「交換子群の記事」について

「交換子群の記事」について

pono さんの書込 (2008/05/26(Mon) 13:09)

初めて投稿します.よろしくお願いします.

こちら(物理のかぎしっぽ)の「交換子群の記事」についてなのですが,

最初に「交換子群が群になること」を示しているのですが, 群の定義「演算について閉じている」を示す時に 演算として「交換子を取る操作」としています.

そして結合則が成り立つのは明らかとしていますが,

演算として「交換子を取る操作」とした時には 群の定義の結合則は (a*b)*c={aba(-1)b(-1)}*c=aba(-1)b(-1)cbab(-1)a(-1)c(-1) a*(b*c)=a*{bcb(-1)c(-1)}=abcb(-1)c(-1)a(-1)cbc(-1)b(-1) なり,成り立たないと思うのですが,どうでしょうか?

Re: 「交換子群の記事」について

スチーム さんのレス (2008/05/27(Tue) 00:30)

数学には素人なので,ちょうど私も同様の疑問をもったのですが, 交換子群が部分群になるのですから,演算はもとの群で定義されたものと同じではないでしょうか. そうすると,結合法則は自然と成り立ちます. この解釈でいいのでしょうか. 数学に詳しい方のコメントよろしくお願いします.

Re: 「交換子群の記事」について

mNeji さんのレス (2008/05/27(Tue) 14:04)

皆さん,こんにちは.少し,インチキな感じで考えて見ましたので,途中まで書いてみます.

交換子の逆元があれば,

\left( x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) \left( x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) ^{-1} = e

を満たす筈です.

そこで両辺の左から, x^{-1}y^{-1}xy ,を順番に掛けて整理して行くと,逆元を陽に表す事ができますね.

先ず x^{-1} を左から掛けると

\left(x^{-1} \cdot x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) \left( x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) ^{-1} = x^{-1} \cdot e

整理して,

\left( y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) \left( x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) ^{-1} = x^{-1}

同様にして...

\left( x\cdot y \cdot x^{-1} \cdot y^{-1} \right) ^{-1} = y \cdot x \cdot y^{-1} \cdot x^{-1}

と陽に表示できます.まさに逆元は,各成分を逆に入れ替えられた状態ですね.

以下,省略.

Re: 「交換子群の記事」について

pono さんのレス (2008/05/27(Tue) 17:41)

すみませんが,逆元ではなくて,結合則に関してです. よろしくお願いします.

Re: 「交換子群の記事」について

mNeji さんのレス (2008/05/27(Tue) 18:32)

自分では計算していませんが,この場合の結合則とは

左辺= \left( \alpha\beta\alpha^{-1}\beta^{-1} \right)\gamma \left( \alpha\beta\alpha^{-1}\beta^{-1} \right)^{-1}\gamma^{-1}

右辺= \alpha \left( \beta\gamma\beta^{-1}\gamma^{-1} \right)\alpha^{-1} \left( \beta\gamma\beta^{-1}\gamma^{-1} \right)^{-1}

との等号関係を示すものではないでしょうか?間違っているかも知れませんが....

Re: 「交換子群の記事」について

pono さんのレス (2008/05/28(Wed) 18:35)

>との等号関係を示すものではないでしょうか?

そうだと思うのですが,αとγの数が違うので, 「左辺=右辺」は成り立たないと思うのですが.

Re: 「交換子群の記事」について

mNeji さんのレス (2008/05/28(Wed) 19:16)

>そうだと思うのですが,αとγの数が違うので,

そうですよね.でも恒等式;

\alpha\alpha^{-1}=e

見たいな関係を考慮すると,要素の数にはあまり拘らなくても善いのかなとかんじるのですが.

Re: 「交換子群の記事」について

スチーム さんのレス (2008/05/29(Thu) 09:00)

ponpさんもmNejiさんも計算に間違いはないとおもいます. 問題の原因は以下のところにあるのではと感じました.

本文中の, >また,G の元の積に関して結合則はなりたつはずなので,D(G)の元の交換子積でも結合則がなりたつことは明らかです.

ここは交換子積ではなく, 「もとの群で定義されたもの」とすべきではないでしょうか. 交換子積の操作は群の生成にのみ用いられるべきと思います.

Re: 「交換子群の記事」について

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/05/29(Thu) 13:33)

(部分群の演算は) > 「もとの群で定義されたもの」とすべきではないでしょうか. > 交換子積の操作は群の生成にのみ用いられるべきと思います.

