こんにちは, パルサーやブラックホールに興味があります. 両天体は,回転しながらX線を放射しているらしいですが, 下記について教えて下さい.
仮に可視光線を放出する天体があるとします.(磁場とか電場とか ややこしいものは無く,単に可視光線を放出するものとします.) その天体が高速度で回転すると,光のドップラー効果によって波長が 短くなるのでしょうか? その式は,どのような式になるのでしょうか? 天体の回転速度から,波長を計算する式を教えてください.
天体が,地球から遠ざかっていることによる光のドップラー効果の式は, Z+1=√(1+v/c)/√(1-v/c) ですが,回転運動の場合,vは,何を入れれば良いのでしょうか?
追伸 パルサーやブラックホールのX線放射のメカニズムとは 直接関係ありませんが,ふと疑問を持ち質問しました. よろしくお願いします.
> その天体が高速度で回転すると,光のドップラー効果によって波長が 短くなるのでしょうか?
さあ,正直わかりません.
等方放射する発光点が,ある点を中心に回転(公転)している場合は,ドップラー効果によって波長が短くなったり長くなったりを周期的に繰り返すでしょう.
でも,異方放射する発光点そのものが回転(自転)しているなら,波長の変化はないように思えます(保証なし).
お返事ありがとうございます.
>でも,異方放射する発光点そのものが回転(自転)しているなら,波長の変化はないように思えます(保証なし).
ある球体に,付着した物体が,その球体の回転運動の遠心力により飛ばされた場合,その物体は,遠心力により運動エネルギーを与えられます.電子が光にエネルギーを与える逆コンプトン散乱の場合と同じように,ある物体の波長は短くなるのではないでしょうか?
なにか話を混同されているように思います.コンプトン散乱は光に運動量(光子)があるという話です.今回の議論で光子の散乱は起きてません.
お返事ありがとうございます. >なにか話を混同されているように思います.コンプトン散乱は光に運動量(光子)が >あるという話です.今回の議論で光子の散乱は起きてません. すいません.混同はしておりませんが,例えが悪かったです.
仮に可視光線を放出する天体があるとします.(磁場とか電場とか ややこしいものは無く,単に可視光線を放出するものとします.) その天体が高速度で回転すると,光のドップラー効果によって波長が 短くなるのでしょうか? その式は,次の式になるのでしょうか?
物体が半径r[m]の円周上を速さv[m/s]で運動するとします.円周の長さは2πrなので, 物体が円周を1周するのにかかる時間をT[s]とすると, v=2πr/T となります. 可視光線を放出する天体が,高速度で回転することによる光のドップラー効果の式は, Z+1=√(1+v/c)/√(1-v/c) となるのでしょうか?
ある球体に,付着した物体が,その球体の回転運動の遠心力により飛ばされた場合, その物体は,遠心力により運動エネルギーを与えられます.ある物体の波長は短くなるだろうと予想 しております.
ドップラー効果による波長変化は,光源の速さだけでなく,運動の向きにも関係することはご存じだと思います.
まず,太陽の自転によるドップラー効果を考えてみましょう. 回転する太陽表面は,ある部分は地球に近づき,自転軸をはさんで反対側の部分は地球から遠ざかるように運動しています.そのため,地球に近づく部分から来る光の波長は短くなり,地球から遠ざかる部分から来る光の波長は長くなります. つまり,太陽表面上の位置によって波長が異なるわけです.
次に普通の恒星の場合ですが,恒星は点像にしか見えないので表面上の位置の違いは区別できません.従って,長くなった波長の光や短くなった波長の光が重なり合って観測されます.その結果,スペクトルの吸収線が一方向にずれるのではなく,吸収線の幅が広がることになります.
次にパルサーの場合ですが,サーチライトのように特定の方向にしか光を放射してなくて自転によって放射方向がちょうど地球に向いたときだけ光が観測されるとすると,そのときの光源の視線速度はほとんど0と思われるので,波長はほとんど変わらないでしょう. ただし,自転速度が光速に比べて無視できないくらい速いときは,時間の遅延効果によって波長が長くなるでしょう.
>ある球体に,付着した物体が,その球体の回転運動の遠心力により飛ばされた場合,その物体は,遠心力により運動エネルギーを与えられます.ある物体の波長は短くなるだろうと予想しております.
遠心力があらわれるのは回転座標系すなわち非慣性系で考えた場合です. しかし,今問題にしているドップラー効果は慣性系で考えているので,遠心力は存在しません.
お返事ありがとうございます.
>次に普通の恒星の場合ですが,恒星は点像にしか見えないので表面上の位置の違いは >区別できません.従って,長くなった波長の光や短くなった波長の光が重なり合って >観測されます.その結果,スペクトルの吸収線が一方向にずれるのではなく, >吸収線の幅が広がることになります. 一般的にハッブルの法則によって,遠くの恒星は赤方偏移しているのではないでしょうか?
>遠心力があらわれるのは回転座標系すなわち非慣性系で考えた場合です. >しかし,今問題にしているドップラー効果は慣性系で考えているので,遠心力は存在しません. すいません.よくわからないのですが,最近,Ia型の超新星の爆発が遠くの銀河系でいくつか観測され,そこから測定された距離をもとにして宇宙の膨張率が再計算され,その結果によると,遠くへ行くほど膨張速度が加速されているようです.これも,赤方偏移によっているのではないでしょうか?
確かに宇宙の膨張の様子は赤方偏移を利用して調べられています. 宇宙の膨張によって遠くの恒星や超新星は地球から遠ざかっており,そのためにドップラー効果によって赤方偏移が生じるわけです.恒星や超新星の自転によって赤方偏移が生じるわけではありません.
