相対論について

相対論について

通りすがり さんの書込 (2004/08/22(Sun) 22:54)

皆さん,こんばんは. 私の書き込みが変な人を誘い込んでしまったようなので,この件について スレッドを立てる事にしました. 管理人さん,しばらくの間,掲示板がぐちゃぐちゃしてご迷惑をおかけし ますが,どうぞ御容赦を.

本題の「相対論は間違っている式の主張をする人」ですが,こういう人は 全然珍しくありませんん.各地のインターネット掲示板に出没している様 子を観察すると,日本全国でも20人以上はそういう人がいるようです. インターネットで主張をしない人はその10倍程度はいると思われますの で,ざっと200人程度は『私こそは相対論を覆した!』と思い込んでい る人がいるようです.これは日本だけの話なので,全世界的に考えればそ の約10倍,2000人程度は同類がいると推定されます.外国にも『相 対論のウソ』的なホームページがありますし,書籍もあります.あまりは ずれていない推定だといえるでしょう. これらの人々の平均的な活動時間を10年とすれば,相対論が発表されて から現在に至る約一世紀,全世界で1万人以上の人が『私こそは相対論を 覆した!』と思い込んできたわけです.中には某タ氏のように「ノーベル 賞をもらって1億3千万円取得する」つもりになっている人も多々あった ことでしょう.

しかし100年の間,相対論が覆ることはありませんでした.それはひと えに,理論と実験との一致があったからです.相対論から導かれる数多く の理論的帰結,これが実験と一致するのです.「相対論は間違っている式 の主張をする人」達の理論もどきは,たいていの場合,何の帰結も導けま せんし,導けたとしても理論とは一致しません. 実験と理論の比較,これがいかに大切であるか,強調したいと思います.

さて,問題の某タ氏ですが,このように頭から自分の理論もどきを信じ込 んでいる人と議論をすることは不毛です.このような人たちの思考過程や 議論の不毛さについては,様々な人が述べています.ここでは,私がひそ かに尊敬する「かつさん」のホームページを皆さんにお知らせするにとど めたいと思います.

この方は職業物理学者ではないとのことですが,ホームページに現れてい る物理学に対する造詣の深さ,透徹した物理的思考など,生半可な物理学 者を超えるほどです.

このようなわけで,某タ氏との議論は不毛です.そこで以下では,広い意 味で相対性理論から導かれる理論的帰結と実験との比較について述べたい と思います.いかに相対性理論が様々な実験を経て来て,なおその正当性 に全く揺らぎがないことを感じ取っていただければ良いと思います.

長くなりますので,いくつかに分割しようと思います.

Re: 相対論について

通りすがり さんのレス (2004/08/23(Mon) 00:00)

【光速不変の実験について】 いきなり余談ですが,「光速度が一定」ということから,「光」が特別扱 いされているように不当に感じる人がいるようです(私も昔はそうでした). これは光が特別なのではなく,「c=30万km/s」という特別な速度 があり,光のように質量のない粒子がこの特別な速度で運動するのである, と考えるのがよさそうです.光は物質と相互作用をすると速度が遅くなり ます(だから物質を通過するときに屈折する).しかしcは一定です.で すので,水の中などでは,光より速く運動する粒子が存在し得ます.この 高速粒子が電荷をもっていると,チェレンコフ光という光を出します.ま ことに残念な例ですが,東海村で発生した臨界事故の際に「青い光を見た」 という証言がありましたが,これは目玉の中に飛び込んだ高エネルギー粒 子が発生したチェレンコフ光でした.そのほか,高エネルギー宇宙線が空 気中に飛び込んで発生するチェレンコフ光は,高エネルギー宇宙線の観測 (高エネルギー宇宙物理学)に利用されています.

