はじめまして.高3です. レンズの問題で1/a+1/b=1/fの公式を使って解く問題で答えではaの値をマイナスでいれてやってました.これがどうしてaをプラスにしてはいけないんでしょうか?プラスでやると答えが出ません.レンズが2つでてくる問題です. 教えてください.
問題を書いていただかないと答えようがありません. あなたがどう考えたかも書いていただきたいと思います.
公式だとして書かれている式1/a+1/b=1/fには使う条件がついています.元々は凸レンズについての式ですね.光の進み方についての規則を使って作図すると幾何的に相似形を使って求めることが出来ます.レンズに対してどちら側に出来るかを符号で区別すると実像,虚像の両方に当てはめることも出来ます.凹レンズについても作図するとfをマイナスにして考えれば同じ式が使えることが分かります.でも使うときにはいつもレンズの種類や,物体とレンズとの位置関係を考えないといけません.
1つのレンズでも色々条件を考えることが必要なわけですから2つのレンズの場合にただ「レンズが2つでてくる問題」だと言われても応えようがないのです. 機械的に公式に当てはめても解けるものでもありません. レンズが2つですから上の式を2回使うことが予想されます.
すいません.問題は,焦点距離10cmの凸レンズと焦点距離40cmの凹レンズが40cm隔てて置かれている.凸レンズの前方30cmある長さ20cmの物体の像はどのように現れるか.です.
さしあたり考え方だけを書きます. その方針に沿って一度やってみてください.
(1)凸レンズの手前30cmに物体を置いたときの像はどこに出来ますか. (2)その像は凹レンズに対してどういう位置にありますか. (3)像の位置に物体があると考えたら凹レンズによる像の位置はどこになりますか.
(1)では凸レンズの式を使います. (3)では凹レンズの式を使います.
すいません.凸レンズの焦点距離は20cmでした. そうすると (1)像は凸レンズの後方60cmのところにできる. (2)凹レンズにとっては20cm凸レンズと反対にある. (3)ここでぼくは1/20+1/b=−1/40としてやりましたが答えと一致しません. 答えは−1/20+1/b=−1/40としてあります. これはどうしてですか?
凸レンズでは1/a+1/b=1/f 凹レンズでは1/a+1/b=−1/f の式を使います. a,bの符号を確認しておきます.物体から出た光がレンズを通るのが普通ですからレンズの手前に物体があればa>0です.光がレンズを通ってから(レンズに対して物体の反対側に)像が出来ればb>0です.ここにスクリーンを置けば像が映ります.実像といいます.これが基準になります.光の進む向きに沿って物体の位置や像の位置を考えていることになります.もしレンズの手前に像が出来ていれば光の進む向きに対して反対側ですからb<0とします.これは虚像です.その場所にスクリーンを置いても像はできません.レンズの反対側から見るとその場所から光が来ているように見えるのです.
・−−−−L1−−−−−−−L2−−−− 物凸凹像像 体1 2
今の問題では凸レンズで出来る像の位置は凹レンズの右20cmのところです.ところが凹レンズが間にあるので光が屈折しますからこの場所には像が出来ません.違う場所に移動します. この場合は凹レンズに対してa<0を使います.「虚物体」と呼んでいます.光の進行方向に関してレンズの手前に物体がある場合がa>0でしたからレンズの向こう側に物体があるというのはa<0に対応するのです.実際に物体があるのではありません.凸レンズによって像が出来るはずの場所だったのですから凸レンズを出た光はすべてこの像のあるところに集まる様に進んでくるのです.
作図で求める場合は 凸レンズを通過してこの像に集まってくる無数の光線の中から (イ)凹レンズの中心を通過する光 (ロ)凹レンズの光軸に平行に進む光 を見つけて線を引きます. 光線(イ)はそのまま直進します.(ロ)は凹レンズの焦点から出たように屈折します.この2つの光線の交わるところが新しい像のできる位置です.凹レンズの右40cmの所に交点が出来ることを確めてください.この像は実像です.スクリーンを置けば像が映ります. ※(イ)(ロ)は像1から逆に(イ)(ロ)になるように線を引けば見つけられます.
理解できました. 詳しく説明してもらいありがとうございました.
れんさん 説明の補足をさせてください.
1/20+1/b=−1/40でやったと書いてあります. これで計算するとb=−40/3になります.凹レンズの手前13cmほどの所に虚像が出来ることになります.
解答のb=40と合わないからおかしいと考えたのですね.すると解答がなければおかしいということが分からなかったことになりますね.でも解答がなくても図を書いてみるとおかしいということが分かるはずです.たぶん式だけで計算して作図はやっていなかったのでしょうね.きちっとしたやり方がわからなくても「こんな感じかな」というやり方でもイメージは掴むことが出来ます.凹レンズの位置の右側に出来るはずの像がいきなり凹レンズの位置の左側に移るというのが変だというのが分かると思うのですが.
