とある掲示板で質問をしていたのですが,書き込めなくなってしまったので こちらで改めて質問させていただきます. もし,そちらの掲示板で答えてくださった方が見ていらしたら,ここでお詫びします. すみません.
質問内容 統計力学の計算においてよく出てくるΣですが,そのままでは計算しづらいので よく(1/h^3)∫dp^3dq^3=(V/h^3)∫dq^3という変換が使われています. これは古典統計のところで習った位相空間を考えていて,式の形も古典統計の式と一致しているので 物理量が連続とみなせるような古典的な範囲に近似している,ということだと思うのですが, 古典統計とみなせないフェルミ分布の計算においても 同じΣから∫への変換が使われているのは何故なのでしょうか?
1個の粒子の量子状態の数と位相空間の体積との対応関係は,フェルミ粒子であるかどうかには関係しません. フェルミ粒子かどうかが関係するのは,各状態に入ることのできる粒子数です.
和を位相空間での積分に変換するというのは 量子気体が古典気体として扱える,ということを利用しているのでは無いのですか?
量子気体を古典気体で近似しているわけではありません. 粗視化したときの1つのグループに属する量子状態の数が,対応する位相空間の体積をh^3で割ったもので近似できるということです. これは1粒子の量子状態についてのことなので,その粒子がフェルミ粒子であるかどうかには関係しません. フェルミ粒子かどうかが関係してくるのは,次の段階で多粒子系を考えるときに各量子状態の占有数を問題にするときです.
もうしわけありませんが, >粗視化したときの1つのグループに属する量子状態の数が,対応する位相空間の >体積をh^3で割ったもので近似できるということです.
この部分を詳しく教えていただけませんか? いまいち,イメージ出来ていないのですが qとpが連続の空間のなかに,(dqdp/h^3)コの状態が入っているということで良いのでしょうか? p(あるいは波数k)は量子力学では飛び飛びの値だが,連続変数として扱えるときに和を積分に変換できる,と本に書いてあったので これは,つまり量子力学を古典力学として近似していると理解していたのですが,それが間違いなのでしょうか?
>qとpが連続の空間のなかに,(dqdp/h^3)コの状態が入っているということで良いのでしょうか?
イメージ的にはそのように考えてもよいと思いますが,正確な意味を理解するには統計力学の教科書をよく読んでください.
>p(あるいは波数k)は量子力学では飛び飛びの値だが,連続変数として扱えるときに和を積分に変換できる,と本に書いてあったので >これは,つまり量子力学を古典力学として近似していると理解していたのですが,それが間違いなのでしょうか?
この場合はそのように考えることもできると思いますが,離散的な量を,数学的に連続量のように取り扱うことは,量子力学を古典力学として近似する場合に限られるわけではありません. たとえば,粒子数は量子論でも古典論でも離散的ですが,粒子数が多いときは連続量のように扱って粒子数の変化をdNで表したり,粒子数密度をn=dN/dVとしたりします.この場合,ある体積に含まれる粒子の質量の和は,粒子の質量に粒子数密度を掛けたものをその体積で積分することによって計算できます,
連続変数で扱えるからといって,必ずしも古典統計になるわけではないということですね. 質問ばかりで申し訳ないのですが, 少し,量子統計と古典統計の定義みたいなのが分からなくて混乱してきました.
教科書によって,進め方みたいなのが違うのですが, 古典統計→分配関数が位相空間での積分 量子統計→分配関数のエネルギーの部分がE_n(飛び飛び,h→0で古典統計に一致) という風に分けられている本と (使っている知識が古典力学か量子力学かという分け方でしょうか?)
古典統計→マクスウェルボルツマン統計 量子統計→フェルミ,ボーズ統計極限ではどちらもマクスウェルボルツマン分布に一致 という風に分けられてる本があります. (考えている気体が古典気体か量子気体かということでしょうか)
どちらが間違いというわけではないと思うのですが たとえば,?e^(-ε_n/kT)という一粒子分配関数を考えると (ε_nはシュレディンガー方程式から求められるエネルギー) 量子力学の知識を使っているので,上の言葉の意味だと量子統計になるのに 下の言葉の意味だと,マクスウェルボルツマン分布なので,古典統計ということになってしまいます.
どうでもいいことかもしれませんが,普通はどちらの意味で 古典統計,量子統計と使うのでしょうか? yamaさんが19971でおっしゃられていたのは,下の意味で考えたとき ?を∫に直そうが,気体自体が古典気体か量子気体かには関係ないということでしょうか.
基本的には,対象となる系が古典力学で記述されるときは古典統計,量子力学で記述されるときは量子統計になると思います. 具体的な特徴として,エネルギーが連続的か離散的かという違いと同種粒子が個々に区別できるかどうかという違いがあるのはご存じだと思います. プランク定数を0に近づけた極限ではエネルギーは連続的と見なせますが,その場合でも必ずしも古典統計になるとはいえません.
?e^(-ε_n/kT)という一粒子分配関数は,量子統計において局所化された系について用いられるものだと思います
返信おそくなり申し訳ありません.
?e^(-ε_n/kT)はやはり,量子統計ですか.量子力学の知識を使っていますしね・・・. しかし,フェルミ気体,ボーズ気体でTが十分大きいときに分配関数はどちらも,?e^(-ε_n/kT)に帰着しますよね? そういう意味で,本には?e^(-ε_n/kT)が古典統計と書いてあるのですが この場合の古典というのは,また別の意味の「古典」なのでしょうか? 本によっては,「縮退していない気体」などと書いてあるものもあります.