私も賛成です.しかし,部分群であるためには演算で閉じていないといけないわけで,それを私は

\forall ~ a,b,c,d \in G,~\exists~ X,Y \in G\text{ s.t. } [a,b][c,d]=[X,Y]

と理解しているのですが,一般的に示せません.なにかまちがっているのでしょうか?

それともこれは個々の具体的な問題で示すまで先送りにし,ひとまず,閉じていると仮定して話を進めているのでしょうか?

Re: 「交換子群の記事」について

pono さんのレス (2008/05/29(Thu) 20:07)

私もその後調べまして

交換子群の定義は「群Gにおける全ての交換子によって『生成される』Gの部分群」 と定義されています. ここで『生成される』の定義を考えると,

例えばa,b,c,c∈Gにおいて aba^(-1)b^(-1) cdc^(-1)d^(-1)はそれぞれ交換子です.

そして群の定義よりこの2つを演算した 「aba^(-1)b^(-1)cdc^(-1)d^(-1)」も交換子群の元になります.

つまり 交換子は交換子群の元ですが, 交換子群の元は交換子のみではないということだと理解しました.

まだ勉強中ですので間違えている可能性もあります.

Re: 「交換子群の記事」について

mNeji さんのレス (2008/05/30(Fri) 02:40)

前回のケースは成り立ちませんでした.さらに次の拡大解釈をしてみましたが駄目でした.

(u*v) := uvu^{-1}v^{-1} として

\left\{ (u*v)*(w*x) \right\}*(y*z) (u*v)*\left\{ (w*x)*(y*z) \right\} とが等しいと予測しましたが,成立しませんでした.

〜〜〜〜 何度か手計算を書いているうちに逆操作,「^(-1)」が間違いやすいので, (u*v) := uv\bar u \bar v とすると,比較的エラーが低減できました.と同時に交換関係の無い,複素数表現にも見えそうで....

Re: 「交換子群の記事」について

通りすがり さんのレス (2008/06/02(Mon) 08:28)

>交換子群の元は交換子のみではないということだと理解しました.

この解釈であってるようだ. 私も読んでいて戸惑ったのだけど,「交換子群がたしかに群になること」の説明として >交換子を取る操作に対して,交換子群は閉じています ってのがあるのが変なんだと思う. この説明だと,交換子群の演算が「交換子を取る操作」であるかのように見えてしまう. これは交換子群の性質であって,「交換子群がたしかに群になること」の理由ではない.

なお,交換子群がたしかに群になるのは,交換子を生成元として生成された群なんだから,単に当たり前の話である.

Re: 「交換子群の記事」について

toorisugari no Hiro さんのレス (2008/06/03(Tue) 11:14)

> なお,交換子群がたしかに群になるのは,交換子を生成元として生成された群なんだから,単に当たり前の話である.

「生成する」って言葉をちゃんとしらべてなかったのが問題でしたね.

「群 \mathrm{G} の空でない部分集合を \mathrm{S}\mathrm{S}^{-1}\equiv\{x^{-1}|x\in\mathrm{S}\} とする. \mathrm{S}\cup\mathrm{S}^{-1} の有限個の元の積として表される \mathrm{G} の部分集合 \mathrm{H}\mathrm{G} の部分群である. \mathrm{H}\mathrm{S} によって生成される部分群, \mathrm{S}\mathrm{H} の生成系,という.」

ですね.

[a,b]=aba^{-1}b^{-1} とすれば, [a,b]^{-1}=[b,a] なので, [\mathrm{G},\mathrm{G}]=\{[x,y]|x,y\in\mathrm{G}\} とすれば [\mathrm{G},\mathrm{G}]=[\mathrm{G},\mathrm{G}]^{-1}

よって, D(\mathrm{G}) とは [\mathrm{G},\mathrm{G}] の有限個の元の積として表される \mathrm{G} の部分集合,すなわち, e(=[a,a]),\,[a,b],\,..,\,[a_1,b_1][a_2,b_2]\cdots[a_n,b_n],\,... の全体なんですね.そりゃ,群 \mathrm{G} の演算,積,に関して閉じてること,単位元・逆元の存在,積に関する結合則,全部あたりまえだ.

Re: 「交換子群の記事」について

anon さんのレス (2008/06/05(Thu) 14:17)

ponoさんの最初の疑問に関してです.

No.20103 の通りすがりさんも仰っているように, 「交換子を取る操作に対して,交換子群は閉じている」という説明は, 文脈に合っていませんね.

「交換子を取る操作に対して,交換子群は閉じている」というのは要するに D(D(G)) \subset D(G) ということを云っているのですから, D(G) の演算とは関係ないですよね.

手直ししたほうがよろしいのではないかと思います.