凸レンズの作図は出来るはずです.凹レンズの位置の20cm右側に像が出来ます.凹レンズを置きます.像に向かって進んでいた光は凹レンズを通過した後少し光軸から離れる向きに屈折しています.少しずれてもレンズの同じ側だということは分かるでしょう.さらに少しレンズから遠い所で交わるというのも予想がつくと思います.おかしいというのが分かったところで「ではどうしたらいいのか」という問題になります.解答を見るとしたらここからです.自分なりの疑問点が浮かび上がっていますから解答を見ても分かりやすいです.質問をするにしてもたぶんしかたが変わってくると思います.
計算して得られた結果が起こりそうなことかそうでないのかの判断を大まかでもいいからやってみるというのは大事なことです.いきなりは出来なくてもやっていればできるようになります.解答がなくても「おかしい!」と感じれるようになると物理が分かったという気持ちになれます.力学でも同じです.ありそうな結果かそうでないか,必ず考えてみてください.
れん さんはまだご覧になっていらっしゃいますでしょうか?以下のように考えることもできますので,お好みにあうならばご利用ください.
焦点距離 f のレンズの中心を xy 座標平面の原点に置き,x<0 の領域から入射した光線がレンズを通過するとします.入射光線の方程式が y=px+q のとき,透過光線の方程式は, 凸レンズの場合には,y=(p−q/f)x+q 凹レンズの場合には,y=(p+q/f)x+q となります.
お尋ねの問題では,凸レンズと凹レンズが両方登場するため計算が煩わしいのですが,ていねいに計算していくと,Komagatake さんがお書きのように,物体の一点から出た光がすべて凹レンズの後方 40cm の所に結像することが確認できます.
上の式は,写像公式1/a+1/b=1/fから導くことができるのですが,残念ながら教科書に記載がないために,記述式の模試や入試で使えるのか…,疑問です.早く認知してほしい….
山旅人さん
示されている2つの式 凸レンズの場合には,y=(p−q/f)x+q 凹レンズの場合には,y=(p+q/f)x+q を使うというのは高等学校で普通に出てくる問題に対しては特に有効であるとは言えません. 「ある位置に物体があって」という所からスタートして像の位置を求めるという問題です.1/a+1/b=1/fのaの所に値を入れればいいのですからこの式で終わりです.何でわざわざ別の式を使わなければいけないのかということになります.
れんさんが質問されているような問題が簡単に解けるというのであれば有効でしょう.でも簡単ではありません.
やはり「この式を使うとこれだけ簡単に,見通しよく解ける」という場面を示していただかなければいけません.ただ「こういう扱いも出来る」というだけではダメだろうと思います.
私が考えることが出来た例は物体がない場合です. レンズの光軸に対してある角度で入射する光のレンズ通過後の経路を求めるような問題です.この場合は光線しか与えられていませんのでお示しの場合に該当するように思います. でもこの場合,光が屈折しないでレンズを通過して光軸と交わる点を虚物体(a<0)として扱えばレンズの式から像の位置が分かりますので屈折光線を求めることが出来ます. 作図するときは入射光線に平行でレンズの中心を通る線を考えます.レンズの面に平行に焦点をこの線までずらします.この新しい焦点を通るように光は屈折します.この作図でレンズの式が成り立っていることは幾何的に証明できます.
1/a+1/b=1/fの式を使っているのであればもうそれ以上式は増やさない方がいいと思います.教科書に載ることはないだろうと思います.
幾何光学の分野は高等学校の物理の分野から一時消えていました.「現代化」ブームのときに遅れた分野,物理的な発展性のない分野という意味での切り離しがあったのではないかなと思っています.どういう経緯で復活したのかはよく知りません.でも光の分野で波動光学しか扱わないアンバランスさに対する反省もあったでしょう.中学校で扱うようになっていましたから「手に負えない,引き取ってくれ」ということだったかもしれません. レンズは現象が実現できて実感できます.簡単な原理から結果を予想していくということも出来ます.そういう意味から言うと出てくる数式は少ない方が望ましいだろうと思います.
>> komagatake さん
縷々ご教示有り難うございます. 私は,解法の一例を紹介いたしただけですので…
ただ,上記を読ませていただいての感想は,『解法に対する感じ方は <b>慣れ</b> と <b>好み</b> に尽きる』 です.いろいろな解法に出会うことで,好みにあった解き方ができるようになれば,その人にとってはそれが一番良いことですから.それが,必ずしもスマートではなくとも…