・マイケルソン・モーリーの実験 さて本題の「光速度が一定」という特殊相対論の前提の一つについてです. これが実験的な事実であるかどうかは,かの有名なマイケルソン・モーリ ーの実験によって検証が始まりました(相対論発表より前の実験ですが). マイケルソン型干渉計と呼ばれる,光を直交する2方向に分けて,また戻 して干渉させるという装置を使います.直行する方向(腕と呼ばれる)の 片方に向かって測定機器の全てが運動している場合に,もし光速度が一定 でなければ(光の速さが装置の運動の早さに加算されるなら),進行方向 の腕から戻ってきた光と,直行方向の腕から戻ってきた光は,到達時間に ずれが生じる,というものです.某タ氏のアニメもこのように考えている ことになります. 実験結果は簡単で,両方の腕から戻ってきた光は同時刻であった,しかも 装置がどのように運動しているかによらない,です.光速は実験精度の範 囲内で,確かに一定である,ということです. ところで,「装置の運動」というくだりで皆さんは,どのように装置を動 かしたのか,と思われたかもしれません.実際はマイケルソン・モーリー は装置は基本的には地面に固定し,腕の向きを変えるという方法を採用し ました.全体の運動には地球の自転と公転を使ったのです.地球は自転し ており,その速度は赤道上で400m/s以上です.地球は太陽に対して 公転しており,その速度は約30km/sです.しかも運動の向きは時々 刻々変化します.装置の運動によって光速が変化するのであれば,2つの 腕から光が戻ってきた時刻は,時々刻々変化するはずです. ついでに,マイケルソン・モーリーの時代には知られていませんでしたが, 太陽系は銀河系の中を約200km/sの速度で回転しています(2億年 で1回転).また,太陽系は宇宙背景放射に対して370km/sの速さ で運動しています.まあこれは,時間的に変動しないので,この論点では あまり意味がありませんが.

ちなみに,某タ氏の間違いは「同時性」を理解していないところにありま す.これは典型的な間違え方です(これを「正しい相対性理論の間違い方」 というそうです).

参考文献:「相対論的物理学のききどころ」和田純夫,岩波書店,p.3 他にも文献は山のようにあります.

・マイケルソン・モーリー以後の実験 約100年前に行われたマイケルソン・モーリーの実験は,間違いだった, という変な主張もあります.しかし現在でも全く同様な実験が毎日行われ ています.それは重力波検出の実験です.重力波を検出するために,超々 々々高精度なマイケルソン型干渉計を構築し,実験が行われています.そ の実験では光速度は一定と仮定され,何ら矛盾のない結果を得ています. 実験の精度から推定すると,光速度は10の−10乗程度の精度で一定で あるといえると思われます(この計算はちょっと不安です.まあ,高精度 であることに変りはないからご容赦を).

国立天文台が推進するTAMA300(300mレーザー干渉計型重力波アンテナ)の ホームページです.

Re: 相対論について

おこめ さんのレス (2004/08/23(Mon) 00:25)

はじめまして,通りすがりさん. 相対論とは少しずれますが,最近量子力学の不確定性原理がある数学者(東北大学,名前わすれました)によって再考察されて,すでに定式化されているようです.ある条件下では不確定性をなくせるのではないかということが言われているようです.それを応用させて重力波の検出が可能になるかもしれないようです.たしか「日経サイエンス」で立ち読みしたと思います.迷惑なら消します.

Re: 相対論について

やかん さんのレス (2004/08/23(Mon) 00:56)

こんにちは.む,難しいけど,すごく面白いスレですね.あのー,ちょっと初歩的な事を教えていただきたいのですが.相対論が,測定結果に高い精度で一致し, それが工業的にも多大な恩恵をもたらしている,というのは事実,確かだろうし,だから相対論が有益だ,物理とはそういうものだ,とは非常に思うのですが,”相対論が間違ってる,あるいは,正しい,”という表現がどうも・・.相対論の式って,単なる近似式以上の威光というか,絶対普遍なニュアンスがあるんでしょうか.なにかその式のとおりに世界ができてる,というような.フックの法則で,バネが伸びきってしまったり,F=maでそれこそ光速近くで相対論に近づいて合わなくなったり,相対論自身も適応範囲内の近似の一例,なーんて生意気な事言ったらきっと怒られちゃいますかね.

Re: 相対論について

通りすがり さんのレス (2004/08/23(Mon) 00:59)

COさん,おこめさん,こんばんは. せっかくの書き込み,消さないでください.私がこうしてあれこれと書き 込むのは管理人さんの物理に対する思いに感じ入ったため,センスの良い ホームページにつまらない主張をする人がいることに苛立ちを感じるため, そして何より物理を志す人が見にくるこの掲示板に全くナンセンスな書き 込みがあるために,せっかくの志が変に歪められてしまう事に対する怒り があるからです.おそらくCOさんもおこめさんも同志ではなかろうかと 想像しております. 私個人的には誰がどのような思想を持っていても,それが他社に対して害 悪とならない限り許容できると思います.しかし物理を志す人が「相対論 は間違っているかもしれない,アニメーションもあった」などと考えるこ とがあるとすれば,これは看過できません.このようなおおっぴらな主張 に対しては,無視したり苦笑いしたりするようなものではありません.こ れは長年にわたる物理学関係者の努力を踏みにじる行為であり,怒りを持っ て封鎖すべきものです.

