで,原理(何からも導かれない基本法則)は存在しないと思います.

Re: 力の定義とは

ミュフ猫 さんのレス (2008/07/01(Tue) 11:17)

>数学の基盤は定義のみで,原理(何からも導かれない基本法則)は >存在しないと思います.

数学には物理学の原理に相当する「公理」というものがあるのでは? 例えば,「平行な二直線は交わらない」とか.

Re: 力の定義とは

DIO さんのレス (2008/07/01(Tue) 11:34)

公理は仮定ですので定義とはニュアンスが異なると思いますが,原理とは違うと思います.

でも“数学の基盤は定義のみで ”はまずかったですね.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/01(Tue) 12:44)

>私は数学は定義のみから演繹的に進めてゆくものだと思っています >故に,数学の基盤は定義のみで,原理(何からも導かれない基本法則)は存在しないと思います.

私は数学が苦手なので,おかしな事を言う様ですが,数学の本体部分は「定義」という様な部分に到達する所にあると思います.物理だと自然の振る舞いの観察に根ざして次の手を考えるところが,数学では「ぽっと定義」が生まれるような感じをうけるのです.

なお私は「定義」や「原理」などの用語の詳しい違いを知りませんので,正確な論議は出来ませんので,ご容赦ください.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/01(Tue) 23:21)

ミュフ猫さん,

>「mα = G・M'm'/r^2は慣性質量と重力質量の定義式(関係式)」 > >「mα = q(E + v×B) は慣性質量と電荷量の定義式(関係式)」 >(∵電場も磁束密度も,結局,電荷量と位置と速度と加速度で表せるから) > >「m = m' は慣性質量と重力質量の原理式」

私の感触では,この分析は力の具体的な例を示すものですよね.運動方程式に於ける力というのは,「ただ単に,加速度を生じさせるもの」のそれ以上も,それ以下も無い様な気がしてなりません.

むしろ『どんな力が加わっても,加速度が如何に変化しても比例係数「m」は変化しないのだ!』と言い切ってしまうのが凄いことではないかと思います.この事は,「慣性質量と重力質量との等価性」の確証と同じくらいに意味のある認識なのだと思っています.

Re: 力の定義とは

ミュフ猫 さんのレス (2008/07/02(Wed) 00:14)

>『どんな力が加わっても,加速度が如何に変化しても比例係数「m」は > 変化しないのだ!』

いや,厳密には,

d(mv)/dt = F

ですから,そうとばかりは言えないかと・・・. また,右辺のFはニュートンの時代では近接作用による力のことでしょうか? ならば,主に電磁気力のことかも・・・. バネやら衝突やら,広い意味で電磁気力と見なせるのではないでしょうか?

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/02(Wed) 03:51)

>いや,厳密には, > >d(mv)/dt = F > >ですから,そうとばかりは言えないかと・・・.

今,論じているのはニュートンの時代に視点をずらしています.運動量がより本質的な物理量と認識できるというのは,どれほど古くから知られているのでしょうかね.

>また,右辺のFはニュートンの時代では近接作用による力のことでしょうか? >ならば,主に電磁気力のことかも・・・.

以前,「木星のイオの回転周期」についての論議の時に検索をした事があります.ガリレオ・ガリレイさんが木星とその衛星群をみて,地動説を確信したのではなかろうかという説を拝見した様に思います.

反射型の望遠鏡を創られたニュートンさんが木星モデルを視野に入れていたのは明らかだと思います.従って,当時の時代背景は「遠隔作用」に近かったのでは?それも,クーロン・力というよりは万有引力としての重力をイメージしていたのではないでしょうか.

>バネやら衝突やら,広い意味で電磁気力と見なせるのではないでしょうか?

私は,分子間引力などがどのような由来になっているのか知りません.でも,多くの現象の背後に電磁気力があるのは確かだと思います.とはいっても,ニュートンの時代では,そこまで「力の分類学」が進んではなかったろうと思います.

逆に「mα=F」と考えて,「力F」という概念を用意したからこそ,「リンゴの落下」と「木星のイオの落下」と「地球の月の落下」と「太陽の地球の落下」...と「ニュートン流体の板への衝突での抗力と揚力」とかを,一元的に論じる事が出来たのだろうと思います.