お返事有難う御座います. >恒星や超新星の自転によって赤方偏移が生じるわけではありません. すいません.観測結果はその通りですね.私ちょっと勘違いしておりました.
しかし,恒星や超新星の自転によって赤方偏移は生じないでしょうか?
No.18665で書いたように,表面上の位置によって波長が長くなったり短くなったりします.つまり,表面のある部分から出た光は赤方偏移し,別の部分から出た光は青方偏移し,偏移の程度もさまざまです. それらの光が重なり合うので,吸収線の幅が広がるわけです.
恒星や超新星が遠ざかっている場合は,広がった吸収線が全体として赤方偏移します.
お返事有難う御座います. >恒星や超新星が遠ざかっている場合は,広がった吸収線が全体として赤方偏移します. 理屈はわかりました.
>次にパルサーの場合ですが(中略) >ただし,自転速度が光速に比べて無視できないくらい速いときは,時間の遅延効果によって >波長が長くなるでしょう. 重力が強いときに起こる時間の遅延はわかるのですが,自転速度が光速に比べて無視 できないくらい速いときの時間の遅延効果について教えて下さい.
>遠心力があらわれるのは回転座標系すなわち非慣性系で考えた場合です. >しかし,今問題にしているドップラー効果は慣性系で考えているので,遠心力は存在しません.
申し訳ございません.ここの部分を詳しく知りたいのですが,再度ご説明頂きましたら幸いです.
>重力が強いときに起こる時間の遅延はわかるのですが,自転速度が光速に比べて無視できないくらい速いときの時間の遅延効果について教えて下さい.
自転速度と書いたのは自転の角速度ではなく,自転によって天体の表面が動く速度のことです. 運動する時計は遅れるので,光の振動を時計と考えれば,表面から出る光の振動の周期が長くなることになります.そのため波長も長くなります.
次に,通常のドップラー効果の式は慣性系での式であって,回転座標系には適用できません. 赤方偏移を考える場合,天体と地球を結ぶ直線を1つの座標軸(たとえばx軸)にとってその座標軸上の光の伝播を考えるのが普通だと思います. この座標系は厳密には慣性系でないとしても近似的に慣性系と見なすことができて通常のドップラー効果の式が適用できます.この座標系では遠心力はあらわれません. これに対して天体とともに回転している座標系で考える場合は遠心力があらわれますが,これは慣性系ではないので,通常のドップラー効果の式は適用できません. また,天体の自転の角速度が極めて遅い場合や天体が地球に近い場合を除けば,この回転座標系では地球の速度が光速を超えることになります.
お返事有難う御座います.
>運動する時計は遅れるので,光の振動を時計と考えれば,表面から出る光の振動の周期が >長くなることになります.そのため波長も長くなります. 寿命の短い素粒子が運動することにより寿命が伸びるのと同じようものなのでしょうか?
>また,天体の自転の角速度が極めて遅い場合や天体が地球に近い場合を除けば,この回転 >座標系では地球の速度が光速を超えることになります.
難しいですね.結局回転している物体が光を放出している場合,その光の波長は短くなるので しょうか?短くなるかもしれないが,只その値は,光のドップラー効果の式, √(1+v/c)/√(1-v/c) で計算できないということなのでしょうか?
例えば,小さな半導体レーザーを高速回転させて,その波長を観測した場合, 回転速度によって,どれだけ波長が変化するのか?計算は出来ないが 警察がねずみ取りで使っている「スピード違反を取り締まる機械」=「光のドップラー効果 を利用」を使用すれば,光の波長によって,回転速度を割り出せるのでしょうか?
>この回転座標系では地球の速度が光速を超えることになります.
計算上ではそうなるかもしれませんが,現実には光速を超えるとは考えられないです.
>これに対して天体とともに回転している座標系で考える場合は遠心力があらわれますが, >これは慣性系ではないので,通常のドップラー効果の式は適用できません.
例えば,光を出す物体が一定速度で近づいた場合は慣性系なので,ドップラー効果の式が 適用可能であるが,加速度運動する場合は,慣性系でないので使えないということでしょうか? しかし加速度運動する場合はあきらかに青方偏移しているでしょう!
>寿命の短い素粒子が運動することにより寿命が伸びるのと同じようものなのでしょうか?
そうです.
>結局回転している物体が光を放出している場合,その光の波長は短くなるのでしょうか?短くなるかもしれないが,只その値は,光のドップラー効果の式, √(1+v/c)/√(1-v/c) で計算できないということなのでしょうか?
物体表面上の位置によって長くなることも短くなることもあるということです. catさんが書かれたドップラー効果の式は物体の運動方向が光の進行方向と一致する場合の式なのでそうでない場合については適用できません.
>例えば,小さな半導体レーザーを高速回転させて,その波長を観測した場合,回転速度によって,どれだけ波長が変化するのか?計算は出来ないが警察がねずみ取りで使っている「スピード違反を取り締まる機械」=「光のドップラー効果を利用」を使用すれば,光の波長によって,回転速度を割り出せるのでしょうか?
いろいろな場合が考えられるので一概には言えません.
>例えば,光を出す物体が一定速度で近づいた場合は慣性系なので,ドップラー効果の式が適用可能であるが,加速度運動する場合は,慣性系でないので使えないということでしょうか? >しかし加速度運動する場合はあきらかに青方偏移しているでしょう!
座標系が慣性系であれば,その慣性系に対して物体が加速度運動していても通常のドップラー効果の式は適用できます.ただし物体の速度が変化するので,光を放出した瞬間の速度を考えないといけません.