・・・と,いきなりアツくなりましたが,本題です.今回は相対論から導 かれる帰結と実験結果の比較です.

【運動する物体の時間の遅れ】 運動する物体は,時間の進み方が遅い,というのが特殊相対論の一つの帰 結です.これは「双子のパラドックス」として有名な疑問を生じせしめま したが,実験すれば結果ははっきりします.

・原子時計の運搬 あまりにも明瞭な実験なのですが,高安定な原子時計を実際に運動させ, 時間の進み・遅れを測る実験が行われています.3台の原子時計を同期さ せてそれぞれを別の飛行機に乗せ,1台は西回りに,別の1台は東回りに 地球を1回転させ,もう一つは地上においておきます.地球は東向きに自 転していますので,東へ向かって飛んだ飛行機は地上の原子時計に対して 高速で運動し,西向きに飛んだ飛行機は遅く運動します.1回転の後,飛 んだ2つの原子時計と,地上にあった原子時計の差を調べればよい,とい うわけです. 実験は1971年の10月に行われています.ただし,この実験は特殊相 対論は正しいという前提のもと,一般相対論の検証(地球の重力による時 間の遅れの検証)を目的として行われたものです.したがって話は単純で はありません.それでも,特殊相対論+一般相対論の予言と結果の比較は

西回り:予言値=275ナノ秒,実測値=273ナノ秒 東回り:予言値=40ナノ秒,実測値=59ナノ秒

というわけで誤差20ナノ秒の範囲内で相対論の予言と一致しました.わ りと大きな誤差があるように思えますが,これは飛行機の飛んだ経路や速 度のあいまいさが主な原因である,と結論されています. 参考文献:"WAS EINSTEIN RIGHT?" Clifford M. Will, Basic Books, pp.54

・GPS 現在では同様の「実験」がGPSによって行われています.GPSは24 個の人工衛星が高度2万kmの軌道を飛び,衛星から発射される時刻と位 置の情報を,GPS受信機で受信し,計算によって受信機の位置を知る, というシステムです.このGPS衛星にはセシウム原子時計が搭載されて います.地上で静止した状態で正しく調整したセシウム原子時計を,その まま人工衛星に乗せて飛ばしたとすると,これは大きな誤差を生じます. 実際には相対論の効果を予め計算し,軌道上で飛んでいる状態で地上の原 子時計と進み方が同じになるように,セシウム原子時計の歩度(進み方) を予め調整するのです.相対性理論が正しいからこそ,毎日GPSが正し い結果を示してくれる,といえます.

・μ粒子 素粒子の世界になると,特殊相対論無しには全く話が進みません.ごく簡 単な例を一つ紹介しましょう.素粒子の一つ,μ粒子は,崩壊にいたる平 均寿命は2.2マイクロ秒です.これはほとんど静止したμ粒子を作ると この時間程度で崩壊することから測定できます. μ粒子が光速の99.5%の速度で運動している場合,時間の遅れ効果が なければ,崩壊までに運動する距離は約600mです.実際に実験すると 崩壊までの走行距離は約6000m=6kmであることがわかりました. これは特殊相対論の予言どおりです. このような実験は毎日々々,加速器で確認され続けています.μ粒子につ いて言えば,宇宙から降り注ぐ宇宙線が10kmほど上空の大気の原子に 衝突して形成される様子が良く観察されます.これが600mで崩壊して 地上までは届かないはずなのに,実際には多数届いてくる,つまり寿命は 伸びている,というわけです. ちなみに,光速の99.5%とは,ローレンツ係数で言うとγ=10です. (時間の伸び具合=ローレンツ係数)

というわけで,今日はこの辺で.

P.S.やかんさん,おっしゃるとおりです.あくまでも 「実験精度の範囲内で正しい」というのが正解です.

Re: 相対論について

やかん さんのレス (2004/08/23(Mon) 01:13)

>P.S.やかんさん,おっしゃるとおりです.あくまでも >「実験精度の範囲内で正しい」というのが正解です. 思い切ってご質問させていただいて良かった! 通りすがりさん,有難うございました☆

Re: 相対論について

CO さんのレス (2004/08/23(Mon) 01:57)

> 通りすがりさん

消してしまって申しわけないです.通りすがりさんの話の腰を折りたくなかったもので.

> そして何より物理を志す人が見にくるこの掲示板に全くナンセンスな書き
> 込みがあるために,せっかくの志が変に歪められてしまう事に対する怒り
> があるからです.おそらくCOさんもおこめさんも同志ではなかろうかと
> 想像しております.

