物体の加速度の時間連続性

物体の加速度の時間連続性

ミュフ猫 さんの書込 (2007/10/17(Wed) 19:37)

ふと,疑問に思いました. 古典力学の範囲において,この世に剛体が存在しないので,直感的に, 物体の速度の時間連続性は保障されているように感じます. では,加速度の時間連続性は保障されているのでしょうか? もちろん,重力などの遠隔作用による加速度は,そのベクトル場の空間分布から, 時間的に連続であるように思うのですが,バネなどの近接作用による加速度は, 必ずしも,時間的に連続であるとはいえない気がするのです.

舌足らずで恐縮ですが,出来るだけ好意的に解釈していただき, 何とぞ,ご教示願います.m(_ _)m

Re: 物体の加速度の時間連続性

クロメル さんのレス (2007/10/18(Thu) 18:15)

いろいろ考えてみたのですが,残念ながら考えれば考えるほど否定的な答えに近付いていきました.

この疑問は,「自然界にδ関数やステップ関数が存在するか」と言う疑問と強い関係があると思います.

たどりついた結論としては,古典力学はあくまで理論であってそこに極限的なもの・理想的なものを導入すると存在すると思います.

剛体は速度(位置の一階微分)を不連続にする例のひとつですし,円運動する振り子のひもを「瞬間的に」きれば,向心力は瞬時に無くなり加速度(位置の二階微分)を不連続にします.「理想的な」(瞬時にその長さに対応した力をだす)バネのついた球は,バネに速度の異なる球をぶつけると位置の三階微分が不連続になるようです.回路でもスイッチが「瞬間的に」入ることが要求されます.

ただ言っておくと近接作用といっても,その場(電場・磁場)を作る粒子がいたるところ無限回微分できるポテンシャルを持っている限りは,位置が瞬間移動でもしないかぎり位置の有限階微分の不連続は起こりません.

このように無限小の時間で起こる現象がない限りは,加速度の不連続はありえないだろうと思います.

しかし,自然は厳密には古典論でも量子論でも近似でしかないでしょうから「古典力学では加速度の不連続が存在するか」と言う質問は,古典力学をどういじっても,「現実に存在するか」ということには繋がらず無意味だろうと言うのが最終的な結論です.

最後に僕が可能性として捨てられなかった(正直よく分からなかった)例を挙げておきます.

1.電子と陽電子との対生成や対消滅の時に電場の不連続が起こるかもしれない.

2.粒子の量子状態(量子数)の遷移は,無限小時間で起こるのだろうか.(光との相互作用なんかで連続的に変わりそう?)

3.フェルミの黄金律にでてくるδ関数は,不連続を引き起こさないか.(これはサイン関数の極限だったかな?)

4.ブラックホールの密度は無限大?シュバルツシルト半径の内と外は不連続なのか.

5.宇宙の誕生の際,特異点から世界が生じたんでしたっけ?ここにも不連続がありそうな気がします.

Re: 物体の加速度の時間連続性

ミュフ猫 さんのレス (2007/10/19(Fri) 17:14)

なるほど.ご教示ありがとうございました.m(_ _)m

実は,運動物体の取りうる軌跡を表す曲線を考えている内に, 「滑らかであること(つまり,連続で微分可能)」が必要十分 条件ではないのでは?と思ったのです. 加速度の時間連続性を認めれば,「滑らかであること」は, 必要条件に過ぎず,その軌跡では描くことの出来ない曲線が 存在するはずで,この場合,ジェットコースターのように, 強制的に軌道を定められた物体は,加速度の不連続な位置で, どうなるのかな?とか悩んでました.w

Re: 物体の加速度の時間連続性

クロメル さんのレス (2007/10/20(Sat) 22:33)

なるほど,そういう経緯があったのですか.

ちょっと気になったのですが, 「その軌跡では描くことの出来ない曲線が存在する」のだとしたら, 「滑らかであること」は,「取りうる軌跡」の十分条件(「滑らか」の方が狭い集合)ではないですか?

ちなみに,蛇足かもしれませんが,ジェットコースターの例は,僕の回答に沿った考え方で説明すると,「実際には完全な束縛が存在せず,束縛が不完全な理由は,原子間のポテンシャルによるバネによって急激な変化が緩和される」ということになりますかね.

Re: 物体の加速度の時間連続性

ミュフ猫 さんのレス (2007/10/21(Sun) 22:24)

>「その軌跡では描くことの出来ない曲線が存在する」のだとしたら, >「滑らかであること」は,「取りうる軌跡」の十分条件 >(「滑らか」の方が狭い集合)ではないですか?

この場合の「滑らか」とは,単に, 「その曲線上の任意の点における接線が一意に定まる.」 という意味で用いました.「曲率」の連続性は求めていません. よって,「滑らかであること」は「取りうる軌跡」の必要条件 になると思うのですが.

>ジェットコースターの例は,僕の回答に沿った考え方で説明すると, >「実際には完全な束縛が存在せず,束縛が不完全な理由は,原子間の >ポテンシャルによるバネによって急激な変化が緩和される」ということ >になりますかね.

なるほど.応力による歪みによって,その物体の重心の軌跡は時間連続性 の規則を満足する曲線を描くわけですか.

Re: 物体の加速度の時間連続性

クロメル さんのレス (2007/10/25(Thu) 01:31)

>この場合の「滑らか」とは,単に, 「その曲線上の任意の点における接線が一意に定まる.」 という意味で用いました.

ああ,そういう意味だったのですね.それなら納得です^^