特殊相対性理論 エネルギーについて

特殊相対性理論 エネルギーについて

ニキータ さんの書込 (2008/03/03(Mon) 18:38)

はじめまして.大学2年で現在電磁気学を学習しているものです.特殊相対性理論の分野で質問があります. ある参考書の問題で, 「電位U1,U2をもつ2つの空間の境界面へ電荷qをもつ荷電粒子(静止質量m0)が入射するときの屈折の法則を相対論的に記述せよ.ただし,荷電粒子は電位0の無限遠方で初速度0から加速されてきたものとする.」 というものがあり,その解答の中で, 「位置エネルギーに相当するものは m0c^2+qU であるから ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) = m0c^2+qU が成り立つ」 (UはU1またはU2,pは運動量を指します) という部分があったのですが,何故この等式が成り立つのか理解できません. この等式は荷電粒子が境界面に入射する前または入射後のエネルギーの関係を表していると思うのですが, 左辺が境界面入射直前(直後)のエネルギー,右辺が無限遠でのエネルギー と考えると左辺に+qUという項があり,かつ無限遠では電位0なのでqUの項はないはずで,または (運動エネルギーの変化)=q×(電位差) と考えると ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) - m0c^2 = q(0-U) = -qU となるのではないかと思うのです. どなたか答えていただけないでしょうか

Re: 特殊相対性理論 エネルギーについて

Einstein さんのレス (2008/03/04(Tue) 10:28)

解釈を間違っています.

荷電粒子が無限遠から電位U1の境界に来たときには,その荷電粒子の持つ位置エネルギーは,その荷電粒子の質量で決まる静止エネルギー(m0c^2)とqUの合計になることは容易に理解できますね. 電位0から電位U1のところに移動したのですから.それだけポテンシャルエネルギーがあるはずです. もう少し正確にいうと,今回の場合には電位により加速されたとあるので,qUの符号はマイナスになっているでしょう.(ポテンシャルを失っている)

U=m0c^2+qU (ポテンシャルを失う方向の場合にはqU<0となっています)

さて,ポテンシャルを失った分は運動エネルギーになっているはずです. 運動する粒子の全エネルギーは,

E=[(m0c^2)+(cp)^2]^(1/2)

になるというのは,相対論の基本的な導出であることはご存知のはずです.

よって位置エネルギーと運動エネルギーはエネルギー保存則で等しくなければならないので,E=Uが成立するから,ご質問の式にたどり着きます.

ちなみに,ニキータさんも,上記の考え方とは異なるルートで似たような結論には達しています.

((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) - m0c^2 = q(0-U) = -qU

ですが,ご質問者はqU>0でエネルギーを失う方向,つまり−の符号を外に出してしまっていますが,その符号をqUに入れてしまえば,

((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) - m0c^2 = q(0-U) = +qU

となり,変形すると,先ほどと同じ式にたどり着きます.

Re: 特殊相対性理論 エネルギーについて

yama さんのレス (2008/03/04(Tue) 11:19)

qU<0 はよいと思いますが,そうすると解答の式 ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) = m0c^2+qU はおかしいと思います. qU<0 とすると m0c^2+qU<m0c^2 なので ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) <m0c^2 になるからです.

ポテンシャルエネルギーがqUだけ増加(-qUだけ減少)するときには,運動エネルギーはqUだけ減少(-qUだけ増加)するはずです. 従ってニキータさんの式でよいと思います.

Re: 特殊相対性理論 エネルギーについて

Einstein さんのレス (2008/03/04(Tue) 19:29)

ごめんなさい解説を間違えているようですね.寝ぼけていました.あまり考えずに回答するものではないですね. まず,qUは正にとって計算されています. で,左辺は境界線での全エネルギーをあらわしていますので,右辺は,静止エネルギーに「加えて」,獲得した「電位による位置エネルギー」を加えなければなりません. だから, ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) = m0c^2+qU とならなければなりません.

つまり,左辺はその粒子の運動を考慮した全エネルギーであり,右辺は獲得した位置エネルギーを考慮した全エネルギーというわけです.

Re: 特殊相対性理論 エネルギーについて

yama さんのレス (2008/03/04(Tue) 22:52)

qUは正にはならないと思います.粒子は位置エネルギーqUが減少する向きに力を受けるので,静止していた粒子が移動してきたとすれば,位置エネルギーは初めの位置エネルギーよりも減少しているはずです.

また((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2) は(静止エネルギーを含む)運動エネルギーであって,全エネルギーではありません. 全エネルギーはこれに位置エネルギーqUを加えた ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2)+qU であり,エネルギーの保存により,これが無限遠での全エネルギーm0c^2に等しくなるので ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2)+qU=m0c^2 になると思います.

Re: 特殊相対性理論 エネルギーについて

ニキータ さんのレス (2008/03/05(Wed) 08:36)

回答ありがとうございます.やはり ((m0c^2)^2+(cp)^2)^(1/2)+qU=m0c^2 が正しいと思うのですが,似たような問題を取り扱った本を更に探して比較してみようと思います.ところで,出典を表記するのを忘れていました.失礼しました.

電磁気学演習 (基礎物理学選書 (21)) 小出 昭一郎著 裳華房 p.247 [6.14]