だいたいその通りです. あとは,おかしな点をきちんと論破できない自分に対する悔しさもあります. 論破しない限り,どんどん他のところに増殖していってしまうから放っておくわけにもいかないという使命感もあったり. まず最初に某氏に物理とは何かを考えていただきたいのです.

> やかんさん

つねに「ある範囲で」だとか「ある精度を持って正しい」というような言い方をしてきたつもりだったんですがニュアンスが伝わっていませんでしたでしょうか. 自然科学において「正しい」という場合には 100% 正しいと言ってる場合はあまりなく「〜の範囲で ○% の信頼度を持って正しい」だとかいう感じです. 相対論に関しては,まだ確実なズレを示す現象が検出されていません. だからといって,未来永劫検出されない,100%正しいと言うことはできません. 実験の精度は日々向上しているからです. 今の実験精度の範囲では,新たな現象が発見されない限り,ほぼ正しいと言うことができると思います. 自然科学とはそういうものじゃないかと思います. 自然科学は数学とはちょっと違うんですね.

Re: 相対論について

通りすがり さんのレス (2004/08/23(Mon) 02:48)

もう帰ろうと思ったのですが,頭に血液が良くめぐっているので続きです. 再び相対論の帰結と実験の比較です.

【質量の増加について】 相対論的運動学によれば,運動する物体の質量は増加します.ここでいき なり余談ですが,運動すると「寿命が延びる」「質量が増加する」「ロー レンツ短縮が起きる」といった不可思議な結果が得られます.しかしこれ は運動している側(例えば高速な宇宙船に乗った人)には感じられないこ とです.宇宙船に乗った人は自分の寿命を全うすると感じますし,体重も 身長も変化したとは感じられません.等速直線運動をする限り,その人は 止まっている(周りが動いている)のと同等だからです(相対的だ!). しかし「宇宙船の人が運動していると認識する人」,もっと厳密に言えば 別の慣性系にいる人にとって,寿命の伸び,質量の増加,ローレンツ短縮 は(実験)事実となります.うーむ,ややこしいですな.

・加速器,シンクロトロン放射 高速で運動すると質量が増加することは,加速器の実験によって確かめら れます.このスレッドの原因ともなった質問(511kVで加速した電子 の速度)の回答のとおり,質量はローレンツ係数倍となります.大学で物 理学実験をやった方なら,比電荷(e/m)の測定という実験項目に記憶 があるかもしれません.ある速度vの電子が磁場Bの中に飛び込むと,ロ ーレンツ力によって軌道が曲がって円運動をする,その半径を測定すれば 比電荷(e/m)がわかる,というものです. 電子の速度が光速よりじゅうぶん小さければ,e/mの値はいつも一定に なります.ところが速度が光速に近づくと,e/mの値は次第に小さくな ります.eが常に一定ということは別の実験で確かめられますので,これ はmが増大することを意味します. リング型加速器や放射光施設など,高エネルギー電子を磁場で曲げる装置 により,このような「実験」が毎日行われています.相対論の予言どおり に電子は曲がり,その結果得られる放射光(シンクロトロン放射光)は, 科学研究や産業に役立てられています.

大型放射光施設(SPring-8)のホームページです.これは必見です.

【質量とエネルギーの等価性】 高速で運動する物体は質量が増加する,これは質量とエネルギーの等価性 の現れともいえます.特殊相対論の帰結である有名なE=mc^2は,質量とエ ネルギーは等価である,ということを物語っています.この帰結は,原子 核の崩壊現象(あるいは核融合反応)と比較して確認されました. 原子炉で起きるウラン235の崩壊反応は以下の通りです(自発的には崩 壊しにくいので熱中性子を当てる). 235U + n → 140Xe + 94Sr + n + n この反応の前と後では,総質量が約200MeV/c^2だけ減少しています.と同 時に200MeVのエネルギーが発生することが実験によって確認されます. 歴史的に言えば,キュリー夫妻によりラジウム等の放射性元素が発見され, 放射性元素が生み出す莫大なエネルギー源は一体何か,ということが問題 なのでした.特殊相対論により,ほんの少しの質量がエネルギーに転換す ることで,放射性元素が発生するエネルギーを説明できたわけです.もち ろんこの原子核が発生するエネルギーは,原子力発電という形で我々の日 常生活に電力を供給し,一方では原子爆弾という不幸な物を生み出した, というわけです.