Re: 力の定義とは

yama さんのレス (2008/07/02(Wed) 12:09)

ニュートンは,運動量を重視していたと思います. 著書のプリンキピアでは,第2法則を表すのに「加速度」という語は用いず,「運動量」を用いています. つまり,ニュートンは運動量を変化させるのが力のはたらきだと考えていたのでしょう.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/02(Wed) 12:23)

yamaさん,

>著書のプリンキピアでは,第2法則を表すのに「加速度」という語は用いず,「運動量」を用いています. >つまり,ニュートンは運動量を変化させるのが力のはたらきだと考えていたのでしょう.

とすると,運動量を質量と速度に分解するのはどのような展開になるのでしょうか?

Re: 力の定義とは

yama さんのレス (2008/07/02(Wed) 12:37)

運動量を質量と速度に分解するのではなく,質量と速度の積として運動量を前もって定義しています.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/02(Wed) 13:04)

>運動量を質量と速度に分解するのではなく,質量と速度の積として運動量を前もって定義しています.

そうでしたか.最近は,微分をなるべく表にして論議しないようにする為に「加速度」を全面的に使う様にしていて....確かに,安定した動力の無い時代に,動きを考えるのには「速度」が真っ先にきて,「加速度」は「速度の時間変化」という抽象的な量で在った訳ですね.

逆に言えば,現代の高校生さんに「微分なしに力学を説明」するのは,やはり不自然と言う事になるのでしょうかね.

#学生のころ「プリンキピア」のリプリントを入手したものの,英語がチンプンカンプンで投げ出しました.不勉強の祟りがこんな所で出て来るとは.

追伸:興味深いサイトを拝見しました;

・ニュートン力学の形成とプリンキピア

Re: 力の定義とは

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/07/02(Wed) 13:19)

ということは,こういう論旨でしょうか 「 『運動量』というものが存在する. (運動量は『位置』と何らかの関係があり,並進対称な系では保存する.) 運動量の時間変化を起こす作用を『力』と呼ぶ. (力は運動量の輸送作用のことである.) (ガリレイフレームでは運動量は位置の時間変化=速度と比例していると観測されているので,)運動量と速度の比例定数を『質量』とよぶ. 」

これでは質量は第2義的なものになっていますが,ここで現れなかった「エネルギー」を考察する事で(上位に)定義されるのかも.

また,運動の変化を引き起こす作用(全運動量保存則を考慮して,運動量の輸送作用)を力と定義しましたが,物体の変形や破壊を生む「力」との関係,あるいは静的なポテンシャルによる「力」との関係は触れていません.

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/03(Thu) 00:33)

大昔に「プリンキピア」のリプリント,たしかDover版で,A4より小さく,結構厚手で,灰色ぽいの本だったと思いますが....もしご存知でしたら情報を頂けませんか?

今頃気づいたのですが,原著は英語でなくてラテン語なのでしょうか.もし入手出来る英語版のうち,翻訳が良くて,活字も小さくないのが嬉しいです.

Re: 力の定義とは

yama さんのレス (2008/07/03(Thu) 01:20)

検索すると次のような英語版があるようです. 中身の違いはよく分かりませんが,最初のはかなり古い訳のようです. 2番目は新しい訳で,解説も詳しいようです. 3番目は,ページ数が少ないようなので,もしかすると抄訳かもしれません. ttp://www.amazon.co.jp/dp/0879759801 ttp://www.amazon.co.jp/dp/0520088174 htp://www.amazon.co.jp/dp/0548627630

Re: 力の定義とは

mNeji さんのレス (2008/07/03(Thu) 12:52)

>2番目は新しい訳で,解説も詳しいようです.

流体力学の元祖さんでもある訳ですし,微積分の元祖さんとして,幾何学表現にも工夫をされた訳ですから,近年の「解説」も含めて勉強してみようかと思います.ご教示感謝します.

#ただ,文学系は古典文学をネット上に公開する仕組みがあったと思いますが,物理でも古典物理の名著について何らかの仕組みがあっても善い様な気がしてきました.

Re: 力の定義とは

DIO さんのレス (2008/07/03(Thu) 18:57)

質問者なのにROMしててすいません.

でも,お陰で力の定義だけでなくいろいろと理解が深まりました.

プリンキピアですが,Googleで書籍検索してみるといくつかヒットしました. ttp://books.google.co.jp/books?id=fNg2AAAAMAAJ&printsec=frontcover&dq=Principia&as_brr=3

また,yamaさんご紹介の二番目のものは ttp://www.amazon.com/Principia-Mathematical-Principles-Natural-Philosophy/dp/0520088174/ で少しですが中身を見られます.