水中での熱エネルギー

水中での熱エネルギー

くま さんの書込 (2008/01/22(Tue) 13:49)

高校で学んだ式では解けないので悩んでいます. よろしくお願いします.

20℃の水槽中(体積無限)に水の入った風船(体積1cm^2)を入れます. この風船を1分で50℃に上昇させるのに必要な熱エネルギーは どうやって計算すればよいのでしょうか? (到達後も50℃に保つ為に常にエネルギーを送り続ける必要もありますが・・・)

風船内部は50℃均一,風船の物性など無視できる, その他パラメータは適当な仮定で構いません.

です.よろしくお願いします.

Re: 水中での熱エネルギー

くま さんのレス (2008/01/22(Tue) 18:01)

体積1cm^3ですね・・・

風船の中にヒーターを入れて加熱するイメージです. 水による冷却をどうやって考慮すればよいのか判りません.

Re: 水中での熱エネルギー

Einstein さんのレス (2008/02/06(Wed) 18:10)

加える必要のある熱量Qは

1.水を加熱して温度を上げるための熱量Qa 2.風船の中の水から水槽に逃げる熱量Qb

の合計値Q=Qa+Qb

です.もしQb=0ならばQ=Qaなので容易に求まります.水の比熱Cは4.2J/g・Kですから,1cm^3の水は1gなので,1度上げるのに必要な熱量は4.2Jです. 1分間で50℃まで上げるには,単位時間当たりに加える必要のある熱量は4.2J×(50−20)℃/60秒=2.1J/sec=2.1Wと求められます.

問題はQbです.風船の壁を経由して逃げると仮定すると,モデルでは,一定の熱抵抗を通じて20℃のところに逃げるということを考えねばなりません.熱は温度差に比例して逃げる量が決まります.

ものすごくモデルを単純に考えて,風船の厚みをDとして,この厚みDの間に温度差が生じるとします.そして,熱の伝えやすさの指標である熱伝導率k,風船の表面積をSとすれば,単位時間当たりに逃げる熱量は,

(dQb/dt)=kS×(ΔT/D)

ただしΔT=Tc−TaTc:風船内の水の温度,Ta:水槽の水の温度

となります.つまり温度差に比例して逃げる熱量は増えることになります. 風船の水の温度は風船内の水の重さをmとして,

Tc=Qa/(mC)+Ta

となります.(Tcは初めTaと仮定します) 今,ΔT=Tc−Ta等を使って上記の微分方程式からQbを消去すると,

dΔT/dt=−(kS/mCD)ΔT+P/mC

となります.ここで, P=dQ/dt としました.Pは単位時間当たりに投入する熱量です.ヒーターなら電力[W]ですね.この微分方程式を解くと,

ΔT(t)=PD/kS×[1−exp{−(kS/mCD)t}]

になります. あとは,t=60でΔT=30℃になるPを求めればよいだけです.

現実には水の対流を考えたり,風船の周りの水の温度勾配を考えたりと単純ではありませんが,まあこれでも見当はつけられるでしょう.

Re: 水中での熱エネルギー

くま さんのレス (2008/02/13(Wed) 16:32)

ご返答有り難うございました. 式は良く理解できました.

Qbの方は風船の外側が常に20℃,内側が常に50℃ とすれば,単純になりますね.

さて問題は熱伝導率です・・・ 風船をウレタンなどの樹脂とした場合に 熱伝導率はどういう値なのか, ネットで調べてみても調べきれませんでした. 温度によって変化するといっても,どの程度の値なのか どこぞに記載されていないでしょうか?

Re: 水中での熱エネルギー

Einstein さんのレス (2008/02/13(Wed) 17:15)

熱伝導率は検索すれば山のように情報が出ていますよ. たとえば水は約0.6W/m・K,ゴムは種類によって違い,大体0.15〜0.4の範囲に大抵あります.(特殊なものを除きます) 適当に0.2W/m・K程度で計算してもよいのではないでしょうか.

Re: 水中での熱エネルギー

yama さんのレス (2008/02/14(Thu) 13:45)

対流による熱の移動のほうが,熱伝導よりも影響が大きいのではないかと思いますが・・・.

Re: 水中での熱エネルギー

Einstein さんのレス (2008/02/19(Tue) 18:29)

そうですね.ただ,私の書いた簡易モデルだと対流効果は最大限に生じるということになります.つまり,風船内のヒータで生じた熱は対流によりすばやく風船内全体に広がり一様な温度となる. 風船から流入してきた熱は対流によりすばやく運び出されて,風船境界面の水温は低いままに保たれるというわけです. したがって現実の系の場合にはこれで求めたヒーターに必要な熱量よりは少なくなるでしょう.