参考文献:参考文献:「相対論的物理学のききどころ」和田純夫,岩波書店,p.32 ここはほとんどパクってしまいました.和田先生,ありがとうございます.

追伸:マイケルソン・モーリーの実験については, 「相対性理論」窪田高弘・佐々木隆,ショウカボウ,p.4 が詳しいです.他にもあると思いますが・・・.

ついでなので,これまでに出てこなかった相対論の本を紹介してみましょう. あまり素粒子系に立ち入らないものを選んでみます. (1)シュッツ「相対性理論」上江里口・二間瀬訳丸善 ・・・難しいです.しかし参考になる教科書です. (2)ランダウ・リフシッツ「場の古典論」恒藤・広重訳東京図書 ・・・難しいです.まさに教科書の古典です. (3)ソコロフスキー「相対性理論の問題と解法」林昌樹訳文一総合出版 ・・・ロシア的な,変った問題集です.特殊相対論のみの,相対論 マニアに受けそうな内容で,個人的にはとても好きです.しかし, 今では絶版だろうな(1981年初版).

岩波全書の相対性理論は誰かに貸したまま戻ってきません. だれだったっけ,おーい.

COさん >あとは,おかしな点をきちんと論破できない自分に対する悔しさもあります. これは相手が悪いだけです.どれだけ理路整然と説明しても通じない相手です. ところで,COさんの名前,一酸化炭素からですか?とすると電波天文系だったりしますか?違うかな・・・

Re: 相対論について

やかん さんのレス (2004/08/23(Mon) 09:45)

>自然科学において「正しい」という場合には 100% 正しいと言ってる場合はあま>りなく「〜の範囲で ○% の信頼度を持って正しい」だとかいう感じです. >相対論に関しては,まだ確実なズレを示す現象が検出されていません. >だからといって,未来永劫検出されない,100%正しいと言うことはできません. >実験の精度は日々向上しているからです. >今の実験精度の範囲では,新たな現象が発見されない限り,ほぼ正しいと言うこ>とができると思います. >自然科学とはそういうものじゃないかと思います. >自然科学は数学とはちょっと違うんですね. COさん,レス有難うございます.ああ,やっぱりそうなんですね(当たり前か・・).きっとそうだろう,そうに決まっている,とは信じていたのですが, 自信がなかったもので詳しい方に念のため,ご意見を伺おうと思いました・・. 通りすがりさんの相対論ご解説のスレなので,私の変な質問で,あまり乱さないようにしないといけないと思っているのですが,主題に関連して,もう一つだけ. 反相対論者がいらっしゃるのは,よーーくわかりましたが,相対論過信者,というのもいるでしょうか.いや,相対論に限らず,理論物理の分野で,COさんのおっしゃるように適応限界をわきまえず,この世は完全に数学的にできていて,なにか究極の物質,式でできている,と信じこんでいるような・・.いたとしたら,やっぱりおかしいですよね.人間ができるのはその都度,当座の,数学を用いた近似のみですよね.やっぱりいないかな,そんな人.

Re: 相対論について

おこめ さんのレス (2004/08/23(Mon) 11:40)

ファインマンは物理学は近似でのみ成り立つと考えていて,近似をもちいない超弦理論を最後まで受け入れることはしなかったようです.また相対論からずれました,すいません.

Re: 相対論について

崎間@管理人 さんのレス (2004/08/23(Mon) 13:24)

今回の一件は,本当にみなさんの助けがうれしかったです. 通りすがりさんをはじめ,COさん,おこめさん,やかんさん,伊右衛門さん, そして以前のスレで書いてくれたみなさま,ありがとうございます.

また,某タ氏によって相対論の勉強ができたことも事実です.

僕は相対論の知識があやふやだったので,昨日一日かけて 本を調べてました.一応ノートもつくってきました. が,それを使う必要なんてまったくありませんでしたね(^-^ 一日掲示板を見ていなかったら,うらしま太郎になってました.

> 実験と理論の比較,これがいかに大切であるか

物理学は,やはりこの考えですね.ところで いったいこれまで何人の物理学者が,物理を志す人がいたのでしょう. 高みを目指して,志し半ばで終わった人も多いのでしょうね. 現代の物理学は,これまでの人々の努力の結晶であり,人類の財産です. 頭からの否定も過信もせず,謙虚に自然に向き合いたいものです.

Re: 相対論について

CO さんのレス (2004/08/23(Mon) 14:31)

> 通りすがり さん > ところで,COさんの名前,一酸化炭素からですか?とすると電波天文系だったりしますか?違うかな・・・

CO というのは名字の最初の一文字が「こ」だからです. 首相と同じ名字なんですが,メールアドレスとかは普通の表記ではとれない(既に取られてる)ので, COISME と表記するようにしました. すると,この表記では CO is me. と書けるなぁ,ということで CO と名乗ってます.

しかしながら,いま院試で目指してる研究室は偶然にも電波天文学だったり! 野辺山とかにも行ったことあります.アンモニアで観測しました.

ということで,COの由来は電波天文ではありませんが,これからまさに電波天文に進もうと思ってます. 進めるかどうかはこれから院試なんですが・・.(--;

> やかんさん > 適応限界をわきまえず,この世は完全に数学的にできていて,なにか究極の物質, > 式でできている,と信じこんでいるような・・.いたとしたら,やっぱりおかしいですよね.

いや,そういう人はいるだろうし,いたとしてもおかしいとは思わないです. 私自身も「そうであって欲しい,つまり究極の理論はいつかできる,全ての現象を統一的に説明する理論ができてほしい」とは願っています. 既存の理論がそうであるとは思ってませんが,いつかはできることを夢見てます. 物理やってる人って,実際がそうであるかどうかに関わらず「そうであって欲しい」と思ってるんじゃないかなぁ・・. この話はそのまんま,前にでた統一理論の話につながると思います.

Re: 相対論について

やかん さんのレス (2004/08/23(Mon) 15:57)

おこめさん,有難うございます. >ファインマンは物理学は近似でのみ成り立つと考えていて,近似をもちいな>い超弦理論を最後まで受け入れることはしなかったようです. おお,ファインマン先生も.尊敬します,ファインマン先生.

>某タ氏によって相対論の勉強ができたことも事実です. んー,管理人さんはスケールが大きい!私はアインシュタインではなく 管理人さんの信奉者です☆

>頭からの否定も過信もせず,謙虚に自然に向き合いたいものです. 否定せず,過信せず,謙虚に・・.いいなあー.これなんですねー.

COさん,有難うございます. >いや,そういう人はいるだろうし,いたとしてもおかしいとは思わないで>す. >私自身も「そうであって欲しい,つまり究極の理論はいつかできる,全て>の現象を統一的に説明する理論ができてほしい」とは願っています. >既存の理論がそうであるとは思ってませんが,いつかはできることを夢見>てます. >物理やってる人って,実際がそうであるかどうかに関わらず「そうであっ>て欲しい」と思ってるんじゃないかなぁ・・. >この話はそのまんま,前にでた統一理論の話につながると思います なるほど.きっと,これは物理学者が立場上口には出せなくても,みんなそっと胸に抱いてるきれいな夢,願い,ロマンなんですね.やっぱ,このサイトはいいなあ!みなさんのおかげで私の狭い視野が広がった気がします. 有難うございました.

Re: 相対論について

かつ さんのレス (2004/08/23(Mon) 20:08)

既に決着がついている様ですが,拙 HP の御照会を戴いている様なので ROM専にも関わらず(と言いつつ前にも書きましたけど ^^;)書かせて 下さい.

某タ氏(55歳,大阪在住)は,説得不可能性の最も高い人です.

かつて,アチコチ荒らし回ったようですが,最近になって,神の 啓示からか(笑),新たな荒らしを始めたみたいです. 他の掲示板で,何度かカキコされた例もある様です.明らかな マルチポストですし,再度のカキコが在った場合には,“荒らし” として管理人権限で処理されるのが正統かと存じます.

海外のトンデモさんには,このクラスが結構います.例えば

平面地球学界.一読されれば,説得不可能性が良く解ります(笑).

>通りすがりさん 御照会有り難う御座います.しかし,拙はそんな大それたモンじゃ 在りません.只のトンデモマニアです(笑).

Re: 相対論について

崎間@管理人 さんのレス (2004/08/23(Mon) 21:00)

> これからまさに電波天文に進もうと思ってます.

電波天文学!山口にも32mの電波望遠鏡がありますよ. 僕は具体的なこと知らないのですが,デッカイ装置っていいですよね.

> 私はアインシュタインではなく管理人さんの信奉者です☆

またまたやかんさん,僕を信じても ロクなことありませんよー(本当はうれしい).

> みんなそっと胸に抱いてるきれいな夢,願い,ロマンなんですね.

それはきっとあるでしょうね. 今回の件で,僕も視野を広げさせてもらいました. HPつくってよかったです.

> 管理人権限で処理されるのが正統かと存じます.

かつさんこんにちは.もし今度来たらそうすることにします. 平面地球学界もなんというか,なんというかですね(笑). 今日,かつさんのHPいろいろ興味深く読ませていただきました. これからも読ませていただきますね.

Re: 相対論について

通りすがり さんのレス (2004/08/23(Mon) 21:25)

皆さん,こんばんは. 仕事が一段落したので,また書き込みです.今日は量子論と相対論の関係 について述べようと思います. 例によって余談からですが,「量子論はエレクトロニクスの基礎になって いるから正しい」という主張を見かけました.これは実験との比較が大切 だ,と言い換えても良いのでしょうね.

【量子論と相対論】 ・スピン 今回はわき道から話を始めましょう.ここの掲示板でも「水素分子の結合」 が話題になっているのを見かけました.水素はなぜ分子を作るのか,とい えば,これは2個の水素原子が持つそれぞれの電子が2個の原子によって 「共有」されることによって結合するからです.これが共有結合です.な ぜ共有されるのかといえば2個の電子が上下の「スピン」を持っているか らです.スピンが異なっていれば同一の軌道を占める事ができるので,2 個の原子核(正電荷)の中間に2個の電子(負電荷)が存在でき,これに よって原子核同士のクーロン反発力を中和,強力に結合させる,というわ けです.もしスピンがなかったら(あるいはスピンが同じ方向を向いてい たら)水素原子2個が分子を形成することはできません.これは大学4年 級の量子力学で習うところです(私も習いましたが,理解したかどうかは別).

参考文献:シッフ「量子力学」下井上健訳,吉岡書店,p.519

さて,量子力学,化学,エレクトロニクスの基礎ともいえる電子のスピン ですが,これは相対論的な現象です.シュレディンガー方程式からもハイ ゼンベルグ方程式からも「スピン」という現象は導き出せません.しかし ディラックが電子のシュレディンガー方程式を相対論的に拡張したときに, 自然に電子の内部自由度としてスピンが導き出されたのです.そして事実 電子にはディラック方程式が予言するとおりのスピンがあるのです. 同様に,物質の磁性は基本的に相対論的な現象であるといえます.電子, 原子核のスピンが磁性の原因だからです.

・ディラック方程式 量子論と相対論を結合したディラック方程式は,様々な物理現象を説明 することに成功しました.例えば水素原子の構造は基本的にはシュレディ ンガー方程式を解くことで得られます.しかし実験によって確認された構 造(例えばエネルギー順位)とは,ごくわずかですが異なっていました. 一方,ディラック方程式は,シュレディンガー方程式とは異なったエネル ギー準位を予言し,はるかに高い精度で実験結果と一致しました.

参考文献:「相対論的量子力学」西島和彦,培風館,p.10,53 シッフ「量子力学」下井上健訳,p.545

・反粒子 また,ディラック方程式(に限らず相対論的な波動方程式)から自然に反 粒子が存在する事が導かれます.ディラックによる反粒子(陽電子)の存 在の予言は1931年,翌年にはアンダーソンによって実際に陽電子が存 在する事が確認されました.

・量子電磁気学 歴史をたどれば,量子力学と相対論を結びつけたディラック方程式は,量 子電磁気学へと発展していきます.電子と光子の相互作用を解明しようと いうわけです.ディラック方程式から導かれる電子の磁気モーメント(正 確には磁気モーメントのg因子)は,g=2ですが,実験の結果はg=2. 0023192・・・と,わずかに異なっています.このわずかな補正項 を理論的に解明したのがファインマン・シュウィンガー・朝永の量子電磁 気学,というわけです.有名なファインマン図に従って摂動計算をすると 実験結果と理論が極めて正確に(10桁も!)一致した,というわけです.

ここで光子との相互作用なのになぜ「磁気」モーメントについて説明する のか,と思われた方がいるかもしれません.電磁気学によれば磁気は電気 と結びついており,電磁気は電磁波と結びついています.電磁波を量子力 学的にとらえれば光子,というわけです.わかりやすい例だし,実験的に もよく知られた値なので取り上げました.

参考文献:「素粒子」武田暁,裳華房 ファインマン「光と物質の不思議な理論」釜江・大貫訳 ・・・読み物.これは面白い本です.

というわけで,素粒子の世界では特殊相対論はもはやほとんど無条件の大 前提です.その根拠は,と言われれば,やはり理論の予言と実験結果との 超高精度な一致,ということになります.

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この後, ・日常生活の相対性理論(GPS,人工天体のナビゲーション,原子時計等), ・電磁気学との無矛盾性 ・一般相対性理論について ・アインシュタインの業績(ブラウン運動,光量子仮説,固体の比熱, 放射の理論等) について説明,また 日本物理学会での学会発表,論文発表,長さの定義 などの余談をできればと思っておりました. しかしこの件もそろそろ決着がついたようですし,私も引っ込むことにします.

その前に皆さんにお礼申し上げます.

>かつさん これからも貴HPを楽しみにしております. ぜひ,たちの悪いトンデモをやっつけてください.私も頑張ります. >やかんさん > >某タ氏によって相対論の勉強ができたことも事実です. > んー,管理人さんはスケールが大きい!私はアインシュタインではなく管理人さんの信奉者です☆ 私も同感です.なかなかこうは言えないです.

>COさん > これからまさに電波天文に進もうと思ってます. なんと!そのうちどこかでお会いしそうですね.楽しみです.

>おこめさん > 最近量子力学の不確定性原理がある数学者(東北大学,名前わすれました)によって再考察 小澤正直先生ですね.記事は日経サイエンス,2004年9月号,p.52です. 光子の位相を超高精度に決められたら,重力波検出に道が開けそうですね.

>管理人@崎間さん 物理学という高い山に登って遠くを見渡し,ついでに山の頂上にもう一つ石を積んでください.期待しています!

Re: 相対論について

Dr.StrangeLab さんのレス (2004/08/23(Mon) 22:09)

はじめまして. ここは最近とある事情(某タ氏^^)で見るようになりました. いろいろ参考にさせてもらってます. そうですか…もっとも説得不可能性の高い人ですか…(笑)

しかし,なんとかやってやろうという気で今いろいろと勉強しております. (物理屋さんではないので…) 今後ともよろしくお願いいたします.

ところで,その勉強の過程でふと思ったのですが, 速度が光速に近づくと質量が増大しますよね. 「あれは外から力をかけて加速するのにより大きな力が必要になる」 というだけで,運動方向に直角な方向に加速する場合, 必要な力はいっしょなのでしょうか? (「運動方向の慣性質量のみが増大する」という表現でいいのでしょうか?)

それと,運動している粒子(なり宇宙船なり)から見ると, 地球やら月,そこらの隕石も反対方向へ動いているので, そいつらの質量も増大する(あるいは見かけ上増大して見える?) のでしょうか? 増大するとなると,粒子なり宇宙船なりと地球やらその他諸々との 間の引力が増大する…? というのはなんとなく直感に反するような気がしますが^^ どうなるんでしょうか?

P.S.参照先は某タ氏説得用に作成したものです. 私のHPではありません.

Re: 相対論について

CO さんのレス (2004/08/23(Mon) 22:26)

> 通りすがり さん > なんと!そのうちどこかでお会いしそうですね.楽しみです.

なんと!通りすがりさんは電波系(語弊がありますね(^^;)なのですか? 私が電波系に進むことになったら,ここでお知らせします.m(__)m

> Dr.StrangeLab さん > P.S.参照先は某タ氏説得用に作成したものです.

このページいいですね. 涙が出そうです.(ioi) アニメーションを作った方,御苦労様でした.m(__)m

Re: 相対論について

かつ さんのレス (2004/08/23(Mon) 22:48)

>Dr.StrangeLab さん 解り難い部分ですよね.ココが比較的丁寧に書かれています.

>通りすがりさん 有り難うございます.ご期待に添える様に頑張ります.

>管理人さん そういえば,私が最初に務めた会社の同期で一緒に仕事をした ヤツは,筑波の物理で院卒でした.今はどうしているやら.

Re: 相対論について

崎間@管理人 さんのレス (2004/08/25(Wed) 12:13)

通りすがりさん,本当にどうもありがとうございました. 僕はまだ物理学の山の麓に立っているだけですが, 大きくてきれいで魅力的な山です.登りきったら,とてもいい眺めでしょうね. 無理して疲れたり落っこちたりしないように, 険しいルートは避けてゆっくりと登ります.石とお弁当をもって(笑)

> >Dr.StrangeLab さん
> 解り難い部分ですよね.ココが比較的丁寧に書かれています.

僕も考え込んでしまいました.参考にさせてもらいます. それにしても,いいホームページがたくさんありますねー.

> そういえば,私が最初に務めた会社の同期で一緒に仕事をした
> ヤツは,筑波の物理で院卒でした.今はどうしているやら.

そうなのですか.いまの院は純粋な物理学というよりも,工学です. でも物理はどこへいっても大事な基礎ですねー.